軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

コバルトガラス−5

アレックスは二日間かけて素材を砕いて行った。粉になった素材をモリー工房に早速持って行く事にした。

モリー工房に行くとモリーさんが話しかけてくる。

「アレックス、もう粉になったのかい?」

「ええ。聞いたとおりにしたつもりですが、確認をお願いします」

「見せて貰えるかい」

モリーさんから工房の机へと案内された。

アレックスは机の上に、魔法鞄から素材の名前が書かれた袋を順番に取り出してく。

モリーさんが順番に袋の中身を確認して行った。

注文の品が全て問題がない事が確認できると、今回の納品は終了した。

瓶が完成した場合は、モリーさんがニコルに納品する事も確認する。

素材を砕いた作業料に関してはモリーさんが支払って、後から瓶の制作代金と合わせてニコルさんに請求する事になった。

諸々の処理を確認した後に、モリーさんからお金を貰って依頼は完全に完了した。

依頼が完了した後に、アレックスからの注文であるハイポーションの瓶について相談する。

ハイポーション用の素材も砕いてきているので、素材をモリーさんに見せる。

「これなら問題なく作れるよ」

「お願いしても良いですか?」

「ああ。急ぎだろうし、数が少ないから今からやってしまうよ」

モリーさんは気軽に瓶を作ると言うが、かなり難しい作業なので気軽にするような作業では本来ない。モリーさんは出来て当然と言うような雰囲気を出しており、見学して行っても構わないとまで言ってくれた。

せっかくなので瓶作りの見学をさせてもらう事にする。

モリーさんが瓶の材料となる物を溶かして行く。

素材は投入する順序がある。最初から全てを最初に投入せず、ガラスが水飴状に液体になってから別の素材を混ぜ合わせたりもしている。

工房の他の作業をしている人は金型を使ったりしているが、ハイポーションを作る場合は全てを手作業で行うようだ。

モリーさんが息を吹き入れてガラスを膨らませて、棒状の道具で形を整形している。

モリーさんは作業を事前に言った通り簡単にこなして行く。

ポーションの瓶は不純物が多くなるので作るのが難しくなるが、モリーさんは普通のガラスで作業をしているかのように見える。

モリーさんが作業を続けると、持ち込んだ材料で五本のハイポーションの瓶が完成した。

アレックスだと歪んだ瓶を二本完成させられれば上出来だろう。

モリーさんの技量が凄いことがよく分かる。

モリーさんがハイポーションの瓶をもう一度確認して、アレックスに手渡してきた。

「良い出来だと思うよ」

「ありがとうございます」

「アレックスは知ってると思うけど、ハイポーションの瓶はそう簡単に割れないから、瓶を破棄する場合は事前に申告するんだよ」

「はい」

アレックスは透明なハイポーションの瓶を魔法鞄にしまう。

魔法鞄の中に眠っていた普通のポーションの瓶をモリーさんに処分して貰う事にした。

ポーションの瓶には色々と不純物を入れている筈なのに完成した瓶は透明だ。瓶は溶かしにくいが、溶かしてしまえば普通のガラスに戻る。

瓶を溶かさずに再利用する場合もありはする。

しかし瓶が何のポーションを入れていたかを覚えていれば使いまわすのは危ない。

瓶に特殊な形か記号を入れていない限りは作り直してしまう事が殆どだ。

一番流通している傷用のポーションに限れば大量生産されているので、再利用しないで買い替える事が殆どとなる。

ハイポーションの瓶と比べると随分と脆い事もあって、ひびが入っている可能性があるからだ。

処分して貰った分と同じだけの瓶をモリーさんに注文すると、すぐに同数のポーションの瓶を貰えた。

ポーションの瓶は大半がアレックスの作り直した作品だったので、モリーさんから貰った瓶を確認すると、やはり職人が作っただけあって均一で綺麗だ。

瓶を魔法鞄の中にしまって、ポーションとハイポーションの瓶の代金をモリーさんに払った。

「路地裏だとポーションが一番売れそうなので、またポーションの瓶買いにきます」

「戦闘系のギルド員が多いからね。ポーションの瓶なら在庫があるからいつでもおいで」

「はい。今日はありがとうございました」

「こちらこそ素材の準備助かったよ」

モリーさんに挨拶をして、アレックスはモリー工房から自宅へと戻る。

これからモリーさんが依頼のポーションの瓶を作る事を考えれば、メグの依頼まで時間はありそうではある。

それでも先にハイポーションを作っておこう。

オルニス山で取れた月桂樹の葉、清められた霊水、万年樹の果実、花のようなキノコのアンサスキノコ、それらを小さめの釜に入れて火にかけながら、錬金術を使って素材を混ぜ合わせ、煮込んでいく。

ポーション作りが錬金術では一番得意としている分野なので、特に失敗する事なく一度でハイポーションの製作を成功させた。

最後に効果を上げるために未完成のエリクサーを混ぜる。

エリクサーと言っても失敗作で、ハイポーション以上の効果はあるが、エリクサーと言うには無理がある物だ。

いつかは完全なエリクサーを作ってみたいが、作るための材料自体が分からない物が多数あって、現状だと成功する可能性はほぼ無い。

そもそもエリクサーが存在するか怪しいという問題はあるのだが……。

エリクサーの事は今は忘れ、完成したハイポーションが冷めるまで待つ。

待っている間にモリーさんが作ってくれた瓶を五本全て取り出す。

ハイポーションが冷めたところで、漏斗を使って瓶にハイポーションを注いでいく。

瓶の蓋をしっかりと密封して、計算通りに五本分のハイポーションが完成した。

後はハイポーションをメグに渡すだけだ。

メグは情報を集める為に昨日からギルドに行ったり、知り合いに話を聞きに行ったりしているので、夕食の時間まで戻ってこない。

何か他に持っていった方が良さそうな物を考えていると、アレックスの装備である腕輪を持って行って貰うことにした。

腕輪はアレックスが装備している魔道具の中でも一番強力な物で、大半の攻撃を弾き返す事ができる。守るのではなく弾き返すので、常時発動している訳ではなく、使用する事を意識しなければならないが、扱いが難しい魔道具ではない。

腕輪はメグに合うように大きさを調整する必要がある。

幸いな事に大きさを調整できるような設計になっているので、少し小さくなるように一部を付け替える。

作業はすぐに終わったので、メグが帰ってきたらハイポーションと腕輪を渡すだけだ。

夕食を作っていれば丁度良い時間になりそうだと、片付けて夕食を作り始める事にした。

夕食を作り終えた丁度その時、メグが帰ってきた。

帰ってきたメグと一緒に料理を机へと運んで食べ始める。

メグから今日の事を聞いた後に、作ったハイポーションをまずは渡す事にした。五本のハイポーションを取り出して机の上に並べた。

「五本作ったから全部持って行って」

「五本も作ったの?」

「材料はまだあるんだけど、私だとハイポーションを作るより瓶を作る方が難しいんだよ。モリーさんが五本の瓶を作ってくれたから五本分作れたんだ」

「滅多に見かけないハイポーションが五本も作れるなんて思わなかったわ。モリーさんも凄いけど、アレックスも凄いわね」

錬金術の中でもポーション作りは得意なのだとメグに説明した。

材料はまだあるので、ハイポーションは遠慮しないで持って行って欲しいとメグに言うと、預かると言いながらメグは魔法鞄の中にしまってくれた。

次は腕輪を渡すと、普段アレックスが着けている腕輪である事にメグは気づいたようで、視線が腕に向いている事に気づく。

アレックスは魔道具としての機能を説明すると、メグは絶対に返すと言って腕輪を着けてくれた。