軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

52

時は流れ、学園は冬季休暇に突入した。

前世の世界と同じく、夏季休暇に比べて冬季休暇は短い。

もちろんこの休みも家に帰ってきている。

大好きな家族と過ごせるのはすごく嬉しい。

だけど今だけは、ここから逃げ出したくて仕方がない。

それはなぜかって?それはね……

「もう二人とも!その目と口をどうにかしてちょうだい!」

二人というのはディランとマーサのこと。

「はて何のことでしょうか?なぁマーサ」

「ええディラン。私たちには何のことだか分かりませんわ」

嘘だ。この反応は絶対に分かってる。

私を見る目が生暖かくて、口がにやけていることをね!

「分かってるくせに!」

「ほっほっほっ」

「うふふふ」

「……」

これは完全にからかわれている。

どうしてこんな状況に……いや、原因は分かってる。

原因は数日前、冬季休暇が始まってすぐのあの出来事だということを。

その日、私は久しぶりにリアとしてギルドの依頼を受けていた。相棒のジークと一緒に。

ただ依頼を受けたはいいものの、そこはS級冒険者が二人。

あっという間に依頼を達成してしまい、時間に余裕ができてしまった。

どうしようかと悩んだ末、私たちは久しぶりに手合わせをすることにしたのだ。

『……リアは本当に才能の塊だな』

手合わせの最中、突然そんなことを言い出したジーク。

まぁ私に才能があることは否定しない。

でもそれはジークも知っていることだし、なぜ今さらそんなことを言い出すのか分からなかった。

『急にどうしたの?』

『……いや、最近また剣の腕を上げたなと思ってな」

今回は剣だけという制限をつけて手合わせ。そして今は打ち合いの真っ只中だ。

『あら。ジークにそう言ってもらえるなんて嬉しいわね』

ジークは私の剣の師匠でもある。だから褒められるのは素直に嬉しい。

『それに引き換え俺は……はぁ、男として情けないな』

どうやらジークは自信をなくしているらしい。

ジークはこれっぽっちも情けなくなんかないのに……ここは相棒として元気づけてあげないと。

そう思って私は口を開いた。

『何を言ってるの。性格も容姿も肩書きも完璧で、剣も魔法も一流。ジーク以上に素敵な男性なんていないわよ』

『っ!リ、リア、それはどういう』

『むしろ問題があるのは私の方よ』

『……は?』

『ほら私って愛嬌もないし、愛らしさの欠片もないでしょう?それに男性からすれば強すぎる女性って嫌だろうし。あーあ、きっとこんな女は誰からも相手にされな――』

――ガキン!

『っ!?ジ、ジーク?』

突然ジークの様子が変わった。

一体どうしたのかと顔を見る。

するとジークは、今まで見たことないほどに真剣な表情をしていた。

『……リアは自分のことをそんな風に思っていたのか?』

これはもしかして怒っている?

あれはただ事実を言っただけで、別にジークが怒るようなことなんて何もないはずだ。

『えっと、そんな風というか自分を客観的に見た事実というか……」

『リアは最高に素敵な女性だ!だから自分を貶めるようなことは言うな!』

『ジ、ジーク?あなた一体どうしちゃっ――』

『好きだ』

『……え?』

『リアのことが好きだ』

これってまさか愛の告白……かと一瞬思ったけど、相手はジークだ。

きっと家族として好きってことを言いたかっただけ。

そう思ったのに……

『家族としての好きじゃないからな』

『えっ』

『俺は一人の女性としてリアのことが好きなんだ』

『う、そ……』

もちろんジークのことはもちろん好きだ。

ただ私はこの世界に転生してから、自由を手に入れるために無我夢中になって進んできた。

だから恋愛どころじゃなかったし、前世で浮気された経験から、正直言って恋をしたいとも思えなくなっていた。

それが今になってまさか愛の告白だなんて……

『嘘なんかじゃない。リアがそういうことに興味が無いことは知っていた。だからこの気持ちも伝えるつもりはなかったんだ』

『じゃ、じゃあどうして?どうして今になってそんなこと言うの?』

ジークは大切な家族だ。

だから告白なんて聞きたくなかった。

この関係が壊れてしまったら……そう思うと怖い。

『さっきの言葉を聞いたら黙っていられなかったんだ』

『……』

『リアが好きだ。リアが世界で一番最高な女性だって俺が証明してみせる』

なぜだか心臓がドキドキするし、顔も熱い。

こんな情熱的なジークを見るのは初めてだから?

もちろん好きと言われて嬉しくないわけがない。

でも今の関係が壊れるのも、恋をしてまた捨てられるのも嫌なのだ。

『ジーク、私』

『なぁリア。俺に時間をくれないか?』

『……時間?』

『ああ。俺にリアを口説く時間をくれ』

『く、くど……!?』

ジークは平然と言ってのけたが、あまりにも真っ直ぐな言葉に私の方が恥ずかしくなってしまった。

『俺のことを一人の男として見てほしい』

『なっ!』

『覚悟しておくんだな、リア』