軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

100

そのものの破損したものや一部であっても、昔馴染みのある商品を通販のラインナップに加えられる。

そのことがマンション住民の間にあっという間に広まると、皆がこぞって物資を求めて朝から晩まで出かけ始めた。

魔石なんてかまっていられない、壊れていてもあのお気に入りの品物を手に入れるのだ。

という意気込みを皆しているけど、なんか忘れてないか?

結局通販に掲載されるだけで、実際手にするにはMPが必要だっていうことを。

しかも、マンション通販にデフォルトでおかれているものと比べて割高なんだよな。

まあ理屈はわかる。リサイクルボックスであれこれして再現してるわけだから、その分手間賃がかかるってことは。

だけど足下見てるよな、絶対。

マンションが足下見るってのも妙な話ではあるが。

俺はまあまあ資金に余裕はある。

手を付けないで貯MPしてる分が約30000MP。日常で使っていいことにしてる分が約5000MP。

ブランド品はともかく、普通のスーパーやショッピングモールで売ってるものなら問題なく買うことはできる。

なので、今日もまた南へと来ていた。

地下ショッピングモールはかなり探索したが、まだ上には色々他の店がある。

無法者たちに荒らされた後でまともな物資は残っていない――のは昔の話。今のうちにとっては、無法者たちの目にはゴミにしか見えなかったものでも、復活のチャンスがある。リサイクルボックスでの復活を考慮に入れれば、まだまだ物資は残っているというわけだ。

国道沿いの店を見ていくと、ひときわ目をひく建物があった。

広い二階建てで、大きなエメラルドグリーンの看板が今でも残っている、100均の店。

「これだ。こういうのを待っていたんだ」

俺の日常生活もだいぶ便利になった。

エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、洗面用具、文房具、棚に洋服などなど、生活するうえで必要なものはほぼ揃ったと言ってもいいだろう。

だが、日常のふとした瞬間にちょっとこういうのがあればな、って気分になることがある。そんな思いを解決してくれるのはいつも100均だった。

こういうの欲しいなと思った時にいくといつもこういうのがある。

だから100円じゃない商品が結構あるとかそういうことは気にしなくていいんだ。

きっとここで商品を探せば、 生活の端々がより便利になる。

俺は100均の店内に突入した。

店内は思いの外無事だった。

広いフロアにところ狭しと商品が並べられていたそのままとはいかないものの、大半がガレキに埋もれているということはなく、フロアの大部分は歩くことができる。

ただ、建物は無事だが商品はそうとばかりもいえないようだ。

100均の様々な商品も多くが持ち去られたり棚を力任せに壊したり散らかした形跡があり、店内はしっちゃかめっちゃか。

しかも、魔石化は100均の商品にも容赦なく訪れ、棚や床と一体化して魔石になった、どことなく元のプラスチック製ボックスや風呂桶などの形を残した魔石があるのは面白いところだ。

状態のいいものはやはり他の店と同じように持ち去られているが、だがそんな中でも、一部でいいなら破損した商品を見つけることはでき、俺は色々と魔法の鞄に詰め込んでいった。

マンションに帰りそれをリサイクルボックスにいれると――。

「あるある、100均のもんがたくさん加わってる」

マンション通販に新商品の100均コーナーが加わっていた。

そこをスクロールしながら見ていく……。

「お、これが今の家にはなかったか」

冷蔵庫や一部の壁に使えるマグネット。

そういえば昔の家にはこれがあった。

ないならないでなんとかなるから忘れてたけど、あるならあるで便利なんだよな。これは購入。

「……あ、これもいいな」

食品を保存するビニールパックとプラスチックのケース。

食べきることが多いけど、たまには保存したいときもある。これまでは無理やりラップに巻いていたけど、こういうものの方がいい。液体も保存できるし。

「これも買っておこう」

好きな場所に使えるタオルかけ。

それに風呂の石鹸スタンド。

静電気ガード。

ふわふわした素材に取っ手がついていてホコリをとるやつ。

ベタベタしたシートで服についた糸くずをとるやつ。

冷蔵庫の中に置いて仕切りを増やすやつ。

もう正式名称がよくわからないものも含めて、色々と買っていく。100均って、名称のよくわからないワンポイントで便利なものがたくさんあるよね。

それらを家にセットしていくと――うん、いい。

劇的に生活が変わるわけじゃない。

でも、確実に日常の些細な瞬間に便利さを感じる。

こういのが100均の真骨頂だと思う。

あってよかった100均。

それを噛み締めながら、俺は服の糸くずをとっていった。