軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

53ー尻尾ゲット!

そうして平和に、緑の丘陵と街をいくつか通り過ぎた。どこも街を出たら、一面緑だ。所々に木がたっている。緑があるのは良い事だ。豊かさを感じるね。

俺達が進んでいる帝都と、辺境伯領を結んだ街道は帝国でも一番メインに使われている街道だ。途中の街には立派な宿屋もあるし、街道だってそこそこ整備されている。

街で宿泊したり、街道途中に設けてある休憩所で野営をしたりして、旅程の半分を過ぎた頃だ。

――ギャオォォォォーーーーッ!!

「ニルなに!? なんの鳴き声!?」

「殿下……多分ワイバーンではないかと」

ニルと一緒に馬車の窓から外を見る。

てか、ニル。何で声でワイバーンだと分かるんだよ!? ニルさん、あなたは何者?

何も遮るものもなく、どこまでも広がる抜けるような青い空。

そんな大空を悠々と、大きな翼を広げて飛んでいる。

その姿は前肢が翼手、後肢が二脚となっている四肢のドラゴンの下位種、ワイバーン。

スゲー……!! 初めて見た! 本当に異世界なんだ……マジ、今更。

「ニル、あれどうするの? 大きいよ、大丈夫なの?」

「先頭には、サウエル辺境伯様の部隊がおられます。ご心配には及びません」

「そうなの?」

「はい」

そう言われても気になるじゃん。馬車の窓から外を見ていた。ちょっと顔出したらダメかなぁ……と、窓を開ける。

「殿下、あまり乗り出さない様になさって下さい」

「うん、ニル。気をつける」

ニルが言った様に、前方の領主隊と辺境伯領魔術師団が何かしている。

あれ? オクソールや騎士団は動かない。皆、平然としている。

なんで? ワイバーンだぜ? いいのか? 平気なのか?

馬車がゆっくりと止まった。

これは外に出て見るしかないっしょ!

俺は外に出ようと窓から目を離し、一瞬ドアを見た。

「殿下、ダメですよ」

「……はーい」

先に言われちまったぜ! ニルは鋭いなぁ。仕方ないので、今度は馬車の窓から身体を乗り出し隊列の前方を見る。

領主隊は何してるんだろう?

アラウィンとアスラールが前に出ている。魔術師団が領主隊の後ろにいる。相変わらず、オクソールと騎士団は動かない。領主隊に任せた感じかな?

ん〜、もっと近くで見たい。

その間にもワイバーンは隊列の上を旋回している。そしてワイバーンが前方へと移動した時だ。

――ギュイィィーーン!!

耳を劈く様な音がして、ワイバーン目掛けて風の刃が飛び、片翼を切り裂いた。

「……!!」

あれは……きっとアスラールだ! 剣に風属性を付与して斬撃を飛ばしたんだ!

スゲー!! なんであんな事出来るんだ!? あー! 瞬間を見逃したよー! 斬撃を飛ばす瞬間を見たかった! 当のアスラールは平然としている。

――ギャオォォォーーー!

ワイバーンは、大きな声で鳴きながら地面に落ちてきた。ドゴーーン!! と、腹に響く様な地響きだ。

同時に前方の辺境伯領主隊が一斉にワイバーン目掛けて攻撃し出した。

高くジャンプし大剣で斬りつける者。下から足を狙う者。翼の付け根を狙って斬りつける者。

後方からは、攻撃している隊員達に、多分ブーストやプロテクトをかけているんだろう魔術師団。

アレッ!? アレレッ!? ちょっと待てよ! あの尻尾を切り落としてるのシェフじゃね!?

ワイバーンの尻尾の方を見ると、シェフがロングソードで尻尾を切り落とした所だった。

えぇッ!? シェフが一人で切り落としたのか!?

そしてシェフは、尻尾をガシッと抱えて引きずりながら走り出した。

シェフ何やってんだよ!? 尻尾を引きずって嬉しそうに走ってんじゃねーよ!

はぁッ!? 離脱するのかよ!? めっちゃ嬉しそうだ。超笑顔で走ってるよ。

何なんだ? さっさとどっか行っちゃったよ。

ワイバーンまだ仕留めてないぜ? え? もしかして尻尾が欲しかったの?

尻尾なんてどーすんだよ!? マジわかんねー!!

あッ! アラウィンがいた! 大きくジャンプし、空中の何もない所でもう一段高くジャンプした!

なんだあれ!? 足場ないのになんであんな事出来るんだ!?

大剣を軽々と持ち上げ、大きく振り被りワイバーンの眉間目掛けて思いっきり斬りつけた。

そのまま、自分が落下しているのに続け様にワイバーンの喉元を目掛けて大剣を横に振り切る。スゲー! スゲー!!

今度はアスラールだ。アラウィンが傷を付けた、喉元を目掛けて風属性を付与したロングソードで斬りつけた!

――ギィャオォォォーーー!!!

断末魔の悲鳴をあげて、ワイバーンは倒れて動かなくなった。

「ニル! ニル!! 凄いよ!」

「はい、殿下」

「もう外に出てもいい?」

「お待ち下さい! 殿下ご一緒しますので!」

ニルが言ってるけど、俺はそれよりも早く馬車のドアを開け飛び降りた。

「殿下! お待ち下さい!」

ニルが叫んでる。でも大丈夫。ちゃんとリュカが横にいる。

「ハハハ! 殿下なら絶対に飛び出して来ると思いましたよ!」

「リュカ、だって見たいじゃん!」

「ハハハハ!」

何嬉しそうに笑ってるんだよ!

「早く行きましょう! 殿下!」

「リュカ! 待って!」

お前も見たいのかよ!! リュカと二人でダッシュだ!