軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

図書館−2

エリック殿下は父である国王陛下ほど錬金術は得意ではないが、錬金術は習得していると語った。

王族だとは思っていたが、国王陛下の子供だったとは。

キャサリン殿下やジョシュに王族の名前を聞いておくべきだった。

直接聞く訳にはいかないので後でジョシュに尋ねる事にした。

エリック殿下は錬金術より魔法が得意だと語り、アレックスがどのような魔法を使うか見てみたいと言う。

魔法は攻撃に関する物もある。エリック殿下は気軽に見せられるような相手ではない。

どう答えれば良いのか迷っていると、ジョシュがアレックスの魔法と接近戦はかなりの物なので、見るなら注意が必要だと言う。

「武術や魔法はそこまで得意ではないと言っておったではないか」

「アレクシア伯爵とモイラ伯爵に比べたら誰でも得意ではありません」

「……二人の伯爵と比べているのか?」

「アレックスはスプルギティ村の住人です。他にも有名な方はおられます」

「ああ……」

ジョシュと会話をしていたエリック殿下がアレックスを一瞬見た後に、納得したのか頷いている。

アレックスとしては何を納得したのか不思議ではある。

ジョシュは更にワイバーンの討伐の時、空中にいた二体のワイバーンを、アレックスと相棒の大雀で一体ずつ倒したと説明をした。

エリック殿下もワイバーンについての話は聞いていたようで、報告書にあった理解できない戦い方をしたのがアレックスかと驚いた声を出した。

理解できない戦い方をしたつもりはないのだが、報告をする場合は文字にするので分かりにくくはなるかもしれない。

エリック殿下がやはりアレックスの魔法が見たいと言う。

アレックスの代わりにジョシュがエリック殿下に見たい魔法などを質問してくれた。

「エリック殿下、攻撃魔法などは見せられませんよ?」

「攻撃魔法も見てみたいが、報告書にあった空を飛ぶ魔法が気になる」

「あれですか。私は見ていましたが、不思議ではありました……」

ジョシュも見た事がない魔法だったのか。

あれはモイラおばさんがよく使う魔法で、移動が面倒な時や、母を移動させるのに便利だと使っていた魔法らしい。

確かに魔法鞄があるので物を移動させるような魔法を使うのは珍しいのかもしれない。

空を飛ぶ魔法は攻撃魔法ではないので、見せる事は可能かもしれない。

エリック殿下の護衛として一緒にいるであろう騎士に、アレックスが魔法の説明をすると、それならば図書館の前でも使えそうだと言う。

「アレックス、お願いできないか?」

「私は構わないのですが、宜しいのでしょうか?」

「余が責任を取ろう」

ここまでエリック殿下に言わせてしまっては、魔法を使う他ないだろう。

魔法の理論などは後で話すとして、ジョシュやエリック殿下を護衛している騎士に話をして、どのように魔法を使うか確認していく。

アレックスが魔法陣の中に入れば移動すると説明をすると、ジョシュがアレックス以外が入っても移動してしまうのかと質問をしてきた。

物を動かすための魔法なので、当然魔法を使った当人以外も魔法の効果は発動する。

ジョシュに魔法の特性を説明をする。

ジョシュが興味本位で近づく場合があるので、エリック殿下から一応離れてから魔法を使う事にしようと提案してきた。

興味本位で近づいて魔法の効果が出てしまったら大変な事になる。

アレックスはジョシュの提案に同意した。

「アレックス、無茶はしなくて良いからな」

「使い慣れている魔法だから大丈夫」

「使い慣れているのか」

「故郷でよく使っていたんだ」

ピュセーマと連携をとるのに便利な魔法なので、村の皆はあまり使う魔法ではなかったが、アレックスは好んで使っていた。

アレックスが移動用の魔法を使い始めたのは、モイラおばさんと母が使っている魔法を見て、楽しそうだと思ったのが始まりだった気もする。

図書館から外に出ると、アレックスはエリック殿下から離れて魔法の準備をする。

外していた魔道具を取り付けた。

横に移動したのでは分かりにくいだろうと、アレックスは上空に向けて魔法陣を複数展開する。

アレックスは身体能力を上げるスキルを使った上で、助走をつけて魔法陣に飛び込む。

魔法陣を通ると、アレックスの体は空に飛び上がった。

落下しそうになったところで、足場とする結界を発生させて結界の上にのる。更に魔法陣を別方向へと展開させて移動していく。

何回か同じような事をした後に、直線的な移動から弧を描くように移動したりと、変化をつけていった。

他の魔法も見せた方が良いのかと思いながらも、他の魔法を使うのもまずいかと思って、そのまま地上に降りる事にした。

徐々に魔法を使って地上へと降りていく。

アレックスが地上に降りると、エリック殿下やジョシュが近づいてきた。

「本当に空を飛べるとは凄いな!」

「アレックス、地上からも空に飛べたのか?」

二人から一気に喋りかけられて、アレックスはたじたじとなる。

エリック殿下は質問というよりも、アレックスが空を飛んだことに興奮しているようなので、ジョシュの質問に答える事にした。

元々アレックスが移動するための魔法を使っていたのは、ピュセーマから飛び降りるための魔法ではなく、ピュセーマと連携を取りやすくするために使っていた。

他には獲物に気づかれずに近づくために使ったりもする。

かなりの速度で近づくので、うまく攻撃を当てられれば一撃で獲物を倒せる。

ジョシュに戦う時に使っていた方法を説明すると、ジョシュではなくエリック殿下が興味を持ったようで、質問をしてきた。

「そのような戦い方初めて聞いた。連続で使用していたようだし、魔力はそう使わないのか?」

「元々は荷物を運ぶ為のものなので、魔法をしっかりと勉強していない人でも使えます。魔法陣にして出力を上げる場合は多少魔力の消費量は増えますが、攻撃魔法に比べれば気にならない量です」

「なるほど。魔法を系統だって覚えていなくても使える魔法なのか」

魔導士や魔法使いと名乗るような人は系統だって魔法を覚えているが、普通の人は魔法を感覚的に覚えている。

感覚的に使える魔法は簡単な物しかない。

量の差はあるが魔力を持っているので、感覚的に魔法を使うことができる。

アレックスが使った荷物を運ぶための魔法は、感覚的に覚える次くらいの難易度の魔法だ。

アレックスの故郷であればモイラおばさんが魔法を教えてくれたし、他の地方の村でも同じように魔法が上手い人が村人に教えることが多いだろう。

村ではなく都市部だと、魔法を教える私塾があると聞いたことがある。

気づけば、エリック殿下とジョシュが魔法について意見を言い合っている。

「騎士団で使っているのを見たことがないのは、魔法陣にまでするような魔法だと思われていないからかもしれないな」

「エリック殿下、騎士でもあのような使い方は難しいかと」

「ふむ。ジョシュでも無理か?」

「アレックスの発動手順を聞いた限り、スキルで身体能力を上げているようですから、魔法が使えても私では衝撃に耐え切れないかと」

ジョシュの言う通り、身体能力を上げないで魔法陣の中に入ると、二枚目を超えたところで気絶する。

何故知っているかと言うと、アレックスは身体能力を上げるスキルの使用を失敗して、二枚目の魔法陣を通った後に気絶した事がある。

気づけばモイラおばさんが魔法で治療してくれていた。

モイラおばさんから魔法を教わる時に、まずは身体能力を上げる魔法をスキルに昇華させるまでは使わせないと言われていた。

スキルを覚えても覚えたては完璧ではない。

どうしても失敗する事が多く、アレックスが気絶したのもスキルの失敗が原因だ。