作品タイトル不明
第一王女の護衛−2 Side メグ
朝起きると体を動かして痛みがないか確認していきます。
アネモスに一日中乗っていると筋肉痛になるので、柔軟をしながら確認していきますが思っていたより痛みがありません。
いつもと何が違うのかと考えると、アレックスから借りた鞍が思いつきます。
アネモスに元々付けていた鞍も安い物ではなかったのですが、ピュセーマが使っている鞍はそれ以上に良い物だったようです。
ワイバーンの鎧は攻撃を受け止めるような使い方をした事はありませんが、温度管理が完璧なので着け心地が良いですし、鎧なのに着ていても不快感がありません。
アレックスが作った装備は凄いと考えていると、借りた腕輪が怖くなってきます。
薄々察しているのですが、アレックスは心配性で過剰に装備を渡してこようとします。
本来なら持っていなくても良いハイポーションまで渡されましたし。
それなのに腕輪は贈り物ではなく、貸すと言って渡されました。
借りた腕輪はアレックスでも簡単に作れない物ではないかと予想できます。
予想が当たっていた場合が怖いので、絶対に無くさないように常に身につけている事にしましょう。
メグは支度を済ませると外に出てアネモスの体調を確認します。
護衛を依頼されているギルド員たちも同じように相棒の体調を確認しているようです。
王都のギルドから集められたギルド員は大半が知り合いなので、昨日は挨拶ができなかったので挨拶を済ませます。
知り合いからはキャサリンとの近さを知ってか、何かあったらメグ経由で話を通して良いかと聞かれます。
やはりそうなりましたか。
空の上で声が聞こえないとはいえ、護衛対象のキャサリンとあれだけ仲良く話していれば目につくのは当然でしょう。
騎士相手だと緊急事態以外の細かい話をしにくいのも理解できます。
ギルド員の知り合いへの返事を保留して、騎士に確認しておくと伝えておきます。
知り合いはこうなる事を察していたようで、素直に頷いて引いてくれました。
事前に決められていた集合時間になると、キンバリーたち騎士が姿を現しました。
人数を数えた後に、キンバリーが体調が悪い者はいるかと尋ねると、誰も言い出さないので体調不良の者は居ないようです。
今日の飛行する経路をキンバリーが説明すると、キャサリンが来るまで待機となりました。
今のうちにキンバリーにギルド員からの話を伝えておきます。
「分かりました。メグ、負担になると思いますがよろしくお願いします」
「それでは細かい要望は私が聞いておきます」
「頼みます」
キンバリーからキャサリンの様子が昨日よりは随分と落ち着いていると教えられました。
それは良かったと安堵します。
実際にキャサリンが屋敷から出てくると、昨日の朝と違って顔色が随分と良いようです。
キンバリーが昨日と同じように号令をして、空に飛び立ちます。
昨日と違うところは貴族の館から見送りがあるところでしょうか。
見送りのを見ると、キャサリンは移動中だけではなく、大鳥を降りてからも色々とする事がありそうです。元々移動に慣れている訳では無いので体力が持つか心配になります。
メグも含めて護衛が配置につくと、キャサリンに休めているかと尋ねてみます。
事前に通達をしてあるので、休むことを優先してくれているのだと、キャサリンが教えてくれました。
流石に筋肉痛にはなっているようですが、マッサージやポーションなどを使って回復しているようです。
無理をしていないようで安心します。
それから雨に降られる事もなく日程通りにゲラノスに着きました。
ゲラノスの領主が使う建物に入るまでかなり警戒していましたが、中に入る事ができると、領主代理をしている人物と思われる人が出迎えてくれました。
護衛をする人の数が一気に増えて、奇襲される可能性が減った事で思わず緊張が抜けた声が出ました。
周りを見回すと、皆似たような状態で表情が少し緩んでいます。
気を引き締めて最後まで護衛を行います。
キャサリンが領主の部屋へと案内されると、交代で順番に部屋へと案内される事になりました。
メグの番が回って来たので案内されますが、何故かキャサリンの部屋からすぐそこの部屋に案内されます。
ギルド員は別館だと思っていたので動揺します。
何故か一緒に行動していたキンバリーに視線を向けて、どう言うことかと目で問いかけました。
キンバリーが良い笑顔で手伝って貰うと言い始めました。
「メグなら信頼できますし、私たち騎士と似たような鎧を着ているからね」
「もしかしてキンバリーと同じような護衛を私もするの?」
「報酬を追加で出すので頼みます」
信頼されているのは嬉しい。嬉しいですが騎士の孫とはいえ、公式の場に出たことはあまりありません。
礼儀作法の失敗をしてしまわないかと不安になって顔が強ばります。
キンバリーに相談すると、しっかりと補助をするので安心して欲しいと言われます。
不安は残りますがキャサリンの為だと思って手伝うことにします。
キンバリーに手伝うと返事をすると、明らかに安堵した表情を見せます。
やはり騎士の数が足りていないのでしょう。
キンバリーからどのような行事があるかや、護衛の順番は決まったら伝えると言われました。
慣れないながらも行事で護衛をしたりしていきます。
ある日夜会の護衛を頼まれたので、キャサリンの後ろで控えていると、何故か声をかけられました。
キンバリーから声をかけられる可能性があるとは聞いていましたが、滅多に声をかけられないと聞いていたので驚きです。
声をかけて来たのは領主代理を務めている人だったと記憶しています。
彼はマシュー・ド・アティアと名乗りました。
しっかりと名乗られ場合は相手をして欲しいと言われていたので、メグも名乗り返します。
「護衛の邪魔をしてしまって申し訳ない。あなたの着けているワイバーンの鎧や髪飾りにどことなく見覚えがあったので、知り合いの作品かと確認をしたくて」
「マシュー閣下はもしかしてアレックスを知っているのですか?」
「おお! そうですアレックスです。王都に行ったとは聞いているんですが、元気にしていますか?」
「はい」
アレックスが王都でどのような生活をしているか話すと、マシュー閣下はアレックスが作ったという魔道具を見せてくれたり、以前にワイバーンや魔物の討伐を頼んだ事などを話してくれました。
付き合っている事などは話すつもりがありませんでしたが、マシュー閣下がメグの付けている腕輪に気づきました。
「その腕輪はアレックスの物では? 以前譲ってくれと交渉したので覚えています」
「はい。持っていくようにと言われて借りて来ました」
「アレックスがその腕輪を貸すのですか?」
マシュー閣下は困惑している様子です。
借りてきた腕輪の価値を知っているのかもしれません。
盗んだ物だと思われない為にアレックスと付き合っている事を話します。最初は信用できなかった様子でしたが、詳しく話すとマシュー閣下は納得してくれました。
使い方を聞いただけで価値などを聞いていなかったので、価値についてマシュー閣下に質問しようとすると、キャサリンが別の場所に移動し始めました。
マシュー閣下に慌てて挨拶をします。
護衛の邪魔をして悪かったとマシュー閣下に謝られました。
メグはキャサリンの護衛に戻ります。
結局その日はそれ以降マシュー閣下と話をする機会はありませんでした。
しかしマシュー閣下とアレックスの話をして以降、待遇が明らかに良くなりました。
アレックスはゲラノスで一体何をしたのでしょうか?