軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

35.慣れって怖いよね

『おめでとうございます。デイリークエストをクリアしました』

『活動実績を算出……完了』

『ボスモンスターの降伏を確認』

『成功報酬 ポイント+10を獲得しました』

『追加報酬 ポイント+40を獲得しました』

頭の中に響くアナウンス。

あの後、俺はマザー・スネイクの降伏を受け入れた。

もしノーを選択していたらどうなってたんだろう?

「まあ、楽にポイントが得られるならそれに越したことはないしな」

イエスを選択した時の、マザー・スネイクの安心した表情が切なかった。

俺たちとの戦いがそんなに怖かったのだろうか?

しかし同じ個体のマザー・スネイクが現れたときには驚いたが、思い返してみれば雷蔵も、チュートリアルの時のゴブリンだった。

モンスターの再利用は『異世界ポイント』ではよくあることなのかもしれない。

あまりのびびりっぷりに、ひょっとしたら 従属(カード) 化出来るのかとも思ったが、ボスモンスターは従属化が出来ないらしい。

「欲を言えば、周回も出来れば最高だったのになぁー」

他のデイリークエストと違い、日曜のボスイベントだけは周回が出来ない。

報酬がポイントだけだからだろうか?

でも確かに追加報酬ありで周回できれば、無限にポイント手に入っちゃうもんな。

そりゃ都合がよすぎるか。

「そういえば経験値はないのか」

マザー・スネイクが降伏したからか、もしくはボスクエストだったからか、経験値獲得のアナウンスは流れなかった。

おそらくはそういう仕様なのだろう。

「さて、デイリークエストも終わったし、次はメインストーリーの方を進めるか」

戦闘がなかったおかげで、精神的にも体力的にも余裕がある。

まずは掲示板で情報収集とも思ったが、検索した感じメインストーリーの内容についての書き込みは妙に少ないんだよな。

感想は多くみられるが、具体的な内容が薄い。

(……もしくは意図的に削除されてるか)

スレを立てられるなら、スレを編集出来る可能性も高い。

意図的にコメントを削除し、情報を独占する。

ぽるんがが情報を高ポイントで取引しているなら、それくらいはやるだろう。

ポイントはプレイヤーにとっての生命線なんだし、少なくとも俺がぽるんがの立場なら、絶対にする。

「まあ、それならそれでいいさ」

初見プレイでしか得られない楽しさがあるのもまた事実。

まあ、これは俺がエンジョイ勢で、ポイントにも余裕があるからそう思えるのかもしれない。

絶対にミスしたくないってプレイヤーもいるだろうし、そこは人それぞれだ。

「あ、ショップの確認はしておかないとな」

オススメ商品があるかどうかはちゃんと確認する。

うーん……今回はないみたいだ。

それじゃあメインストーリーを進めよう。

『メインストーリー3を開始するには、以下の条件を満たしてください』

『サブクエスト

グランバルの村でメイメイ・メイと再会する』

「へぇー、イベントこなさなきゃいけないのか」

そういうのもあるんだな。

でも、これはこれで面白そうだ。

しかも条件がメイちゃんとの再会ならば申し分ない。

また会いたいと思ってたし。

「えーっと、こっちをタップすればいいのか?」

サブクエストの方に触れる。

『サブクエストを開始します』

『クリア条件 メイメイ・メイと再会

成功報酬 光る石、1,000イェン』

白い光に包まれ、俺の視界が暗転した。

目を開けると、そこはグランバルの森の入り口だった。

メイちゃんと別れた場所だな。遠くに彼女が向かった村も見える。

さっそく雷蔵と雲母を召喚し、フィールドマップを確認する。

「あれ……? フィールドマップがでない?」

いつもはあるはずのフィールドマップのアイコンがない。

画面に表示されるのはワールドマップだけ。

「サブイベントってフィールドマップがないのか」

そういえば、前回EXステージをクリアした時に、『ワールドマップの移動が可能になった』とアナウンスがあった。

つまり今までと違い、オープンワールド的な形式になったってことなのか?

「あ、よく見ればワールドマップの方に矢印があるな」

グランバルの森から少し離れたところで点滅している。

距離的にもメイちゃんの居場所――グランバルの村で間違いないだろう。

「んじゃ、行くか。雷蔵、雲母」

「ウガォゥ」

「きゅー」

俺たちはメイちゃんと再会するために集落を目指した。

それなりに距離はあるが、歩いていればそのうち着くだろう。

「ま、急ぐ理由もないしな」

暖かな日差しと、肌を撫でる風が気持ちいい。いい景色だ。

一応、モンスターの襲撃も警戒しながら、俺たちはメイちゃんがいるであろう村を目指した。

この時、俺はある重大なことを忘れていた。

その代償を村の入り口までたどり着いたときに支払うことになる。

「待て怪しい奴め! とまれ!」

「なんだこの怪しいを絵にかいたような男は!?」

「お前のような男を村に入れられるか! 帰れ!」

「あっ……」

そう、あまりに自分のスタイルに慣れ過ぎてしまった結果、俺は自分がどれほど変態チックな格好をしているのか、それを他人が見たらどう思うのかをすっかり失念していたのであった……。

うん、慣れって怖いよね。

畜生。