軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ワイバーンの革鎧−7

アレックスは受付嬢と話した記憶はあるが、だからと言って特に何かあった訳ではない筈だ。

何故凝視されているのかが分からない。

不思議に思っていると受付嬢から話しかけられた。

「失礼ですが以前にギルドで案内をしませんでしたか?」

「はい。以前はお世話になりました」

「やはりそうですよね。実はあなたを探していたのです」

「私を?」

ギルドに探されるような事をした覚えはなく不思議に思っていると、受付嬢が説明をしてくれた。

アレックスを探していたのは、メグを助けた時のマンティコアの件のようだ。

メグから話を聞いている事もあって、そこまで必死に探していた訳ではないようで、ギルドに来た時に話を聞こうと思っていたと言われる。

マンティコアを倒せるのだからギルドにすぐに現れると思っていたが、一向に現れないので忘れかけていたが、メグと共にギルドに来たので思い出したと受付嬢が言う。

確かに王都のギルドに来たのは三回目だろうか?

前回の日焼け止めの材料を採取に行った時に、ダンジョンを見つけたと報告をする為にギルドに来ているのだが、どうやらその時は他のギルド職員が対応していた事もあって、気づかれなかったようだ。

後ろにまだ並んでいる人もいる為、別室でマンティコアが出た時の話を聞きたいと受付嬢に言われる。

一ヶ月近く前の事なので記憶が怪しい事を受付嬢に伝えると、問題はないと言われる。

それならば話しても良いとアレックスは返事をした。

受付嬢は受付を交代して、別室に案内してくれた。

「改めまして、ギルド職員のエミーと申します」

「路地裏で錬金術師を始めたアレックスです」

「アレックス、よろしくお願いします。それでは早速ですがお話を伺いたいと思います」

エミーさんから聞かれた事をアレックスは答えていく。

最後に何故ギルドに来なかった理由を尋ねられた。

本職が錬金術師である事と、国家資格を取っていたと説明して話が終わった。

エミーさんが紙に何かを書き込んでいる。

エミーさんがこのまま依頼を受け付けてくれると言う。紙に素材の注文書を書き込んでいく。

注文書には名前が必要なので、名前には路地裏の錬金術師と書いておく。これで届けて貰う時も分かりやすいだろう。

大量の依頼を出す事もあって時間が掛かる。

メグが依頼の中で遠い物だったり、珍しい物に関しては請け負ってくれた。

注文書を書き終わったら、金貨で前払いを済ませる。

ギルドで依頼を出す場合は前払いで、依頼を取り下げる場合にはお金は戻ってくる。依頼する量が多いので前払いする金額も大きい。

「それではご依頼を受理しましたので、品物が入荷次第お届け致します」

「よろしくお願いします」

住所を記入していればギルドで依頼した物の大半は配達して貰える。

アレックスが故郷にいた頃は、近くの街でギルドを利用していたが、依頼を出しても届けるのは無理だと言われていた。

依頼した物を配達して貰えるのは初めての事だ。

エミーさんから注文書の控えを貰って依頼の発注は終わりだ。

部屋を出る前にエミーさんからメグを助けた事を感謝された。

街の外では可能な限りギルド員同士は助け合う事になっている。なのでアレックスもギルド員同士の助け合いを前提に動いていたとエミーさんに伝えた。

「それにエミーさんが採取場所を提案してくれなければ、あの場所には行っていませんでした。ですから、エミーさんが間接的に助けたとも言えると思います」

「私が助けたですか。偶然でも友人を助けられたとすれば、採取場所を提案して良かったです」

アレックスの横にいたメグが動いてエミーさんに抱きついた。

抱きつきながら感謝の言葉をかけている。

エミーさんは驚いた顔を一瞬した後に、嬉しそうにメグを抱き返している。友人だから当然とエミーさんは声をかけ返している。

二人は笑顔で話し合っているので心配は無さそうだ。

二人が落ち着くまで待って部屋を出る。

今日のギルドでの用事は終わったので次の目的に向かう事にする。

次は路地裏の鍛冶屋に向かおうと思う。

ギルドの出入り口までエミーさんが見送ってくれた。エミーさんにお礼を言ってギルドを出る。

ギルドを出てピュセーマを呼ぶと、すぐに降りてきた。

メグがアネモスを呼ぶと、同じようにすぐに降りたきた。

次に向かう場所を二羽に説明して、ピュセーマにはアネモスについて行くようにお願いする。

アネモスがメグを乗せて飛ぶのを確認すると、アレックスもピュセーマに乗って追いかける。

アネモスは路地裏の方に飛んで行く。

アレックスが初めて来る場所に降り立った。

ピュセーマから降りると、メグが目の前の建物が鍛冶屋だと言うので確認する。建物が周囲の大きさが合っておらず違和感を感じる。

「なんか家が大きくない?」

「中に入れば理由が分かるわ」

鍛冶屋だという家には止まり木が設置されている。

二羽には止まり木で待っていて貰う。

二羽に待っている様お願いした後、メグが中に入ると言うので、アレックスはついていく。

扉を開けると中は本当に鍛冶屋だったようだ。

作られた物や精錬した鉱石が無造作に置かれている。メグは更に奥に進んでいくので、後ろをついて行く。

炉がある部屋にたどり着いた。炉の前では家主であろう人が作業をしている。

炉に近づいていくと違和感を感じ始めた。

炉はとても大きいように思えるのだが、目の前で作業をしている人が大きいので普通の大きさに見えてくる。

不思議に思っていると、作業をしていた家主が手を止めると振り向いた。

「メグか。修理か?」

「今日は違うの。最近引っ越してきた錬金術師を紹介したくて」

「路地裏に錬金術師が来たのか?」

「そうなの」

アレックスは自己紹介をすべきなのは分かっているが鍛冶屋の姿に驚く。

目が一つしかなく、立派な象牙のような牙が生えている。

初めて見るが、亜人のサイクロプスだと思う。

大きな体をしている。店の改装作業をしてくれていたトロールと比べても一回りは大きいようで、四メートル近い身長がありそうだ。

鍛冶屋が他の家と比べて明らかに大きかったのは、普通の家では生活ができないので大きな家だったのか。

そんな事を考えていると、メグから紹介されて慌てて自己紹介をする。

「錬金術師のアレックスです」

「私は鍛冶屋のザック。ザックで構わん。錬金術師であれば何かと会う事も多くなるだろうし、よろしくアレックス」

「はい。ザック、よろしくお願いします」

アレックスが自己紹介が遅れてしまった事を謝ると、ザックは大きな声で笑いながら我に返ったのが早い方だと言う。

どう言う事か分からないので質問をすると、大体何回か声を掛けないとザックを見たまま固まっているのだと教えてくれた。

「話であれば少し待ってくれ、今やっている作業だけ終わらせる」

「急に訪ねてきたのは私なので、気にしないでください。都合の良い時にまた尋ねてきます」

「いや、作業はすぐに終わる。少し待っていてくれ」

そう言うとザックは作業を再開した。

ザックは炉の中に色々と素材を入れていき、一気に炉の火力を上げた。

炉の凄さは大きさだけではなく、性能自体も凄まじい物のようだ。

ザックが炉を触ると溶けた金属が出てきて取鍋の中に入れると、炉の近くに置いてあった型に流し込んだ。

どうやらザックがしていた作業は鋳造だったようだ。

炉が魔道具なのは予想できたが、炉の温度を上げても部屋の温度が上がらないので、家自体に色々と魔道具を使っていそうだ。

ザックの作業が区切りがつくまで待っていると、忙しく動き回っていたザックが止まった。

作業が終わったようだ。