軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

リリの秘密? 2

「リュカ、美味しいねー!」

ほっぺをお肉で膨らませながらモグモグと食べている。

「そうッスか、よかったですね」

「で、どこに行きますか?」

言葉とは裏腹に、リュカはもう帰りたそうだ。

「あのね、わんちゃん見たい」

「はぁ? さっき猫見てたじゃないですか!?」

「うん。ボキュ、ねこちゃんも好きだけど、どっちかと言うとわんちゃん派。出来りぇばわんちゃん飼いたいの」

「そこら辺にいるッしょ?」

「リュカ、小さくてフワフワの毛のわんちゃんがいい」

確かに小さくてフワフワのワンちゃんは可愛い。もふもふを望む。

「そんな犬、どこにいるんですか?」

「知りゃない。売ってないの?」

「……え? 売ってる訳ないじゃないですか。そんな店はありませんよ? どうしますか?」

「じゃあ、ブリーダーさんは?」

「何スか、それは?」

「わんちゃんを育てて売ってる人?」

「聞いた事ないですよ。どうしますか?」

「ん〜、分かんない」

「リリ様、見切り発車はやめましょう」

「そう?」

「そうです。本当に何で突然ボケボケになるんスか?」

「え、意味分かんない」

「とにかく、そんな犬は見た事ないです」

「分かった、あきりゃめりゅよ……」

残念ながら、前世のようなペットショップはないらしい。当然、ブリーダーなんて言葉も知られていない。そりゃそうだ。

「じゃあ、帰りましょうか」

「だめ。まだ行くとこあんの」

「えぇ……どこ行くんスか?」

「びょ、ぼ、ぼうけんしゃぎりゅど」

まったく言えてない。聞き取れない。

「はい? なんですって?」

「だかりゃぁ、ぼうけんしゃぎりゅど」

「ああ、冒険者ギルドですね?」

「うん!」

「そんなとこ行ってどうするんですか?」

「リュカ、りょまんだよ。りょ・ま・ん」

「はいはい。ロマンですか。さっさと行って帰りますよ」

リュカがリリアス殿下の手をひいて歩いて行く。

ロマンねぇ……リュカはきっとそう思っている。対応がどんどん雑になっていく。リリアス殿下は気にしていない様だが。

「ひょおー! マジ!? 本物だ!」

ガタイの良い男達が大半の冒険者ギルド。当然、男臭い。

そんな中、気にもせずトコトコと入って行くリリアス。

場違い感が半端ない。なんせ、リリアスはピカピカの可愛い皇子殿下だ。周りは一斉にリリアスに注目している。

それにも気付かず、目をキラキラさせながらギルドの中をリュカを引っ張ってウロチョロ。

「ねえねえ、リュカ。これはなぁに?」

一区画の壁に乱雑に貼り付けられた紙。よく見るとランク別になっている。

「あれですね、依頼書ですね」

「いらいしょ?」

「殿下、冒険者にはランクがあるのは知ってますか?」

「うん! 知ってりゅ」

「そのランク別に依頼書が貼り出されていて、自分のランクの物からピックアップして依頼を受けるんですね」

ほぉ〜……っと、感心して聞いている。分かっているのか?

「ボキュも受けたいなぁ……よし!」

いきなり、カウンターの方へテケテケテケと走って行く。

「殿下、何するんですか?」

「リュカ、そんなの決まってりゅじゃん!」

受付カウンターまで走って行くが、なんせ3歳児だ。カウンターに背が届いていない。

「リュカ、抱っこ!」

「え? 何するんスか?」

リュカに抱っこされて、やっと受付カウンターに届いた。そして、カウンターに座っている受付のお姉さんに元気よく言った。

「おねーさん、ぼうけんしゃとうりょくお願いしまーす!」

リュカに手をひかれてトボトボと城への道を歩く小さな皇子。

「クククク……」

「リュカ、いつまでわりゃってんの!?」

「ブハハッ! いやだって、殿下。3歳児が普通に冒険者登録できると、なんで思うんスか!?」

「だって、冒険者は自由なんでしょ?」

「そりゃそうですけど。普通の3歳児はまだ魔法を使えませんからね。もちろん、魔物も討伐できません」

「そうなんだ……」

「それに何よりも、皇子殿下なんですよ」

「え? 皇子だととうりょくできないの?」

「いや、そんな事ないと思いますけど。それ以前に皇子殿下は冒険者になりませんよね?」

「えッ!? そうなの!?」

「はい、そうですよ」

「でも、ボク5番目だかりゃ平気だよ」

「意味が分かりません」

「リュカ、何歳からとうりょくできりゅんだっけ?」

「10歳ですね」

「よし、10歳まで我慢ら」

「え……」

諦めないのかよ……と、リュカの目が言っている。

リュカと手を繋いで無事に城に戻ってくると、腕組みをしたクーファルが仁王立ちをして待っていた。

「リリ! リュカ!」

「うわッ! クーにーさま!!」

ヤバイ!! 1番見つかってはいけない兄皇子に見つかってしまった!

2人共、冷や汗ダラダラだ。

「どこに行っていたのかな? リリ、リュカ!」

先に平謝りした方が、お小言はまだマシだろう? と、リュカがガバッと頭を下げた。

「殿下! 申し訳ありません!」

「リュカ、君はどうして止めなかった?」

「だって、クーファル殿下! セティ様の影の人がいいって……」

「リュカ、言い訳だね」

えッ!? 影がいたの!? と、驚いているリリアス殿下。

「無事に帰ってきたから良いようなものの、3歳でしかも皇子なのに冒険者登録なんてリリは何を考えているんだ!?」

えぇッ!? ついさっきの出来事なのに、何故クーファルはもう知っている!? と、2人で驚いている。

「クーファル殿下、それはまさかそんな事をされるとは夢にも思わなくてですね……」

いやいや、リュカが抱っこしていただろう?

「クーファル殿下、マジで不可抗力です!」

「リュカ、どっちにしろ城から出るのを止めないとね」

「はい、申し訳ありません」

もうリュカは小さくなっている。

「リリ、本当にリリはいつもいつも兄さまを驚かす天才だよ」

いやいや、驚いているのはこっちだよ……と、思っていそうなリリアス殿下。

「クーにーさま、ごめんなさい」

「リリ、罰として今日のオヤツは無しだ」

「えぇーー!! にーさま! そんなー!」

「串焼き肉を食べたのだから、オヤツはいいだろう? ねえ、リリ。おいしかったんだって? 良かったねぇ。楽しかったかな?」

「はい! にーさま! めちゃ楽しかったです!」

リリアス……そこは素直に言ったら駄目だろう。クーファルの黒い微笑みが見えていないのか?

「そうか、めちゃ楽しかったか」

「あ……ありぇりぇ……?」

まだまだ3歳のヤンチャな皇子殿下のリリアスです。