軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

43ー行きますよ。

いきなりドアを開けて入ってきたのは……

フィオン・ド・アーサヘイム 第1皇女 19歳

皇后の娘。フレイとクーファルの妹だ。母親譲りのストレートで金糸の様な金髪に、意志が強そうな少し猫目気味で翠色の瞳だ。

2年前のフォラン皇女が起こした事件に激怒し、俺が城へ帰ってきた時には抱き締められて号泣された。ハッキリと物を言うが、俺を大事に可愛がってくれる姉さまだ。時々、暴走するが。前世で言うと、ブラコンかもね。

「失礼致します。突然申し訳ございません。直ぐに連れ出します」

「お母様、私もお話があるのです!」

「いいから! あなたは後よ! 皆様、申し訳ございません。お邪魔致しました。フィオン、早く! 行きますよ!」

「やだ! ちょ……お母様!」

何だったんだ? 連れ出されちゃったよ。

フィオンを連れ出しにきたのは、フリーリ・ド・アーサヘイム 皇后様だ。

フィオンと同じ、綺麗な金髪に翠色の瞳だ。おいくつかは知らないけど、お美しい。その上、俺にはお優しい。俺、皇后様好き。

「すまない。フィオンは幾つになってもお転婆で困るよ」

「姉さまはどうされたのですか?」

「リリ。お前だよ」

は? 俺は何もしてないぞ?

「2年前のお前の事件をまだ怒っているんだよ。だから今回、もしリリが行くなら、自分も付いて行くと言いに来たのだと思うよ」

「………… 」

ご遠慮したい……かな。正直、面倒だよ。

「リリ。姉上だよ」

「父さま、お願いします」

「まあ、皇后が頑張ってるよ」

もう個性強い奴は満腹だよー。

「でもね、リリのあの件が原因で婚約破棄したから強くも言えなくてね」

ああ。そうだった。実はフィオンは、俺のあの事件が無ければ王国の第2王子と婚姻する筈だったんだ。子供の頃に第2王子と遊んだ事があるとかで、王子の方から婚約を申し込んできた。しかも、熱烈に。

「自分は第2なので、婿入りします!」

とか言ってきたんだって。俺は知らないけど。だって俺はまだ生まれて無かったからな。

フィオンの勝気なところが堪んないらしく、第2王子は是非にと言ってきた。だが、婚姻直前に俺の事件があった。で、フィオンは激怒した。そして、速攻で婚約破棄してしまったと言う訳だ。婚約破棄する皇女! いいね〜! ちょっとカッコよくない?

クーファルの話によると、第2王子は……

「王国なんて捨てます!」

……と、言ってきたらしい。

王国へ交渉に行っていたクーファルに、一緒に連れて行って欲しいと泣きついたとか。それはそれで、どうなんだ? でも、フィオンはバッサリ断った。

「リリを殺そうとした国の人間なんて、死んでもお断り!」

……だそうだ。王子は帝国に来る方が良かったんだろうね。王国ヤバイもんね、色んな意味で。王が変われば持ち直すかもな。

「あの、陛下」

「どうした? アラ」

「もし宜しければ、フィオン皇女殿下もご一緒に…… 」

いや、待てよ。まだ俺行くって言ってないよ?

「あ、申し訳ありません。もし、リリアス殿下とレピオス殿がいらして下さるのなら……ですが…… 」

「リリ」

見ろよ、あの父の笑顔よ。分かったよ、分かった! 降参だ。あまり嫌がっても辺境伯に失礼だし。

「……レピオス」

「殿下が宜しいのであれば、私は…… 」

「……父さま、行きます。まだ5歳のボクが、また母さまと離れて行きます」

「リリ! そんな私が血も涙もないみたいじゃないか!?」

「………… 」

「リリー、頼むよ」

「父さま、分かりました。ただ、今はまだ騎士団のポーションを作っている最中なのです」

「ああ、分かっているよ。そのポーションは、今回持って行く為の物だからね。第2騎士団と一緒に向かってくれるかい?」

「父さま。第2騎士団ということは、クーファル兄さまですか?」

「そうだよ。クーファルとソールもだ」

ソールと言うのは、クーファルの側近だ。マロン色した瞳のバンビアイと、マロン色の髪の前髪をフンワリさせていて一見チャラそうだけど曲者。クーファルと同い年で、子供の頃から一緒らしい。だからかな、クーファルと性格が似ている。でも、俺には優しいから好き。

「陛下、リリアス殿下、レピオス殿。どうか助けて頂きたい」

「アラ、煩いのが一人増えてすまないね」

「陛下、とんでも御座いません。どうか、宜しくお願い致します」

あー、やっぱ面倒な事になっちゃったよ。

「殿下」

ん? 顔に出てた? 申し訳ないね。5歳だから大目にみてよ。

「あ、そうだ父さま。フレイ兄さまに少し言ってください。ルーを使い過ぎないでと。いつもいないんですよ」

「ああ、リリ悪いね。それは私もだ」

なんだよ、二人してかよ。

「……殿下。原因は何でしょうね?」

レピオスが聞いてきた。父の執務室を出て、レピオスとリュカも一緒に俺の部屋へ向かっている。

「レピオス殿、もう分かってらっしゃるのかと俺は思いましたが?」

「まあ、リュカ。だいたいはですね、殿下」

「でもなー、行かないとやっぱりわかんないよ」

「殿下、そうですね」

「あ、リュカ。オクもいくよね?」

「はい、殿下。勿論です。オクソール様と俺は、殿下の行かれる所には必ずついて行きます」

なんかな〜。城を出るの気が乗らないんだよなー。これってPTSDみたいなもんなんだろうか? 3歳の時のさ。

「……殿下。あの様な事はありませんから」

レピオスに読まれちゃったよ。鋭いな。

「……レピオス。わかってりゅ」

あ、『ら行』の呪いが出ちゃったよ。やべ。

「プフッ…… 」

リュカ、笑うなよ。スルーしようぜ。

「なんか懐かしいですね」

「リュカ、なに?」

「いえ。殿下、お可愛らしかったなぁって思い出しました」

「リュカ、やめて…… 」

「私にしてみれば、今も充分お可愛らしいですよ」

「レピオス、やめて」

「あれって、殿下ご自身は気付いてらしたんですか?」

「リュカ、あれって?」

「あれですよ。りゃりりゅ……」

「気付かないわけないじゃん!」

だって魔法が発動しないんだぞ! 言わないけど。

「クフフッ!」

「リュカ。どんどんオクに似てくるね」

「え! 嬉しいです!」

……リュカ、違うぜ。それは違う。