軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

56ーwinner!

帝都側から3人、辺境伯領側から3人。丁度3人ずつ勝ち残っているので、帝都vs辺境伯領みたいな組み合わせになってしまった。

騎士団長vs辺境伯側近は、辺境伯側近の勝利

シェフvs辺境伯領魔術師団長は、なんとシェフの勝利

オクソールvs辺境伯は、オクソールの勝利

オクソールとアラウィンの対戦はどちらが勝ってもおかしくない程、拮抗していた。

アラウィン曰く……

「歳には勝てませんな! ワハハ!」

……だそうだ。

しかし、これで辺境伯親子は二人共オクソールに負けた事になる。これは悔しいだろう。オクソール、強いな。

さて、3人残ったのでくじ引きで対戦相手を決める。

シェフvs辺境伯側近。勝ち残った者とオクソールが対戦だ。

オクソールは、くじ運も良いんだ。運も実力のうち、て言うしな。

準決勝 シェフvs辺境伯側近

「シェフー! がんばってー!!」

俺は大声でシェフを応援する。

「殿下! はい! 頑張ります!!」

二人が台をはさみ、肘をつき手を組む。

レフリー役の兵が自分の手を組んだ二人の手にのせる。

シーンとした。周りも真剣だ。

「Go!! 」

――ダンッ!

「winner!! 」

なんと!! 一瞬で勝負がついた。瞬殺だった。

「シェーフーー!! 」

俺は思わず大声で叫んだ! シェフが勝ったんだ!

「リュカ! 下ろして! 下ろして!!」

下ろしてもらった俺はシェフに駆け寄って抱きついた! スゲーよ!!

「殿下! 勝ちました!! 」

「シェフ! すごい! すごい!!」

俺はシェフに抱き上げられ高く持ち上げられた。周りの見学していた兵達が沸いた! 『おぉぉぉーーッ!! 』と、地響きがしそうな程の声だ。

「伊達に毎日毎食、殿下の食事を作ってませんからね!」

ん? シェフ、それは関係あるのか? ま、いいや。

だが、次の対戦相手が問題だ。オクソール。こいつは強いぞ!

決勝戦だ。たかが腕相撲。なのにこの盛り上がり。しかも一昨日から予選をしていた位に大掛かり。ありえねー! ブハハハハ!!

決勝 オクソールvsシェフ

俺はどっちを応援したらいいんだ!?

「どっちもがんばれー!! 」

「殿下、なんですかそれは? ハハハ」

そうだよ、レピオス。なんだよそれ!? みたいな感じだ。だってどっちも俺付きだから仕方ないさ。

「ククク……!」

リュカはまた笑ってたけどな。

俺は最前列で応援だ! 手に汗握るぜ!

オクソールとシェフが台をはさみ向かい合う。肘をつき、手を組む。レフリー役の兵が、自分の手を組んだ二人の手にのせる。

シーンとした。空気がピリッとする。お遊びなのに……プププ。

「Go‼︎」

前回同様、シェフが先に畳み込もうと手に力を込める。

が、流石オクソール。ビクともしない。

オクソールも力を込めるが、シェフも動じない。どうなるんだ!? どっちだ!?

そして、オクソールがフッと短く息を吐いた直後、瞬間で勝負が決まる!

――ダンッ!

「winner!! 」

オクソールの優勝だ! そりゃそうだ。だが、シェフ良く頑張った!

「シェーフー! オークー!」

俺は二人に走りより抱きついた。いや、飛び付いた!

「ハハハ、殿下! 勝ちました!」

「うん! オクすごい!」

「殿下、負けてしまいましたー!」

「ううん! シェフもすごい!!」

二人に抱き上げられる俺。

「二人共、すごいよ! おめでとー!! そして! みんなー! よく頑張ったー!!」

――ウオォーー!

――殿下ーー!

たかが腕相撲。されど腕相撲だ!

いやぁ〜、盛り上がった! 面白かった!

てか、みんな鍛えられた兵だから、レベルが高いんだよ! そんな兵達に混じって勝ち上がったシェフと辺境領魔術師団長。よくやった!

俺達は、盛り上がりの中で暫く揉みくちゃになっていた。危ないとオクソールに抱き上げられている。

優勝、オクソール。

準優勝、シェフ。

なんか商品出るの? なんにもないらしい。なんにもないのに、よくこんなに盛り上がったな。これぞ、体育会系のノリ、てやつか?

「いやー、盛り上がりましたなー!」

「辺境伯様、残念でしたね」

やだ、オクソール。そんな嫌味な。お前が勝ったくせにさ。

「ハッハッハ、負けましたな!」

「オクソール、優勝だな」

「オクソール殿、お強いですね」

「クーファル殿下、レピオス殿、ありがとうございます」

「しかし、殿下のシェフは本当に驚く事ばかりですよ!」

「アスラ殿、ボクも全然知りませんでした!」

オクソールの首に手を回して抱きつきながら俺は言う。

「彼は強いですな」

「辺境伯様、大穴でしたね」

「ああ、オクソール、あれは伏兵とでも言うか」

「いや、父上、オクソール殿、クーファル殿下、彼はワイバーンの尻尾を一撃で切り落とす程の実力ですから」

「アスラール、そうだった! しかも引きずりはしていたが、あのデカイ尻尾を一人で運んでいた」

「え、そうなのか? 一人で?」

「ええ、クーファル殿下。しかも凄い嬉しそうに。プフッ!」

リュカ、お前それ余計な一言だよ……ムニャ…………

「……あ、オクソール様。殿下が寝てしまわれましたね」

「ああ、リュカ。こんな騒ぎの中で寝られるとは」

「しかしオクソール殿、こんなに、はしゃがれる殿下を見るのは久しぶりです」

「レピオス殿、そうですね」

「殿下は本当にお可愛らしい」

「ええ、父上」

「リリは私達の宝だ」

「だがクーファル殿下、時々ふとした時にとても大人びた表情をされる事がありますな」

「ええ、辺境伯。3歳の時のあの事件からな」

「クーファル殿下、そうですね。あれには参りました」

「ええ、レピオス殿。見ていられませんでしたね」

「クーファル殿下、レピオス殿、オクソール殿……」

「本当に、あの時の殿下は見ていられませんでした。小さな拳をギュッと握りしめながら大粒の涙をポロポロ流して泣かれるお顔は忘れられません」

「リュカ……君もいたのか?」

「はい。アスラール様。私はあの事件の時に、殿下に命を助けて頂きましたから」

「君は、もしかして……あの事件で攫われた獣人なのか?」

「辺境伯様、そうです。私はあの事件の時の狼獣人です。瀕死だった私の命だけでなく、捕らわれていた村人も殿下に助けて頂きました。ですから……本当は殿下の為なら私の命など惜しくはないのです。しかし、それでは殿下はご自分を責められます。ですから私は強くなりたい」

「……リュカ、先に馬車へ行ってニル殿に殿下が寝られた事を伝えてきてくれ。馬車の中を用意してもらってくれ」

「はい、オクソール様。では」

リュカが、皆にペコッと頭を下げて馬車へと走って行った。