軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

348ービスマス鉱山

「お待ちしておりました。クーファル殿下、リリアス殿下、ようこそお越し下さいました。この地を治めておりますスタナム・ビスマスと申します。

先日は、息子のセルジャンがお世話になったばかりか、助けて頂き有難うございます」

セルジャンのお父さんだ。スタナム・ビスマス伯爵。焦茶色の髪と瞳で中肉中背。伯爵らしい伯爵と言うべきか。堅実そうな男性だ。ロウエル伯爵より少しだけ若いか?

「ご紹介します。この鉱山のある地域を任せております、クブルム・ビリューザ子爵です」

「クーファル殿下、お初にお目に掛かります。リリアス殿下は先日お会い致しましたな。息子がお世話になりました」

そう、ハルコスの父親だ。

「宜しく頼む」

「リリアスです。宜しくお願いします」

ビスマス鉱山は、ロウエル鉱山と同じ様な造りになっていた。距離も近いし同年代に開発された鉱山らしいから、似ているのかも知れない。

鉱山の周りは、ロウエル鉱山より開けている。近くにそこそこの規模の街があるらしい。そこも、ビリューザ子爵が治めている。

ビリューザ子爵は、以前ロウエル伯爵邸で会った時に聞いたのだが、若い頃は騎士を目指していたそうだ。

騎士アカデミーを卒業して騎士見習いまでいったそうだが、騎士団への配属を前に父親が病で倒れ急遽こっちに戻ったそうだ。

手の届く所まできていた騎士団を断念しなければならなかったのだ。

息子のハルコスが、騎士団を目指すのも血筋かも知れない。

そんな若い頃に急に街と鉱山を治めなければならなくなって大変だったろう。それでも、今迄やってこれている。有能な証拠なのかも知れない。

俺達は鉱山の手前にある建物の一つに案内された。鉱山の事務所兼鉱夫達の休憩所になっている建物だ。

物腰の柔らかい女性がお茶を出してくれた。

「妻のカスディールです」

「カスディール・ビリューザと申します。ハルコスがお世話になりました」

おー、夫人が手伝っているのか?

「私が若い時に継いだ事もあって、妻がずっと細々とした事を手伝ってくれております」

そうなのか。俺はそう言うの嫌いじゃないよ。

「ご夫婦で協力されているのですね」

俺がニコッとしながら、言った。

……あれ? 何か変な事言ったか? 夫人が目を丸くしている。

夫人はベージュブラウンの髪にオリーブ色の瞳だ。ハルコスは夫人似なんだな。

「失礼致しました。子爵とは言え、女の私が手伝いをしている事を良く思われない方が多いので、驚いてしまいました」

あー、また貴族のクセにとか言う奴がいるんだろうな。

「どうしてですか? ご夫婦で力を合わせておられるのは素晴らしい事です。それに、女性が仕事を持つ事はおかしくないとボクは思います」

「リリアス殿下、有難うございます」

「そうだな。私達の母も、ずっと城に居るとは言っても何らかの仕事はしているからね」

「はい。兄さま。母さまなんていつも忙しそうです」

「ハハハ。リリ、エイル様は特別だ」

「兄さま、そうなのですか? でも、皇后様はもっとお忙しそうですよ?」

「まあ、皇后としての仕事も多いからね。父があれだし」

「あ〜、そうですね」

「おやおや」

「これは、子爵。失礼したね」

「いえ、クーファル殿下。とんでもございません。貴族の夫人がと仰る方も多い中、嬉しい事です」

そして俺達はロウエル鉱山の時と同じ様に書類を見せ説明した。

「実際に鉱山の中を見せてもらおうか」

「はい、ご案内致します」

俺達は、ビスマス伯爵とビリューザ子爵に案内されて鉱山に向かった。

鉱山の入り口の前で、1人の男性が待っていた。

「ご紹介します。この鉱山の鉱夫長を任せております、エルツです」

「エルツです。ご案内致します」

ほう。さすが、現役の鉱夫だ。細身なのに、綺麗な筋肉だな。逞しいぜ! これが細マッチョと言うやつか!

ダークシルバーのロン毛を無造作に後ろで纏めて超カッコいいぜ。

「…………」

ん? リュカ?

「リュカ、どうしたの?」

「あ、いえ。殿下、何でもありません」

そう? 何か引っかかるのかと思ったんだが?

「リリ、行くよ」

「あ、はい。兄さま」

俺はまた地図を手に、鑑定しながら進む。しっかり地図にもチェックを入れて行く。

ロウエル鉱山もそうだったが、ここも埋蔵量に比べるとまだまだ全然採掘できていないな。ま、資源があるのは良い事だ。

「リリ、一応最奥まで行くかい?」

「はい、兄さま。それとここも光源です。ここは通気口も足りていませんね」

「そうか」

鉱山の坑道には地上から新鮮な空気を送り込む必要がある。

(1)坑内の人達に呼吸のための空気を供給する。

(2)坑内から往々にして出る有毒・有害ガスを薄めて無害にして排出する。

(3)坑内が深くなるにつれ、地熱の影響で高温になり、環境が悪化する。これを通風によって冷却する。(by.ニッポ○カさん)

その為、所々に穴を開け風魔法を付与した魔石を埋め込んで空気を送り込む通気口を設置する。

それが、足りていない。倍は欲しいところだな。

また、1日の作業を終えたら風魔法を使える者が坑道内の粉塵を魔法で排出する作業を加えてもらう。

これは、万が一にも粉塵爆発を起こさない為だ。それに、粉塵が少なければ労働環境も良くなる。坑道内の空気も良くなる。

クーファルがそれを説明した。そして、光源を取り替える事も説明した。

「直ぐに取り掛かります」

エルツと自己紹介した男性が真剣に取り組んでくれる。うん。この姿勢なら安心だ。

「リリ、ここで最奥らしいよ」

「はい、兄さま。少し戻りましょう」

俺は地図にチェックを入れながら、坑道を戻る。

「オク、ここら辺かな?」

「そうですね。それでもまだ距離がありますね」

「うん。でもこの程度なら大丈夫だよ」

「兄さま、皆さん下がって下さい。リュカ、お願い」

「はい、殿下」

俺はオクソールと確認した方向の壁に両手を着いて魔力を流す。

土属性魔法で坑道の壁を一部崩して行く。ガンガン石や岩が落ちてくるが、リュカのマルチプルガードで俺は平気さ。

ここは少し距離があるので、数分も掛かってしまった。今迄見た所は、2〜3回崩せば良かったからな。

その分、足元がヤバイ。崩した岩で歩けねーじゃん。て、思っているとオクソールがヒョイと抱えてくれた。いつも悪いね、オクソール。

「リュカ、もう良いよ」

一応、鑑定で確かめる。

「うん。大丈夫だ」

オクソールを見ると頷いている。

「兄さま、伯爵、これがミスリルです。このまま掘って行けば大丈夫です」

「なんと! 本当にミスリルがあるのですか!?」

「はい、伯爵。他にもあります。地図にチェックを入れてますから、参考にして下さい」

クーファルと伯爵、子爵が地図を見る。