軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

謎の未確認飛行結晶

幸いにもロープの世話にならずに空中破片パルクールは成功し、俺達は次の道路に飛び移ることができた。

第二の道路も最初のものと同じく、螺旋を描きながら昇っていっている。いったいどんな力が働いたらこんな風になるか、考えてもきっと答えはないんだろう。なぜマホウでマンションが作れるのか答えがないのと同じように。

しばらく歩き、また見つけた魔石をとったりして前に進んでいく。

さらに高度が高くなりさらに景色がよく見えると、元々国道があったところが数キロに渡って抉れているのがわかった。

アスファルトとその下の地面が力任せに引き剥がされたように、まっすぐ溝がどこまでも延びている。

上を見上げると、浮かぶ道路の下に一緒にひっついてきた地面が見える。あの溝にこれがぴったりはまっていたんだと思うと、あらためてとんでもない異常現象だ。

「すごいですね……。あの道路が、剥がれて曲がりくねって、ここで渦を巻いたなんて。どういうことか想像もできません」

「俺達が100均に長居してた間にこんな風になったなんてな」

「もしかしたら、遠くの方は前からすでに剥がれてたのかもしれませんね。遠くだから地面からじゃ気づかなかっただけで」

なるほど、楓の言う通りかもしれない。

これだけ大規模だと、俺達が見えてない、気づいてない時に変化した部分もあるかもな。

そしてこれだけの国道が大地から引き剥がされたなら、まだまだ距離はありそうだ。どんどん進んでいこう。

「よし、行こう。……久我?」

そういえば、久我の姿が見当たらない。

どこに……あ、いた。

久我は道路の逆サイドで、魔石を取ろうとしていた。

丸っこい青紫の塊に向かってスコップを使い引き剥がそうとしている。

「本当に魔石にかけてるな、今日は」と声をかけると久我はちらりとこっちに目だけ向けて、

「当然だ! そのために我慢してこんな高いところまで来たんだぜ。こいつも俺がもらう!」

久我がスコップを地面と魔石の間に差し入れて引き剥がそうとした瞬間。

魔石が回転しながら飛び上がった。

「な!? うおおおおっ!?!?」

勢いよく回転する魔石に久我が弾き飛ばされ、道路から転げ落ちる。

「うっ……わあああああああ!?!?!?」

「久我!? 楓、腰を落とせ! 支えるぞ!」

「はい!」

俺と楓は体勢を低くし、その場に踏ん張る。

ロープが伸び切ると、ガクンと体が引っ張られるが、二人がかりでその衝撃になんとか耐えきった。

「…………なんとか一緒に転げ落ちはしなかったか」

「ふう、びっくりしましたね。……っと、そうだ久我さん!」

楓がじりじりゆっくりと道路の逆の端へと歩いていく。すると、ロープでぶらんと宙吊りになっている久我の姿が見えた。

「おおおーーーい! 助けてくれーーーーー! 死ぬーーーーー!」

「よかった、ひとまず無事みたいです」

「あとは、根性入れて引き上げればいいな」

「それなら私に任せてください。鉄喰!」

楓がマホウを発動し、近くのアスファルトを取り込み腕を強化した。

マホウで強化した楓と俺の二人でロープを引っぱり上げると、なんとか久我を元の道路まで引き上げることが無事できた。

「っはぁーーー! はぁぁぁ………………死ぬかと思った、ぜ……」

「命綱が役に立ったな」

「ああ、本当に。助かったぜふたりとも。ありがとな」

パン! といい音を立てて久我が両手をあわせた。

「特に楓ちゃんありがとな! くっそ力持ちなんだな! かっけーじゃんその手」

「い、いえ、そんな。大げさです、気にしないでください」

大げさにお礼を言われて楓はあわあわしている。久我がその楓を拝んでいる。なんか面白い光景だ。

「しかし、何があったんだ久我? 俺の位置からは急に魔石が動いてふっとばされたように見えたけど」

「そうだよ! 魔石が、魔石が俺をぶっ飛ばしやがったんだ! ほら、あそこにいやがる!」

久我が道路の前方20mくらいのところを指差す。

そこには、……そこには?

「なんだ……あれ?」

「飛んで……ますね……魔石が。羽生やして」

魔石が羽ばたいていた。

意味がわからないと思う、俺も意味がわからない。

道路の上2mくらいの高さのところを青紫色のメロンサイズの石が飛んでいた。しかも、それは光が透けるほど薄い半透明の四枚の羽根を羽ばたかせている。

意味がわからない。

これも異常環境のなせる技……ってことなのか?

「ああ、異常だし飛んでるけど魔石には違いないんだろ、だったら回収するだけだ!」

久我は立ち直ると羽魔石へとダッシュする。

だが羽魔石はひらひらとからかうように羽ばたき、スコップを振り回し打ち落とそうとする久我をかわす。

「ぐはっ!」

しばらく弄んだ後横っ腹に体当たりをすると、ふわふわっと遠くまで飛んでいった。

「ちくしょう舐めんなよ石ころが!」

久我は地団駄を踏んで追いかけるが、また遊ばれている。

空を飛んでるやつ相手ならそうなるのが必然だろう。

俺と楓は遠巻きにその様子を眺めながら、

「なんなんでしょう、あの魔石」

「こういう異常な場所だからな。その影響で魔石が魔獣の一種みたいに変化したのかもな」

「そんなこともありなんですか」

「もうなんでもありの世の中だよ、本当に」

「でも……そんな特殊な魔石なら、久我さんの言う通り、捕まえたらかなりのものになりそうですね。難しそうですけど」

「だが何か手はあるはずだ。俺達も最初の頃とは違って色々通販で買えるようになってるしな。なんとかして一稼ぎしてやろう、楓」