軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二○○

「ありがとう、集まってくれて。実はやりたい計画があるんだ」

翌日、俺は前回会議をしたのと同じマンション裏庭の芝生に、住民達に集まってもらった。

「緊急会議? また何か新しいマンションの機能が解放されたの?」

「いやそうじゃない。新しい機能はない。けれど、新しい状況になったんだ」

「どういうこと?」

「ちょっと長くなるが――」

俺は雪代の質問に、全員に対して説明を始めた。

まず一番に見るべきは、先日解放されたサービス通販だ。

【サービス通販】

◆整体 ――800MP

◆美容院――カット 500MP

――カラー 500MP

◆ホームクリーニング 2000MP

◆家庭教師 2時間 500MP

そして【サービス通販用部屋割り当て】だ。

◆美容室化 150000MP

◆接骨院 100000MP

◆カラオケボックス 150000MP

前半はすでに利用したが、後半の方は必要MPを見て無理だと即諦めて、タップして見られる詳細説明ページを隅々までチェックしていなかった。

だが、後にしっかり細かいところまで説明をちゃんと見たところ、実は気になることが書いてあったことに気付いた。

『専門化した部屋の利用料として使われたMPの一部を得ることができる』

そう書いてあったのだ。

つまるところ家賃と似たようなものだろう。

家賃も払ったうちの一部が俺のふところに入ってくる。

それがこの美容室やカラオケボックスでも同じようになる、そういうことらしい。

もし客がたくさん入れば、MPをたくさん稼ぐことができる。

だがしかし、うちのマンションの住民が全員利用したとしても、元を取るのに何年かかるのかって感じだから結局は割にあわないことに変わりはなかった。

だが、状況が変わった。

大勢の人間がいることがわかったのだ。

「自警団」だ。

彼らは数十人が集団生活をしていると言っていた。

ということは、彼らを顧客にすれば美容室の利用者数も数十人になる。

そうすれば、美容室を建設してその費用を稼ぐことは現実的なラインになり、元を取った後は、継続的な収入になる。

「――さらに、もちろん俺たちも自宅派遣じゃなくて設備のそろった美容院を利用できる。どうだ、悪くない話だと思わないか?」

俺は、集まった住民にこのアイディアを話した。

住民達の反応は……結構いい感じの表情をしているように見えるな。

「あの、質問いいですか?」

と手をあげたのは成瀬だった。

「もちろん、なんでも聞いて成瀬くん」

「それって、その自警団っていうところの人達がこのマンションにたくさん来るんですよね。大丈夫でしょうか」

なるほど、その心配はもっともだ。

一人二人ならともかく、たくさん来るわけで、不安になるのもわかる。

と、天音も成瀬に続いて口を開いた。

「そうよ、九重くんがマンションのこと隠してたじゃない。不平不満がたまらないようにしないとって」

「ああ、その指摘はごもっともだ。俺もこのマンションに人を呼ぶつもりはない」

「じゃあどうやって美容室を作るつもりなのよ、マンションの部屋を改造するんでしょ、その機能って」

「……星魔石」

天音が黙りこくった。

そう、あの時天音と一緒にとったあの、星魔石だよ。

「星魔石ってなんだっけ? 忘れちゃったわ」

「おい」

そこももう一度説明しなきゃいけないようだった。

だいぶ昔のことだし、ここに集まってる人の中にも知らない人がいるし、まあもう一度話しておこう。

ということで、星魔石のことを俺は説明した。

数ヶ月前に自然公園を探索した時に見つけた、特別な魔石、それが星魔石。

星魔石をリサイクルボックスに投入すると、通常のMPとは違うMMPというものに変換され、そのMMPでは特殊なことができる。

そして、そのMMPでできることは、

────────────────────────

マンション機能拡張ツール/要星魔石/必要MMP 1

・敷地拡張

・タワマン化

・豊饒の大地

・マンション外監視

・第二マンション建設

────────────────────────

これだった。そして、この中の最後の第二マンション建設は……。

【・第二マンション建設

もう一つマンションを作れる。

新たなマンションは現マンションと同じ機能を有し、初期状態から始まる】

「まさか九重くん、新しいマンション作るつもりなの!?」

説明を聞いた天音が裏返った声で尋ねる。

俺は、ゆっくりと頷いた。

「ここから離れたところに第二マンションを建設する。知らない人もいると思うけど、マンションは最初は101号室のみからスタートしたんだ。だからその部屋だけがある状態で第二マンションも始まるから、その101号室を部屋改造によって美容室にすれば、ここのマンションのことは知られずに、美容院を利用してもらえる」

「そういうこと。たしかに……いけそうね」

「うんうん、やれそう。私達がお店を開くってことでしょ、面白そうだねそれ!」

天音だけでなく雪代も乗り気だ。

実際ここが星魔石の使いどころだと思う。

使わずずっとためこんでても、機会損失がもったいないしな。

今まさに使えば便利な場面が来たんだから、ここで使うべき。

それに……そこで稼いだMPでさらにカラオケとか整体とかを作れば、第二マンションを様々な施設が入ったビルのようにできる。

そうなれば、かつて町が健在だった頃にある施設全てを復活させることも夢ではない。……というのは言いすぎかもしれないが、いずれはかなり取り戻せるはずだ。

なかなか夢のある話じゃないか。

それに、カラオケボックスが俺たちが住んでるマンション内にあったらまた騒音トラブルになるかもしれないしな、くくっ。

そういったことまで踏まえると、別マンションに集約するのがベスト。

ここがMPと星魔石の使いどころだ。

「そういうわけで皆、俺はこれをかなりいい選択だと思ってる。結構なMPと、貴重な星魔石を使うことではあるけど、どうかな」

住民達はすべての説明を理解した。

そしてそこから全員でこの計画の議論をしたが、結論が出るまではそう時間はかからなかった。

「どうなるか楽しみだなあ、新しいマンションなんて」

「出費は痛いですが……美容院の儲けは皆に分配されるなら、きっと長い目で見れば得ですよね! あの方達もきっと使うでしょうし!」

雪代も日出も、それ以外も皆が賛成してくれた。

おそらくこれまでで一番大きな決定事項。

新マンション建設とサービス施設化が、ここに決定した。