軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

17-17.ピンク色の災い(2)

サトゥーです。プログラマーをしていた頃は毎日何杯もコーヒーを飲んでいました。職場の福利厚生で無料で飲めたというのもありますが、徹夜続きの目覚ましについ飲んでしまうんですよね。

「君達がエチゴヤ商会の使者?」

王立研究所の次席研究員がオレ達を見て、訝しげに確認してきた。

今日は変装しているし、同行者が幼女三名なので使者に見えなかったのだろう。

「ええ、その通りです。本日はお時間を頂き感謝しています」

塔でドロップするコーヒー飴やコーラ飴の習慣性について詳しく話を聞くために来ている。

「私に尋ねたい事があるとか?」

「はい、次席研究員――」

「私を次席と呼ぶな!」

余裕ぶっていた態度が「次席」という言葉を聞いた途端に掻き消えた。

そういえば前に塔で会った時、彼は役職名で呼ばれるのを嫌がっていたっけ。

「失礼。あなたがエチゴヤ商会に提出した資料の所感にあった飴の習慣性についてお伺いしたいのです」

「よかろう。動物実験では有意の変化は見られなかったのだが――」

次席氏はポケットから取り出した飴をボリボリと食べながら続ける。

「一部の人間、人族や亜人の区別なく、飴に執着心を見せる者が散見された。禁止薬物とは違い、強烈な禁断症状は無いようだが、人によっては飴を長時間絶つと集中力を欠いたり短気になったりという症状はあるようだ」

症状は個人差が大きいそうだ。

「酒好きの者が禁酒している時のような感じでしょうか?」

「確かに近いね。サガ帝国出身の研究員によると、コーヒーを絶った時に近いと言っていた」

次席氏の話によると、サガ帝国出身の研究員というのは重度のコーヒー好きらしく、一日に十杯近く飲むらしい。

「カフェイン依存症かしら?」

「聞いているとそんな感じだね」

オレの耳元に囁くアリサに首肯する。

「それはどちらの飴でもですか?」

紅茶やお茶にも含まれるけど、コーラにはそれほどカフェインは含まれていない覚えがあったので尋ねてみた。

「どういう意味かな?」

次席氏の瞳がギラリと輝く。

「コーヒー飴だけに習慣性があるのか、それともコーラ飴も含むのか、それが知りたいのです」

「いい質問だ。習慣性があるのはコーヒー飴だけだ。だが、両方の飴を食べる者ほど問題の症状を示す者が多い」

「相乗効果があるって事?」

「難しい言葉を知っているな。その通り――と言いたいところだが、そう断定するにはサンプル数が少なすぎる」

次席は「もう少し予算があれば」と呟いてからチラリとオレを見る。

分かり易い彼の態度に笑みが漏れそうになる。

「いいでしょう。必要な予算の見積もりをエチゴヤ商会に提出してください」

オレはそう言って、金貨100枚ほどを前渡ししておく。

「こ、こんなに?」

受け取った次席氏が手を震わせている。

「盛った結論とかはいらないから、どんな結果でも正しいレポートをお願いね」

「う、うむ。任せておきたまえ」

アリサの念押しに、次席氏が鷹揚に頷く。

研究費が十分でないのは異世界でも同じらしく、次席氏は最初に会った時とは別人のように愛想良く王立研究所の玄関まで見送ってくれた。

「あの人も飴中毒だったみたいね」

「ん」

「ボリボリ~?」

次席氏は話の合間にボリボリと飴を食べていた。

誰かに指摘されたか、自分で気付いたのかは分からないが、それで所感に習慣性があると書いたのだろう。

「メネア」

「髪キレ~?」

王立研究所の近く、王立学院の魔法学舎前でメネア王女を見かけた。

タマはメネア王女のピンク色をした髪にキラキラした瞳を向けている。

「モテモテね~」

騎士学舎の美形男子達に囲まれている。

――いや、違うか?

「絡まれてないか?」

「ほへ? そういえば皆表情が硬いわね」

オレは変装していたマスクを外し、馬車の中から「メネア様」と声を掛けた。

「サトゥー様」

「これから騎士団本部へ行くのですが、ご一緒にいかがですか?」

オレは馬車から降りながらメネア王女にそう声を掛け、今気付いたとばかりに騎士学舎の生徒達の方に視線を向ける。

「ご歓談中でしたか?」

「いえ、不躾に詰問されただけです」

小国とはいえ、他国の王女を囲んで詰問?

国家間の距離や情報伝達速度が地球とは大きく違うから一概には言えないけど、普通に国際問題になりそうな案件だ。

「詰問なんて、そんな!」

「僕らは殿下にピンク髪をした幼い親戚がいないかお尋ねしていただけです」

そういえばメネア王女の妹姫も王立学院に通っていたっけ。

「なぜ、そんな事を?」

オレが勝手にその事実を伝えるのも個人情報保護の観点から控えるべきだと思ったので、彼らにそんな事を聞いた理由を尋ねてみた。

「僕達、さっきまで塔にいたんです」

いきなり話が飛んだな。

「塔の四階でオーガに遭遇したんですけど……」

「四階に?」

アリサに顔を向けるが、彼女は首を横に振った。

彼女もそんな状況は知らないらしい。

タマもぶんぶん首を振った後、虎人の着ぐるみのせいでバランスがおかしかったのか、ぐるんぐるんと転がって楽しそうにしていた。

少し気になったのでマップ検索してみたが、王都近くの塔の四階付近にオーガはいない。

「よく生き延びられたわね」

「ええ、運が……良かったんです」

運だけでは片付けられない何かがあったようだが、それは本題じゃなさそうなので聞き流す。

「それで、オーガに遭遇した事とメネア様に絡んでいた理由とどう繋がるのかな?」

「幼い女の子の声がオーガを嗾けていたんです」

「それでこいつが――」

生徒達が眼帯を着けた少年を前に押し出す。

「俺は見た」

少年は眼帯を押し上げ、その下から現れた金色の瞳を晒しながら続ける。

「影に紛れて、殿下と同じ綺麗なピンク色の髪をした女の子達がいたんだ」

彼は魔眼持ちらしい。

精霊視とは違うようだが、その魔眼で他の生徒達に見えない幼女達を目撃したようだ。

「ピンク色の髪の幼女か……」

何か記憶を刺激する。

「影城の絵!」

アリサが叫んだ。

「影城?」

メネア王女がその単語に反応し、アリサを見る。

そうか、ルモォーク王国、メネア王女の故郷にあった影城の中で、オレに似た姿をした人物と一緒にピンク色の髪の幼女が描かれていた。

オレは撮影してあった絵の幼女部分を複写した紙を、胸元の隠しから取り出した風を装ってストレージから取り出す。

「こんな顔か?」

オレは紙を魔眼少年に見せながら尋ねる。

「か、顔はよく覚えていないんだ。髪型や髪飾りは似ている、気がする」

頼りない答えだが、オーガから逃げるのに必死だったらしいし、仕方ないのかもしれない。

「なら、メネア王女は無関係だ。この件は宰相閣下の預かりになる。ここにいる者以外には口外しないように」

「あの……オーガの件はギルドに報告してしまったんですが……」

ギルドとはシガ王国の迷宮資源省が塔前に派遣している管理事務所の事だろう。

「そちらは別に構わない」

口止めしたいのは風評被害でメネア王女や妹姫が迫害されない為だからだ。

宰相の名前を勝手に出してしまったのは後で問題になりそうだし、後で宰相に報告して怒られよう。

オレは彼らに情報提供の礼と口止めに人数分の銀貨を握らせ、メネア王女を乗せて王都郊外にある塔へと向かう。

メネア王女は適当な場所で下ろそうと思ったのだが、暇だからと言ってついてきた。

オレの横に陣取ったメネア王女が、スキンシップ多めだったせいか、塔に向かう馬車の中は「ギルティ」宣言が乱発されていた事を記しておく。

「飴を売ってくれ!」

塔前の管理組合事務所前で馬車を降りると、中年男性が塔から帰還した者達に飴の売却を迫る声が聞こえてきた。

「ダ、ダメなのです。飴はギルドに売る決まりなのですよ?」

「そんな事は分かっている! だから倍の値段で買ってやると言っているんだ!」

特徴的な口調に振り返ると、ブチ犬に変装中のポチがいた。

マブダチ君や舎弟君達も一緒だ。

「だから、ダメだって言っているだろ?」

「そうだぜ! 姐さんをいじめたら承知しないぞ!」

飴おじさんにまとわりつかれて涙目のポチを、マブダチ君や舎弟君が頑張って引き剥がそうとしている。

オレは彼らに加勢しようと足を向ける。

「この匂いはご主人様なのです!」

オレが声を掛けるよりも早く、ポチがオレの匂いに気付いて振り返る。

瞬動で飛んできたポチを抱き留め、ぐりぐりと擦りつけてくるポチの頭を撫でる。

「魔王殺し?」

「うわ、ペンドラゴン閣下だ!」

「すげー、本物だ!」

オレ達の方を見た人達がざわざわと言葉を交わす。

そういえばメネア王女を助ける時に変装を外してそのままだった。

握手を求める人達に応えつつ、ポチを連れて組合事務所へと向かう。

なお、ポチを涙目にしていた飴おじさんは、殺到する人々に突き飛ばされて視界の向こうへ消えていった。

「ペンドラゴン閣下! ご高名な閣下にご視察いただき我ら職員一同、光栄に存じます」

事務所に入るなり、職員全員で出迎えられてしまった。

入ってすぐはギルドホールというか市役所の窓口のような場所だ。

オレは職員達に出迎えの礼を告げ、所長と書記官を連れ別室へと移動する。

「四階層にオーガが現れたと伺ったのですが、何か新しい情報は入っていますか?」

「いいえ、騎士学舎の生徒達からの報告だけです。隣の騎士団駐屯地から二個小隊を調査に派遣しました。現在は報告待ちの状態で――」

「ポチが倒したのです!」

所長の言葉の途中で、ぴょこんと立ち上がったポチが手を挙げて発言した。

「オーガの人がガオーって襲ってきたから、ポチがバビューンって倒しちゃったのです!」

「ポチないす~?」

「ん、偉い」

熱く語るポチをタマとミーアが褒める。

なるほど、ポチが討伐済みだったからマップ検索にヒットしなかったようだ。

「ちょっと、くっつき過ぎよ」

「あら、アリサちゃんだって同じくらいくっついているでしょ?」

アリサはメネア王女と張り合うのに忙しいようだ。

「さすがはペンドラゴン閣下のお身内だけはありますね。これで調査隊が無事戻れば、下位探索者達の入場禁止を解除できます」

探索者達の被害が拡大しないように、低階層を中心に活動する探索者達は入場禁止にしているようだ。

ポチが倒した事は疑っていないようだが、他にもオーガがいる可能性を考えて、騎士団による調査が終わるまでは入場禁止を解除しない方針らしい。

探索者達を消耗品として考えない彼の考え方には好感が持てる。

「騎士学舎の少年達からオーガと遭遇した時に幼い女の子の声が聞こえたという話を聞いたのですが、他にも同様の報告はありませんか?」

「いいえ、その報告をしてきたのは彼らだけで――」

「ポチも聞いたのです!」

鼻息荒く起立したポチが、手を挙げながら発言した。

「『ずるい』とか『悪人』とか言ってたのです」

「僕も聞きました。なんだか、意地悪な貴族の子みたいな感じの悪い言い方でした」

「俺は聞いてないぞ」

「あたしも」

ポチのマブダチ君もポチと同じように幼女の声を聞いたらしい。

「姿は見た?」

ポチとマブダチ君がふるふると頭を横に振る。

今のところ、目撃者は魔眼持ちだけか。

「出番の気配~?」

膝の上のタマが、ニンジャのポーズで尋ねてきた。

幼女の調査は猫忍者タマにも協力してもらおう。

「何か新情報があればブライダルナイツの騎士団本部にご一報ください」

「承知いたしました」

快諾してくれた所長に協力費という名目の金貨袋を渡し、用件を終えたオレ達は所長室を出る。

「塔に入れないってどういう事だ?!」

「入場禁止はいつまでなんだ!」

カウンターの受付嬢に絡む探索者達がいた。

低階でのオーガ発見騒ぎで、上位探索者以外は塔入場を禁止している事に苦情を言っているようだ。

「またですか……。彼らの安全の為の措置なのに、それが分かっていないようでまいります」

「困ったものですね」

オレ達に続いて出てきた所長がボヤく。

「あっ!」

アリサの声に振り返る。

ポチとタマに探索者が取り押さえられ、受付嬢が頬を押さえて顔を伏せていた。

オレが所長と会話している間に、受付嬢が短気な探索者に殴られたようだ。

「これで頬を」

オレは魔法薬を染みこませたハンカチを受付嬢に渡す。

これで押さえれば、すぐに頬の腫れや痛みが引くはずだ。

「ありがとうございます」

「大丈夫ですか?」

「ええ、これくらい日常茶飯事ですから」

「さっきのが?」

「ええ、残念ながら」

最近は乱暴な探索者や短気な探索者が増えているらしい。

「閣下、先ほどの『声』の件ですが」

所長が声を潜めて耳打ちする。

幼女の声の件だが、受付嬢達に確認したら、他にも幾つか報告があったらしい。

その多くは喋る草か幻聴の類いとして処理されていたそうだ。

もっとも、その声の内容はポチ達の言っていた証言とさほど変わらない。

少し違うのはオーガに遭遇していない者達も聞いており、「悪人いない」とか「悪者はどこ~」のような少し不可解な言葉だった。

ピンク髪の幼女はオーガ出現事件とは無関係で、悪人を探しているだけなのだろうか?

そんな事を考えながら馬車に向かうと、塔から出てきたばかりの探索者達が揉めている場面に出くわした。

「なんだと?! 私の信仰心を疑うのか?!」

「じゃあ、なんで大事なときに限って神聖魔法に失敗してたんだよ」

「そ、それは無理な探索を強行するから集中が乱れたんだ」

ヘラルオン神殿の神官と探索者達が揉めているようだ。

「本当にそうか? 今日は法弾の威力も弱かったみたいだし、信心深くない神官の神聖魔法は弱くなるって噂だぜ?」

「誰がそんな噂を?!」

「酒場じゃみんな言ってるさ」

そんな噂があるのか。

でも、あの大雑把そうな神々が、そんな面倒な調整をするかな?

信心を失った神官から神聖魔法を取り上げるくらいはしそうだけどさ。

ちょっと気になる話だし、後でセーラと話すときにでも、そんな事例があったのか尋ねてみよう。

「変な空間の歪みはないわね」

「罠なし~?」

「変な臭いもないのですよ」

「異変なし」

その日の晩、オレは年少組と一緒に「声」を聞いたと記録にあった場所を順番に巡っていた。

ナナは孤児院に泊まり込みでセブン先生の新作ヌイグルミを量産中、ルルはコーヒー飴や炭酸飴のレシピを試行錯誤してくれている。

白銀メンバーは泊まりがけで塔の上層階を攻略中だ。

「そういえばタマの絵は渡してきたの?」

「あい」

アリサの質問にタマがこくりと頷く。

タマ先生の新作「梅雨の飴」はエチゴヤ商会に引き渡し済みだ。

ただ、ネルが飴コーナーに設置した途端、飴売り場が全て空になっていて売り切れだと分かる状態にもかかわらず、問い合わせが激増してしまった。その為、今は展示中止との事だ。

あの絵を見ていると飴が食べたくなるから、予想してしかるべきだったかも知れない。

ある意味、飴の習慣性よりもタマの絵の方が危ない気がする。

「最後?」

「ああ、ここが最後の目撃ポイントだ」

ミーアの質問に首肯する。

「白銀の皆には伝えた?」

「そうだね。今のところ階層に見合わない敵の目撃情報は低層だけだけど、上層でも同じような現象が発生する可能性はあるし、伝えておこうか」

マーカー一覧で白銀メンバーのステータスを確認したが特に異常なし。マーカーの位置から白銀メンバーが休憩中だと分かったので、 戦術輪話(タクティカル・トーク) で白銀メンバーを繋ぐ。

『――という訳で、下層みたいな事が上層で起きるかも知れないから一応注意しておこうと思ったんだ』

白銀メンバーに簡単な情報共有をして注意喚起しておく。

『どんな強敵だって、望むところですわ!』

『ぐれいと~』

『さすがはカリナなのです!』

タマとポチがカリナ嬢の脳筋発言を絶賛する。

『敵を釣る前に、相手の情報を確認するようにします』

ゼナさんは迷宮の宝珠で人物鑑定スキルを手に入れたので適任だ。

『脱出用の離塔珠があるから心配は無用です』

『いいえ、殿下。魔神の作った塔から出た品を信用しすぎてはいけません』

システィーナ王女の言葉をセーラが注意する。

『ね、サトゥーさん』

『ええ、そうですね』

セーラの言葉は魔神への猜疑心が根底にありそうだが、もっともな話だと思う。

脱出アイテム無効空間なんて、ゲームだと普通にあるからね。

『大丈夫ですよ。サトゥーさんがくれた簡易転移門やアイアリーゼ様がくださった携帯型『妖精の輪』もありますし』

ゼナさんが万が一の場合の非常手段を再確認する。

脱出アイテム無効空間で使えるかは未知数だが、離塔珠以外の脱出手段を与えたくて用意した。

『万が一不測の事態が起こっても必ず助けに行きますから、諦めず生き延びる事に徹してください』

『『『はい』』』

オレの言葉に白銀メンバーが信頼の篭もった声で答えてくれた。

『セーラさん、一つお尋ねしたい事があるのですが――』

オレは昼間の神官と探索者達が口論していた件が気になっていたので、神官の信仰心が神聖魔法の威力に影響するのか尋ねてみた。

『その可能性はあると思います。同じレベルの神官でも神聖魔法の効果は違いますし、同じ神官でも威力が変わる事は珍しくありません』

『でも、それって神官以外の魔法使いでもそうよね?』

『ん、同意』

『風魔法でも人によって違いますよ。体調でも変わりますし』

セーラの答えにアリサが異論を述べ、ミーアとゼナさんが同意した。

オレはあまり体調なんかに左右されないので知らなかったが、魔法使いにとっては普通の事らしい。

『でも、神への信仰を見失った神官は神聖魔法を使えなくなると聖書に書かれています』

人物鑑定でスキルがある状態でも神聖魔法の発動ができなくなるらしい。

『なるほど~、それは魔法使いにはない現象ね』

『信仰心なんて関係ありませんからね。もしかしたら、魔法に疑念を持つと魔法が使えなくなったりするのかしら?』

アリサが納得し、システィーナ王女が興味深い事を言い出した。

普通の魔術ならともかく、原始魔法なら魔法に疑念を抱いた時点で発動しなくなりそうだ。

あまり話していると休憩にならない気がしたので、セーラに礼を告げ、戦術輪話を解除した。

「ご主人様、もしかして神聖魔法の効果が弱くなるのも魔神のせいじゃないかって疑ってる?」

さすがはアリサ。なんでもお見通しらしい。

「可能性の一つとして考えただけだよ」

本当に実行したら、神々から猛反発を受けて魔神の立場が悪くなりそうだし、普通に考えたら実行するとは思えない。

でも、もしかしたら――。

「神々に都合の良い『塔』というシステム自体が、神々の信仰心を掠め取る為の魔神の罠なんじゃないかって思えるんだ」

「その推理が当たってたら大変ね」

アリサが冗談半分に肩を竦める。

「出番」

「おふこ~す~」

「その時はポチ達が倒しちゃうのですよ!」

「あはは、なら魔神の軍勢に勝てるくらいの装備を用意しないとね」

「そうだね」

オレの推理は当たらないから、多分ハズレだと思うけどさ。

そう心の中で呟きつつも、オレは「魔神の軍勢」と本当に戦う羽目になった時に備えた兵器類を頭に思い描きながら孤島宮殿へと帰還した。