軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第一王女の護衛−3 Side メグ

護衛は毎日ある訳ではなく、交代で休みがあります。

といっても外に出るのは待って欲しいと言われていますし、他のギルド員に比べたら明らかに休める日は少ないのですが。

ゲラノスに来た頃の休みの日は慣れない事をしているからか、倒れ込むように寝ていましたが、二週間もすると慣れて来たのか徐々に楽になって来ました。

行事の数も減ってきて、休みの日は外に出ても良いと言われたので、アレックスから預かっている手紙をゲラノスのギルドに持っていく事にします。

館の侍女にギルドの位置を尋ねると丁寧に教えてくれました。

歩いて行ける距離のようですが、アネモスの相手が出来ていなかったので乗っていく事にします。

怒っていないと良いのですが……。

大鳥の部屋になっている建物の前で、アネモスを呼ぶとすぐに飛んできました。

アネモスはチュンチュンと元気に鳴いています。

見た限りは怒っていないようで安心しましす。

アネモスを撫でると随分と手触りがいいです。丁重に面倒を見ていて貰ったのでしょう。怒っていない理由がなんとなく分かりました。

魔法鞄から鞍を出そうとして、ゲラノスに来た日から鞍を預けたままだと気づきます。来た日はそのまま建物の中に入って、大鳥の世話は忙しくてすっかり忘れていました。

屋敷の大鳥を担当している使用人に声をかけて、鞍の事を尋ねました。

屋敷で預かっている鞍の数があるようで、自分の鞍を見つけて欲しいと使用人が言うので、了承すると建物の中に案内されます。

アレックスから借りている鞍はとても良い場所に置かれており、すぐに見つかりました。

「これです」

「これはオーガが乗る鬼雀の鞍ですね」

「分かるんですか?」

「何回か鬼雀の面倒を見たことがあるので分かります」

「この鞍は知り合いから借りているんです」

「随分と良い物を借りていますね」

鞍を返して貰い、お礼を言います。

使用人は用事があればいつでもどうぞと言って去っていきました。

アネモスの元に戻って鞍を取り付けていきます。

マシュー閣下がアレックスから魔道具を買っていたなら、屋敷に来た鬼雀はピュセーマの可能性が高そうです。それなら鞍が同じだと見たことがあった可能性があります。

アネモスがここまで丁重に扱われていたのは、鬼雀だと誤解されていた可能性が高いのではないでしょうか?

丁重に扱われているのは悪いことではありませんが、若干騙したようで負い目を感じます。

ゲラノスでの扱いが良いのはどう考えてもアレックスとピュセーマのおかげなので、帰ってからお礼を言いましょう。

アネモスに乗って空に飛び上がるとギルドへと向かいます。

ギルドは地方の建物としては立派な方ではないでしょうか。王都と比べてしまうとどこも小さいのですが、領主が居る街なだけあって大きいようです。

アネモスには止まり木で待っていて貰う事にして、メグはギルドの中に入っていきます。

ギルドの中は規模の違いはありますが、似たような作りになっているので迷うことはありません。

メグは空いている受付へと近づいて声をかけます。

「すみません」

「どうされました?」

「手紙を届けて欲しいんです」

「分かりました。宛先は何処でしょうか?」

「スプルギティ村へお願いします」

スプルギティ村と伝えたら、受付の女性は申し訳なさそうに謝ってきます。

受付の女性はゲラノスのギルドでは届けることが不可能なので、依頼として受け付けることが不可能だと丁重に説明してくれました。

アレックスから聞いた通りの事情でしたので、スプルギティ村の人が降りて来た時に渡して欲しいと伝えます。

メグの提案に受付の女性は驚いた様子なので、スプルギティ村の住人から事情を聞いていることを伝えると納得されました。

書類に差出人などの情報を残す必要があると言われたので、差出人はアレックスだと伝えると声をあげて驚かれました。

「住人とはアレックスでしたか。確か王都に行ったんでしたね」

「アレックスを知っているんですか?」

「ええ。色々な意味で有名ですから」

「そうなんですか? 王都のギルドでは知られていなかったみたいなんですが」

「アレックスは仕事を依頼するだけでしたから、ギルドの実績があまりないんです」

ギルドの実績は少ないのにゲラノスでは有名ということは、ギルド以外で直接依頼を受けていた可能性が高そうです。

というか、どう考えても領主代行のマシュー閣下から依頼を直接受けていたのでしょう。

受付の女性が話す内容はメグの予想通りに、ギルド以外での高難易度の討伐が大半でした。

元々はギルドも知っていた情報でしょうから、領主代行からの依頼となればギルドが知っていても不思議ではありません。

アレックスがギルドで依頼を受けなかったのは、仕事を奪っては悪いと思っていたか、討伐依頼を受ける場所と認識していなかったのではないでしょうか。

実際王都のギルドでも依頼を出す側で行くことはあっても、討伐依頼を受けにギルドに行くのは見たことがありません。

アレックスが今どうしているか尋ねられたので、錬金術師と魔導士の資格を取って店を開いていると伝えました。

受付の女性が書類を作り終わったところで手紙を預けます。

女性は手紙と書類を持って席を立つと奥へと歩いて行きます。奥で上司であろう人と話している様子が見えるのですが、何故か随分と話し込んでいます。更に話している途中でこちらを見られました。

不思議に思っていると、受付の女性は戻って来ました。

何か問題がありましたかと受付の女性に尋ねます。

「問題ありませんよ。スプルギティ村への手紙は多いので、物によっては受け取らないと決めているんです」

「受け取らないんですか?」

「ええ。修行したいと手紙を出したいという人が多いんです」

「修行?」

「はい。修行したいのなら自力で行きなさいと突き返しています」

アレックスからオルニス山の話は聞いていますが、普通の人がオルニス山で修行なんて無茶です。

スプルギティ村にたどり着く前に命を落とす可能性が高いでしょう。

自力で行きなさいというギルドの対応に若干引きますが、それだけオルニス山で修行したいという人は多いのかも知れません。

実力があるのなら自力でオルニス山に入って行きそうですし、将来有望ならギルドが止めそうです。

メグが意見するような問題ではないでしょう。

今日の目的だった手紙を届けることができたので、領主の館へと戻る事にします。

受付の女性にお礼を言ってギルドを出ます。

アネモスに乗ると、空に飛び上がります。真っ直ぐ領主の館に戻らず、運動をさせようと好きなように飛び回るように指示を出します。

アネモスが満足したところで領主の館に戻りました。

アネモスを預けると、用意された自室に戻らず知り合いのギルド員がどうしているか確認しに行きます。

メグ経由で話を騎士に伝えると言っていたのに、会う暇もなく二週間以上経ってしまいました。

知り合いを見つけて謝ります。

気にしないと知り合いから言われた後に、随分と大変そうだと逆に同情されます。

同情されるほど忙しそうに見えたようです。

思い出してみると、確かに忙しかった気はします……。

ここ数日の忙しさを思い出して黄昏ていると、知り合いから甘い物だと言ってお菓子を貰いました。ありがたく貰って部屋で楽しむ事にします。

休みの次の日からまた護衛として働きます。

行事が減ったと言ってもキャサリンの忙しさはそこまで変わらず、時間が余れば誰かと会うとなって忙しく動き回っていました。

キャサリンが忙しく動き回っていれば、当然護衛も同じように動く必要があります。