軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【20】村人達、故郷に帰る。

「皆さーん! こちらがペロモールです!!」

──次の日。文官達が忙しく働いている間、俺と暇を持て余したペロとフィオナさんがペロモールの案内ツアーをすることになった。

村人達の引っ越しも落ち着いてきたからだ。

「すごーい!! 何ここ?!」

「……まるで天国のようだ。お、俺達はまさか死んだのか?」

素でボケている村人に俺は心の中でツッコミを入れる。

いや、死んでねぇし!

「カワグチさん。皆さんすごい驚いてますわね。……というか、昨日街を作ったという現場、私も見たかったですわ。呼びに来て欲しかったですわ」

そう言ってフィオナさんが少し拗ねたように溜息を吐いた。

「確かに!! あれは感動するから一回見といた方がいいのう!!」

ペロが少し自慢気に尻尾をブンブン振った。

「気が利かなくてすみません。じゃあ今度次の村の住人が来た時見せますんで」

俺が慌てて約束すると、フィオナさんが真剣な目で頷いた。

「──絶対ですわよっ!!」

そんな事を話していると、村の子供がクイックイッと俺のシャツを引っ張ってきた。

「お兄ちゃん、あれは何ー?」

「あ、あれがパン屋でここが、惣菜売り場でーす。出来立ての料理が売られる予定です」

説明した途端、「おおおおおおお!!」っと、どよめきが起きる。

「すげぇー! 一箇所で全部買えるのか! やっぱ俺ら死んでんじゃねぇか?!」

また誰かがそんな事を言い出したので、俺はすかさずフォローする。

「……大丈夫ですよー!! 生きてまぁーす! ちなみにここは皆さんの職場になる可能性が高いので、出店されてる飲食店などを見て、やりたい仕事を考えておいて下さいね。また、自分がお店を出店したい方がいたらグレイスさんに申請して下さいねー!! 面接は王都から来た文官さん達がしまーす! もし、あと相談したい事があったら、ゲイルさんを通して僕に伝えてくださぁーい!!」

……と言いながら、「大変なので直接言いに来ないでください」という主旨を無難な感じでアピールする。

「ここがテナントのドーナツ屋、たこ焼き屋、ラーメン屋、牛丼屋、ハンバーガー屋、アイスクリーム屋、うどん屋ですー」

俺が案内すると村人達が顔に疑問符を浮かべる。

「う、うどん? らーめん? な、なんだそれ?」

「あ、異世界の食べ物です。ラミア村の人達がのこの世界で初めて異世界食を作ることになるんですよー!!!」

俺の言葉に歓声が湧いた。

「まじ?!」

「すっげー!!!!」

俺が案内する度に何故かどよめきが起きるので気持ちよくなってしまう。

うん、この人達、なんかいい人達だな。

そして、百均やテナントフロアなど一通り案内する。

テナントフロアにはこの前なかった蕎麦屋と回転寿司屋、カレー屋とイタリアンのチェーンが入っていた。

あれ? この前はなかったのに。ま、いっか。寿司食べたいし。

そんな事を思いながら3階まで上がり、ゲームコーナーや映画館を案内する。

「こんな感じでーす。……ってあれ?」

よく見ると村人の皆さんが衝撃的な顔で固まっていた。

「カワグチ様、あまりに今までの住んでいた環境と違い過ぎて、皆さんびっくりされたんですわ」

フィオナさんがコソッと教えてくれた。ペロはフンフン言いながら尻尾をペシペシしている。

ああ、なるほど!

カルチャーショックってやつか。

俺は納得して頷いた。

「なお、本当はこのお店は貴族向けですが、皆さんは村人証の提示で半額で利用できますんでー!!!」

俺が叫ぶと、皆さんがやがてじわじわと喜びを爆発させる。

「やったー!!!」

「いいんですか?! こりゃすげぇぞ!!」

歓声が上がる中、俺は皆をさらに案内する。

「はい!じゃあ次は昨日作った住宅街に案内しますよー!!!」

そう言って俺は地下一階のエレベーターのボタンを押す。

その様子を村人達が興味津々に見ている。

「このボタンを押すのー? 僕、押したい!」

小さい男の子にキラキラした目で言われたので、子供達に順番にボタンを押させてあげた。

「はーい。じゃあドアが開いたらみんな乗って下さいね。これで扉が開いたままになります。まあ、マンションにもあるので使い方、もうわかるかもしれませんが。今回の目的地は今回はB1──地下一階です。他の数字を押したら他の階でも止まります。僕は一番最後にいきますー。皆さん待ってて下さいね」

こうして村人達を地下一階に送り込む。

最後の村人がエレベーターに乗るのを確認した後、俺とペロとフィオナさんも乗った。

「──何度乗っても凄いですわね。…エレベーターって」

その言葉にペロも頷いた。

「異世界は色々進んでおるのう」

「まあ、その代わり向こうでは魔法は使えないんですけどね。エレベーターもエスカレーターも人が作ってるんです。要は科学、この世界で言えば魔道具が発達してるんですよ」

そんな事を話しながら地下一階に着く。

すると、皆さん無事に集合していた。

「皆さーん!! 今度はこっちのエレベーターに乗って下さい!」

俺は村の人達が住宅街を見てどんな顔をするのかワクワクしながら声をかけた。

◇◇

「こ、これは……!!」

「あの子のお墓だわっ!!」

着いた瞬間、カミルさんとハンナさんが息子さんのお墓に駆け寄った。

「っうう、よかった、本当に良かった……」

言いながら二人は泣き出してしまった。

「こ、これはなんという!! とても美しい……! しかもあの木は……」

そう言ってザイルさんが目を見開いた。

「ええ。村から持ってきました。だって愛着があるものがあると、帰ってきたって感じがするでしょ?」

何人かが呆然とした後、カミルさん達と同じように泣き出してしまった。

「僕のお家があるっ。あ、しかもすんごい綺麗になってるし」

ザイルさんは自分の家を見つけると、そっと扉に手をかけた。

「……妻と過ごした家じゃ。でも、きちんと、魔道具などは変わっておるのじゃな」

「──皆さんが過ごしやすいように僕の魔法で異世界風に補強しちゃったんですけど……」

怒られるかなぁと思いきや、意外と好評でホッとする。

すると、何人かが声をかけてきた。

「あの……。こんなにいい家になってるならやっぱりこっちに住みたいって言ったらまずいですか?」

その言葉に俺は笑顔で答える。

「大丈夫ですよ。一応全部の家を出しといたんで。

──あ。その前に」

俺はエレベーターの建物の目の前にスキルを使用して看板を立てた。

──『ラミアタウン』。

その文字を見て村人達が目を見開いた。

「──これは!!」

「あ、ここの住宅街の名前です。故郷に帰ってきたみたいで嬉しいでしょ」

俺がそう言うと感動した村人達にもみくちゃにされてしまった。

「カワグチ様っ!!」

「一生ついていきますっ!!!」

そう言ってなんと彼らは俺の胴上げを始めてしまった。

「うわぁあああああっ!」

「「わーっしょい! わーっしょい!!」」

こうして村人達の引っ越しが無事済んだ。

──ちなみに結局全員が、「家が新築になって魔道具がついたならペロモールと直通なのでラミアタウンに住む」と言い出したので、マンションがガラガラになってしまった。

◇◇

「そうですか……。まあ、結局住み慣れた村の方がいいですよね」

俺と村長のゲイルさん、そしてフィオナさんとペロが集まり、カフェテリアでグレイスさんに報告する。

するとグレイスさんが複雑そうな顔をした。

「せっかく住む場所を用意していただいたのにすみませんのう」

ゲイルさんが申し訳なさそうに言ったので俺は首を振る。

「いや、いいんですよ。どうせ家賃はこっち持ちだったんで僕としてはどちらでもいいので。せっかくなので村人達がいなくなったら、クリーニングして文官さん達に住んでもらうことにします。全員引っ越しが済んだら僕の魔法で自動クリーニング出来るみたいなんで」

俺がそう言うと、グレイスさんが眉尻を下げる。

「でも、流石にすぐ文官達は二棟使うかはわかりませんけどね」

俺達が空いてしまったマンションをどうするか頭を悩ませていた時、村長のゲイルさんがこんな事を言いだした。

「その……こんな時に申し訳ないのですが、相談したい事があるんです。実は一部の村人達からワシに相談が寄せられていまして。農家をやりたいとの事だったんですが、周りが高い建物ばかりだと困る…とのことだったのですが」