軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編ーオクソールの婚姻 1

俺が14歳の時にオクソールが婚姻した。

ビックリだ……そんな事はないんだが。

実は以前からオクソールには聞いていたんだ。歳の離れた婚約者がいるってさ。

その話をしようと思う。

オクソールと言えば、城の中を歩く……いや、オクソールの場合は闊歩するか。

するとさ、侍女やメイド達が色めき立つんだよ。

――あ、オクソール様だわ!

――ああ、今日もカッコいい!

――見惚れちゃう!

とさ。ホント、モテる奴はいけ好かないんだよ!

俺まだまだガキだからね。俺なんて眼中にないんだよ。

まあ、そんな事はさておき。

オクソールの婚約者、同じ獅子の獣人で伯爵令嬢なんだ。

やっぱ、獅子の純血種を残す意味があるんだって。

だから、相手の子が産まれて女の子だった時点で婚約者に決まったらしいよ。凄いよね。

でさ、歳がめちゃ離れてるんだ。11歳違うんだぜ。ほとんど一回りじゃん。

オクソールが俺に付いた時は21歳だったから、その時には10歳の子と婚約していた事になる。

婚姻したのはオクソールが33歳の時だから、相手は22歳だよ。信じらんねー。相手のご令嬢がアカデミーを卒業するのを待っての婚姻だったんだ。

その婚約者が15歳の時にね、ちょっとゴタゴタしたんだ。

その時にオクソールの婚約者を知った、て事なんだけど。

「オクソール様! オクソール・ベルゲン様でいらっしゃいますわよね!」

オクソールが、城の中を騎士団の詰所に向かって歩いていた時にいきなり声をかけられたんだそうだ。その時、俺はいなかったんだけどさ。できれば、見たかったよ。後から話を聞いて惜しい事をしたと思ったさ。

「私はオクソール・ベルゲンですが?」

「ああ、やっぱり! 私はクルーガー伯爵が娘、ヴェロニカ・クルーガーと申します」

クルーガー伯爵とは、オクソールの婚約者、リータニカ・クルーガーの父親だ。

「クルーガー伯爵……リータニカ嬢の?」

「姉にございます! やはり、オクソール様は私の運命の人なんだわ!」

「は?」

「オクソール様! リタより私を選んで下さいませ! 私の方が歳も近いですわ!」

「失礼、私の記憶ではあなたも婚約者がおられたと記憶しておりますが?」

「はい、私が生まれて直ぐに決められた婚約者がおります。でも! それは無理矢理ですのよ! 私が望んだものではないのです!」

「はぁ……」

「オクソール様は獣人の中で噂されている『番』をご存知でしょうか?」

「少しは存じておりますが……」

「やっぱり! 私はオクソール様の番ですのよ! 実は先日、リリアス殿下をお乗せして馬に乗っておられるオクソール様を初めてお見かけしましたの! もう、身体がビリビリとして動けなくなる程の衝撃でしたわ! 私が求めているお方はこの方なのだと確信しましたの!」

と、トンデモ姉がそう宣ったそうだ。

ぷぷぷ。どっかイカレてるよね。そう思うだろ? だって、実の妹の婚約者を横取りしようってんだからさぁ。

オクソールも目が点になったらしいよ。あー、マジ見たかったよ!

「はぁ……」

「ですのでオクソール様! どうか私と婚約して下さい!」

「私は貴方を見ても何も感じません。貴方の勘違いでしょう。さあ、お引き取りを。用もないのに城に来る事などおやめ下さい。騎士に送らせましょう」

「え? え!? オクソールさまぁ!」

そう言ってオクソールは無理矢理令嬢を送り返したんだ。

その後、令嬢の父親であるクルーガー伯爵から話をしたいと呼び出されたそうだ。

律儀にもオクソールは呼び出された日時にクルーガー伯爵邸を訪れた。

まあ、自分の婚約者の父親だからな。無下にはできないさ。

「オクソール殿、先日は娘がご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ない」

「いえ……」

「申し訳ありませんわ。でもあの子の気持ちも汲み取ってやって下さいませ」

これは、母親の言葉だ。気持ちも何もないよな。自分にだって婚約者がいるのにさぁ。

「はぁ……」

「ヴェロニカはリータニカより華やかで美人でしょう。ですので、生まれた時に決められた婚約者より、ご聡明で眉目麗しいオクソール様の方がお似合いなのですわ」

「これ、何を言っている」

「だって、あなたもそう思いません事? リータニカよりもヴェロニカの方がお似合いですわ! オクソール様だって、地味で陰気なリータニカより華やかで美人のヴェロニカの方が良いでしょう?」

この時、オクソールは……

「この母親は頭がおかしいのか?」

て、思ったんだって。アハハハ、笑っちゃうよね!

「今、夫人が仰った事はクルーガー伯爵の御意志と言う事でしょうか?」

「いえ、とんでもない事です! 私はその……」

「主人ももちろんそう思っておりますわ! ですので、オクソール様! お考え頂けませんでしょうか?」

「はぁ……」

「是非とも、リータニカではなく、姉のヴェロニカと婚約を!」

「今日はリータニカ嬢は?」

「それが、部屋に篭って出てこないのですよ。折角オクソール様がいらしていると言うのに、あの子は……」

――バタンッ!

と、いきなりノックもなくドアが開いたそうなんだ。そして……

「オクソール様! 私に会いに来て下さったのですね!」

そう言って、姉のヴェロニカがズカズカと部屋に入り、いきなりオクソールに抱きついてきたんだって。

サイコーだよ。見たかった。そんな令嬢がまさか本当にいるなんてさぁ。物語の中だとしても、あり得ないよ。

「失礼……」

そう言ってオクソールはヴェロニカを引き離したそうだ。

「私の一存では決めかねます。今日はこれで失礼致します」

そう言ってオクソールは帰ったそうだ。

「一刻も早く離れようと思いまして……」

と、後にオクソールは話していた。

なんで俺がこんなに詳しく知っているかって? それはだね。

オクソールが自分では頭が追いつかないと早々に諦めてしまって、俺にヘルプを言ってきたんだ。

だって、オクソールは女性に免疫がないからさぁ。

すごい恐縮しながら俺に話して来たよ。