軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

65.度忘れ?……会話

ウッドデッキでお昼のお茶を楽しむ。

あれから2日。

ロープからの交信? は無い。

「ミスったな~」

いる場所? 置かれている場所? を聞いておけばよかったと、ちょっと反省。

確か、術返しした相手だったんだよな。

神の話と照らし合わせれば、あれは【ませき】だと思う。

という事は、あの問題のあった国の何処かにある。

そう言えば、力を使われていたと言っていたな。

つまり、力を使っていた王の近くにあった可能性が高い。

今はどうだろう?

王がいなくなり力を使わなくなったとはいえ、力を持つ【ませき】だ。

そのままにしておくことは、ないだろう。

新しい王の安全のためにも、何処か遠くに移動させるはずだ。

いや、もしかしたら新しい王も力を使う事を選ぶかも知れない。

でもその場合は、ロープが話してくれているような気がする。

駄目だ、情報が少なすぎる。

しかし、どうしてあの日はあんなに睡魔に襲われたんだ?

重要な話をしていることは、理解出来たのに。

何故か眠気を払う事が出来なかった。

まったく、もっとしっかりしていれば詳しく話を聞けたのに。

「はぁ、次の交信? がくるのを待つしかないか」

俺の送った力で、どうにかなっていないといいが。

どう考えても大量に送り過ぎたからな。

ちょっと不安だ。

それにしても、この性格は本当に無謀だよな。

何の知識もない状態でも、なんでも受け入れるのだから。

なにしろ不意に声が響いたのに、違和感なく会話を始められるのだから。

元の俺だったら、いきなり声が聞こえたら幽霊だと思って大騒ぎするだろう。

いや、騒ぐより気を失うか。

……俺のビビり度合いから考えて、残念ながら後者だな。

自慢ではないが、本当に幽霊関係は無理。

絶対無理!

いや、幽霊だけではないのだが……ハハ、自分の駄目さ加減を思い出して落ち込みそうだ。

ってそんな俺が普通に対応できるってすごいよな。

ただし、無謀すぎて時々やばいと感じる時がある。

この性格って何なんだろう?

確実に俺ではない。

だが、不思議なことに違和感がない。

元の性格とは、かけ離れているのにだ。

それだけでは無く、受け入れている。

というか、俺の性格の一部だという思いすらある。

正直、気味悪い。

意識的に俺とは違う、もう1つの性格だと思っておかないと乗っ取られそうで怖いんだよな。

「考えれば考えるほど、恐ろしくなってくるな」

そういや、この事に気が付いたのっていつごろだ?

……あれ?

思い出せないな。

なんでだ?

最近の事だったはずだ。

子供天使達を見つけた時か?

いや、もう少し後だったような。

卵を見つけた時?

おかしいな、記憶力だけはある筈なんだが思い出せない。

「はぁ、何らかの力でも働いているのか?」

って、思い出した時期を忘れさせてどうするんだ?

無意味だろうが。

だったら、俺が度忘れしただけか?

「なんだろう、釈然としないな」

こういう時は、違う方向から考えてみるのだったな。

テレビ番組の受け売りだ。

えっと別方向……俺はなぜ異なる性格に気が付けたのか?

そうだよ、なんで俺気が付けたんだ?

まぁ、今思えば全てがおかしいのだが。

なんたって怖がりだと認識しておきながら、行動が全く合っていなかったのだから。

普通怖いと思ったら、足が竦んだりするだろう。

なのに俺はすぐ行動、すぐ破壊だもんな。

それが不意に『違う、おかしい』と認識したんだよな。

「……そうだ、なぜか不意にそう感じたんだった」

何かきっかけがあったはずなんだが。

……これも思い出せない?

やばい、本格的に自分の記憶に不安を感じる。

少し前の事を順番に思い出していると、ふっと辺りが暗くなる。

慌ててウッドデッキから庭に降り、周辺に視線を走らせる。

親玉さんやシュリ、仲間達の慌てている姿が目に入る。

空を見ると、太陽が真っ黒に染まっている。

「なんだ、あれ?」

畑から、ウサとクウヒが何か叫びながら俺に駆け寄ってくる。

そしてそのまま腰の辺りにしがみつく。

「大丈夫だよ」

2人の頭をゆっくり撫でて落ち着かせる。

リビングに行く様に言おうとすると、爆音が空に響き渡る。

とっさに2人を抱き込んで地面にしゃがみ込み、空を仰ぐ。

空では光があちらこちらに現れ、そして小さな爆発を繰り返していた。

しばらく見ていると、空全体が眩い光に覆われていくので目を逸らしぎゅっと瞑る。

その間もずっと爆音が響きわたる非常事態だ。

仲間達は大丈夫だろうか?

どれくらいたったのか音が止み、瞼を閉じても感じていた光が消えた。

そっと瞼を開き、周りを確認する。

既にシュリ達が動き出しているのが見える。

龍達も庭周辺を上空から調べているようだ。

空を見ると、黒く染まっていた太陽が元に戻っているのか、眩しくて見られない。

「大丈夫か? ではないな」

ウサが震えて泣きだしており、クウヒも瞳に涙が溜まっている。

「大丈夫だよ。もう落ち着いたから」

「本当?」

ウサが泣きながら聞いてくる。

「あぁ、周りを見て。もう何もないだろう?」

これでもう一度何か起こったら、嘘つきだな。

ちょっと不安だが、何とか落ち着かせないと。

「うん」

「ウサ、大丈夫だって。主もいるんだし、な」

「クウヒ、ありがとう」

ウサとクウヒの頭をそっと撫でる。

少しすると落ち着いたのか、ウサの涙が止まった。

それを見て2人をリビングに戻る様に促す。

心配そうにしていたが、アイ達がきてくれたので安心したみたいだ。

「アイ、頼むな」

「分かった」

アイが返事をすると、おそらくラキとアミだろう2匹も頷いてくれた。

2人と3匹がリビングに入るのを見送ってから、庭に集まっているコア達のもとへ行く。

「何が起こったのか、分かる者はいるか?」

「主、確認したが誰も知らない現象だ」

コアが、空を見ながら答えると、上空を飛んでいたふわふわが降りて来る。

「我々の知識の中にも、あんな現象を見せるモノはなかった」

知識?

……あぁ、龍達には何か特別な知識があるのか。

「そうか」

分からないか。

また、何か森に起こるのか?

対処出来ることならいいが。

「マシュマロと毛糸玉が上空から森を確認してくるが、何に気を付ければよい?」

ふわふわが聞いてくるが、何が起こっているのか不明なため何に気を付ければいいのか分からない。

どうしようかな。

「そうだな。今まで森の中に無かった物があるか調べて欲しい」

見習い共が作った物が表に現れた可能性もある。

あっ、奴らなら神力だ。

「探知」

森全体に探知魔法をかけて神力を探す。

意識が森を撫でるようにスーッと流れるのを感じる。

今までになかった感覚だ。

今までに?

何の事だ?

……まぁ、いいか。

「神力は感じないか」

という事は、見習い共ではないのか?

「どうする?」

「とりあえず上空から、新たに何か現れていないか探してくれ」

もしかしたら神力を、何らかの力で隠している可能性もあるからな。

「分かった。行ってくる」

「気を付けて」

ふわふわが伝言と森を調べるために、上空で待機している他の龍達のもとへ飛んで行く。

これで森に異変が現れていればわかるだろう。

「我々は地上から森を調べてくる」

親玉さんがそういうと、子供達を連れて庭から出ていく。

それをシュリ達が追っていく。

「危険だと思ったらすぐに逃げてくれ。無理はするなよ」

俺の言葉に前足をあげて応えると、それぞれ四方に散っていく。

「何が起こっているんだ? はぁ、奴らの問題を全て解決できたと思ったんだが……」

畑を見る。

農業隊の作業が2つに分かれているのに気が付く。

畑の周辺を警戒して見回っている者達、畑仕事をしている者達だ。

すぐに対応できる辺りがさすがだな。

「問題ないか?」

『大丈夫』

近くにいた『1体の農業隊』に声を掛けると、頭に声が響く。

何故か今日に限って、少し違和感を覚えた。

ん?

何だ?

何か今、おかしいと感じた。

何がおかしい?

目の前にいる『農業隊』を見る。

いつも通りだったはずだ。

「農業隊、いつも通りだよな?」

『……たぶん?』

俺の言葉に首を傾げる農業隊。

その姿をじっと見つめる。

何かが違う?

意味の分からない気持ち悪さに、周辺に視線を走らせる。

コアとチャイと視線が合う。

2人は俺を見て、グルルルと喉を鳴らした。

「………………………‥あっ! 言葉!」

そうだ、なんで普通に違和感なく話しているんだ!