軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

路地裏の錬金術師−2

路地裏の住人は良い人が多いようで、アレックスは安心する。

近所付き合いもうまくいきそうだ。

路地裏の住人たちに、先ほど店の住所が上手く説明できなかった事を相談してみる。

住人たちからは先ほどの説明で基本は問題ないし、店の名前があれば次第に浸透するだろうと言われた。

店の名前と言われて、店の名前を決めていない事に気づいた。

故郷だったら田舎なので店の名前なんてなくても問題なかったが、王都では必要になりそうだ。

店の名前は普通どうやって決めるのか分からず、店の名前はどう決めるのかと住人に相談してみる。

店名は人の名前が多いが、名前と関係ないのもあると教えてくれる。

住人たちは色々と店名の案を出してくれた。

自身の店を持っているスーザンが店名は自分でしっかり決めるべきだと言って、今は仮だと分かりやすい名称が良いと提案してくれた。

「路地裏には錬金術師がアレックスしかいないから、仮の呼び方で路地裏の錬金術師で良いんじゃないかい?」

「確かに路地裏に錬金術師は居ないな」

スーザンの案に路地裏の住人たちは分かりやすいと乗り気になって、アレックスは路地裏の錬金術師と呼ばれる。

アレックスとしては路地裏の錬金術師は覚えやすいので嫌な名称ではない。

だが覚えやすいが故に、そのまま通り名になってしまいそうだ。

どうしたものかと迷っていると、路地裏の住人たちから仮だからと言われて、店名を決めれば自然と呼び方も変わっていくだろうと了承した。

アレックスは、路地裏に錬金術師が他に居ないというのが不思議に思って、錬金術師は他に居ないのかと尋ねてみた。

若い住人たちは自分たちが住み始めた頃から錬金術師は居ないと言う。

スーザンや年齢が若干上の人は昔は錬金術師も居たが、再開発が決まった時に店を別の大通りに移動したと人が多いのだと教えてくれた。

若い住人たちも知らなかった事のようで、アレックスと一緒に年配の方々から昔の路地裏の話に耳を傾ける。

年配の方々の話によると、錬金術師以外にも治療院も多くあったし、宿屋も複数あったようだ。

年配の方々は、現在路地裏に残っているギルド員以外の職種について教えてくれた。

スーザンのような大工仕事をする工務店は再開発の仕事を請け負っていたので、大工関係の店は大半が残っているのだと言う。

職人は機織り兼仕立て屋、ランタン屋、ガラス屋、氷屋などが残っており、珍しいところだと鍛冶屋が一軒残っていると教えてくれた。

「こんな王都の中心に近い場所で鍛冶屋ですか?」

「そう思うのも当然だね。かなりの金額をかけて店を改装していて、炉も特注品で、店自体も音が外に漏れないようにしてるんだよ。移住が上手くいかなかった住人の一人だね」

炉の特注と音を漏れなくするのを錬金術で作業したとすれば、相当大変な作業になるのが予想できる。

大変な作業と言うことは金額もかなりの額になるので、簡単に移住できるような設備ではなくなってしまったのだろう。

鍛冶屋についてはギルド員たちも世話になっているのか、鍛冶屋の腕が良いことを教えてくれた。ギルド員たちは店主の見た目が独特なので、鍛冶屋に行く場合は覚悟して行った方が良いと助言を貰った。

言っている意味がよく分からないので困惑する。

困っているのを察したのか、路地裏の住人たちは怖い人ではなく優しい人だから心配するなと言う。

分かりずらいが、見た目が独特だが、腕は良くて優しい人か。

とりあえず悪い人ではないようだ。

錬金術をするには鍛冶屋に注文した方が早い作業があり、何処か注文できる鍛冶屋を探す必要があると思っていたので、いつか路地裏にある鍛冶屋を訪ねてみることにする。

アレックスは鍛冶屋の住所を尋ねて紙にメモしていく。

それ以外にも錬金術で必要になりそうな店の住所を住人たちに聞いていく。

聞いた店の住所を聞き終わったところで、メモに今書いた住所以外に書かれている住所がある事に気づく。

誰かに住所を聞いただろうかとメモを見ていると、王都に来た日に出会ったメグの住所を書いたのだと思い出した。

そういえばメグにも店の位置が決まったと連絡をした方が良いだろう。

路地裏の住人たちにメグの住所を見せて、王都のどこの住所か分かるか尋ねると、何故か路地裏の住人たちがアレックスを凝視してきた。

先ほどまでと違った対応にアレックスが戸惑う。

「どうしたんですか?」

「アレックスはその住所をどこで手に入れたんだい?」

「偶然助けた人の住所なんですが……」

先ほどから路地裏の住人たちの視線が、怪しい者を見るような視線になっているのを感じる。

誤解を何とか解こうと、慌ててメグを助けた時の状況を説明していく。

だが説明すればするほど怪しい者を見るような視線になって行きアレックスは慌てる。

何か他に説得できるものがないかと、証拠になりそうな物を探す。

手に持っている魔法鞄の中に、マンティコアを入れたままだった事を思い出した。

アレックスは魔法鞄の中から頭部だけを取り出した。

マンティコアの頭部を急に取り出したからか、路地裏の住人たちが固まった。

いきなり魔物の頭部を出せば固まるのは当然かと焦る。

取り出す前に説明すべきだったと後悔したが、マンティコアの頭部を一人のギルド員がじっくりと観察した後に感嘆の声を上げた。

「これ本物のマンティコアだぞ。解体の手伝いで何回か見たことがある」

「本物かよ!」

ギルド員であろう住人たちが大騒ぎを始めた。

王都ではマンティコアはそんなに珍しい魔物だったのか。

だったら何故あんな場所にマンティコアが居たのだろうかと不思議だ。

考え事をしていると路地裏の住人たちが再びアレックスに視線を集めた。

ギルド員であろう住人から、何故錬金術師がマンティコアなど倒せるのかと聞かれる。

それで誤解が解けるならと、マンティコアを倒した時の状況を再び説明していく。

説明が終わった後に、本当に錬金術師なのかと困惑した表情で住人たちから聞かれたので、国家資格を取った時に貰った書類を見せる。

それで住人たちは納得してくれた。

錬金術師でそこまで戦えて魔法が使えるのは凄いと興奮気味に住人たちから言われ、アレックスはそういえば魔導士資格も持っている事を思いだす。

住人たちに魔導士資格を取った事と書類を見せると、住人たちが書類に釘付けになった。

ギルド員であろう住人がとても興奮して褒めてくれる。

「すげー、本物だ」

「片方の資格でも凄いのに、錬金術師と魔導士の資格を両方持ってるって、アレックスは凄いな」

「両方は珍しいみたいですね」

一昨日と昨日の二日で資格を両方取った事を伝えると、住人たちから理解ができない物を見るような目で見られている気がした。

また怪しい者を見るような目に戻るのは嫌だと、試験を受ける前の故郷に居た段階で試験範囲以上にどちらも覚えていた事を伝えると、渋々な感じではあるが納得される。

住人たちが納得したところでアレックスの話からメグの住所に話題を戻す。

メグの住所を見せた時にそこまで警戒されたのかと住人たちに尋ねてみる。

スーザンが探している住所は路地裏一帯の顔役の住所で、住人たちが頼りにしている人物が住んでいるのだと教えてくれた。

それは新規の住人がいきなり住所を見せて場所が何処か尋ねたら、警戒されて当然だ。

直接メグに会いに行くのは住民の感情を考えればやめた方が良いだろう。

住人の誰かにメグに引っ越しをした事を伝えて欲しいとお願いしてみる。

するとスーザンが請け負ってくれるという。

「スーザン申し訳ないですが伝言をお願いします」

「良いんだよ。むしろアレックスは気を使ってくれたんだろ? 助かるよ」

住人たちの態度がメグの住所を出す前の状態に戻った。

ギルド員であろう住人が、マンティコアは頭だけなのかと尋ねてきたので、胴体もあるが解体されていない事を伝えると、解体をしようかと提案を受けた。

マンティコアの解体は是非お願いしたい。

他にも解体していない鎧猪が魔法鞄に入れたままなので、素材として使える状態に解体してしまいたい。

今後のことを考えると、魔物を解体できる場所を尋ねておいた方がよさそうだ。

路地裏に解体できる場所があるのかと住人に尋ねてみる。

住人たちが解体に使われる場所が路地裏にあると教えてくれたので、解体場所への案内をお願いできないかと相談すると、快く請け負ってくれた。

解体ができる場所は元々何かの作業場だったのか天井は高めだが、柱が巡らされているので魔物を吊り下げられるようだ。

解体場でマンティコアや鎧猪を出して、ギルド員の住人たちと一緒に解体していく。