軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編ー12.ユキ

俺はさぁ、持って帰って領主隊の魔道具をバージョンアップするのに使おうかなぁ〜なんて考えてた訳よ。

いいじゃん? クリスタル。なんかさ、色々付与できそうじゃん?

『リリ、そんな事はないぞ』

あらら? ルー?

『ああ。クーファルは本当に頭が切れる。妥当な使い方だ』

そうなのかよ。

『そうだな。それにな、万が一穢れが残っていたらこの国の人間にはどうしようもできないだろう? クリスタルに呪詛を込めた魔術師達だって浄化と解呪まで出来るか分かんねーぞ』

まあ、そうだな。てか、結局俺が内職だよ。

『アハハハ、内職か。まあ、帝国の為にもなる事だ』

そうだな。そう思っておくさ。

『また、帰る時に呼びなよ』

おう。ルー、ありがとう。

『いいって事よ!』

ポンッて音が聞こえてきそうだ。念話だけで、出て来ないんだな。目立ちたがりなのに珍しい。

てか、俺が何してるか分かった? 例の呪詛が込められていたクリスタル。解呪して透明になったクリスタルにさ、浄化と解呪を付与してる訳だよ。

一つのクリスタルに、浄化と解呪の両方は駄目なんだそうだ。クーファルが言ってた。よく知ってるよなぁ。

それを何個か作ってる訳だ。

それとな、こっちの兵達の実力が危なっかしいからシールドもな。

「リリ、良い置き土産だろう。これでミスヘルク王国に恩を売っておけるさ。私達は一応不法入国になってしまうからね。これだけしておけば、こっちの王も何も言えないだろう」

マジで? 不法入国かよ。考えもしなかったぜ。クーファル、マジで敵にはしたくない。クーファルの頭脳には全然勝てる気がしない。俺、本当はクーファルよりずっと歳上のオッサンなのにさ。

俺が色々作り終えた頃に兵達は戻ってきた。

「殿下、穢れお願いします!」

リュカだね。ちょっと軽く運動して来ましたよ、て感じか?

「リュカ、こっちの兵達はどうだった?」

「駄目駄目ッス」

「あらら……」

「鍛練不足ッスね。オクソール様の鍛練にはついていけませんよ」

「あれは特別だよ」

「なんでですか? 騎士団は皆普通にこなしますよ。5歳の殿下でもやってる事ッスよ」

まあ、ぶっちゃけそうだけどさ。自分達を基準にしたらいかんよ、リュカくん。

さて、俺はまた浄化と解呪をするさ。

邸の外に出たらまとめてくれていた。

「え……これ運んで来たの?」

「そうですよ」

「大丈夫なの? 穢れてない?」

「大丈夫ッスよ! 殿下が作ってくれた魔道具ありますから!」

いやいや、リュカくん。だからさぁ、それ状態異常無効は付与してないからね。君達、絶対に耐性あるよね? なんか、無敵だな。

まぁ、いっか。早くバージョンアップしたのを作ろう。マジで、怖いわ。ヒヤヒヤするわ。

そんな事をまた思いながら、サクッと解呪して浄化もした。

「ねえ、リュカ。もう穢れは大丈夫そう?」

「はい。河まで行きましたし、大丈夫だとは思いますよ。でも、どこに移動しているか分かりませんから」

「だよね……」

仕方ない。やっぱクーファルの言う通りだ。作っておいて良かった。

「リリ、終わったか?」

「はい、兄さま。そろそろ戻りましょうか?」

「そうだね。もう充分だろう」

俺が昼寝したり、解呪や浄化をしている間にクーファルは色々やってくれていた。

定期的に交流を持つ事もそうだが、クーファルは第2皇子という自分の名前で王国に対して要望書の様なものも作っていた。

魔物の現状や、対策に関してだ。

もっと、国をあげて対策しないとどうなるか分からないと言う事を進言している。

馬鹿子息がそれを持って上層部に申し出るそうだ。

今から、魔物避けを作ったり防御壁を作ったりするにしても一領主の力ではどうにもならない。資金も人手も知識も必要だ。

その際は、帝国の辺境伯領で手助けできる事はするとも明記したらしい。

これは、アスラールがアラウィンに了承を得てきていた事だ。

馬鹿子息が暴走した原因も不憫だし。

まあ、いい落し所だよな。

「クーファル殿下、リリアス殿下、アスラール殿。本当に何とお礼を申し上げたら良いか」

「タクラート伯爵、今後に期待しているよ」

「はい! 殿下、必ずや!」

アハハハ、そう力まないでいいのに。

「ああ、そうだ。タクラート伯爵。忘れずに薬湯を飲んで下さいね」

「リリアス殿下、ありがとうございます。命の恩人です!」

「それは、ユキだよ。ユキは気にしていたからね」

「リリ、我では解毒はできぬ」

ユキちゃん、そういう意味じゃなくてね。まあ、いいや。

「責任を持って上に進言致します! この御恩を忘れません!」

はいはい。馬鹿子息ね。頑張るんだよ。亡くなった婚約者の事は忘れられないだろうけど、頑張って生きていってほしいよ。

「じゃあ、リリ。帰ろう」

「はい、兄さま」

ルー、頼むよ。

『はいよ、近寄ってくれるかな?』

「兄さま、みんな近くに寄ってね。転移するよ。それじゃあ、頑張って下さいね!」

俺がそう言うと白い光に包まれ、次の瞬間には辺境伯邸の応接室にいた。

俺達はさっさとやる事をやって辺境伯領に帰ってきた。アラウィン宛に後日届いたお礼状に、その後の報告が書かれていたそうだ。

その後、あの馬鹿子息親子と、タクラート伯爵親子で王に直訴したらしい。

『お伺いをたてて順を追って待っている時間がない! 王国の危機だ!』

と、いって両家で乗り込んだそうだ。

やっぱ、あの伯爵2人は元気だ。元気すぎるわ。よく隠居なんてしていたもんだよ。

両家が直訴してきた事だけでも王側は驚いていたそうだが、一連の事の顛末を聞いて腰を抜かしそうになったとかなんとか。

「帝国の皇子2人が不法入国か!?」

と、クーファルの予想通りの反応をしたそうだが、そこに出された魔石を見てまた驚いたそうだ。

おまけに魔石には王国では出来ない様な付与を施してあると聞いてまたまた王は驚いた。

「そんな貴重な物をこんなに置き土産にされたら何も言えないじゃないか!」

これも、クーファルの予想通りだ。

クーファル、俺の先生になってくんないかな? キレッキレじゃねーか。

ユキを穢していた呪詛の込められたクリスタルから始まったお話はこれでおしまい。ユキが転移して始まった出来事だった。

この後、俺達が王国に行った時はユキの転移の能力で助けられる事になる。

俺が最後の時にも世話になった。

神獣のユキ。まだまだ俺達の知らない能力を持っていそうだ。

取り敢えず、今もまたシェフについて調理場に行っている。カッコいいのに、食いしん坊のユキだ。

ユキ、ありがとう。

ユキと出会ったのは必然だよな。