軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

344ー帰路

キースの家に戻ると家の前に騎士団がいた。

「あれ? どうしたの?」

「リリアス殿下。また新しく捕らえた者がおりまして」

「え? この村で?」

「いえ。詳しくは中にクーファル殿下とオクソール様がおられますので」

そうか。こんな外では言えないか。

「いえ、まだ10歳の殿下のお耳に入れて良いものかどうか。私には判断できませんので」

なんだそれは? 虐殺されていたとかか? まあ、いいや。クーファルに聞こう。

「兄さま」

「ああ、リリ。お帰り。キース、さっきご両親にもお話したんだけど、家を使わせて貰って申し訳なかったね。明日から、村長宅の離れを騎士団が使わせてもらう事になったから。騒がせるのも今日までだと思うよ。

イルマル、セルジャン君達ももう用は済んだだろう。リリも一緒に明日にでも戻りなさい」

「クーファル殿下、お気遣いありがとうございます」

「イル、どうする?」

「セル、俺達がいても邪魔になるだろう?」

「そうだな」

「え、兄さま。また捕らえた者がいると聞きました」

「そうだね。ルーペス・ペブルスと、アレーナ・ザントスを捕らえた」

イルマルのお姉さんの元婚約者の伯爵家子息と、お相手の男爵令嬢だ。

「そうなんですか。どこにいたのですか?」

「ペブルス伯爵領の宿屋で見つかったよ」

ペブルス伯爵領て、元婚約者の伯爵家の領地じゃねーか。家に帰る途中だったのか?

「あー、まあ。リリは知らなくていいよ」

クーファルがニコッとした。この微笑みはアレだ。これ以上聞くな、て顔だ。

超気になるじゃねーか。

「リリ」

そう言ってクーファルは首を横に振る。

ああ、駄目だな。これは話してくれないわ。

「はい、兄さま。分かりました」

「うん。良い子だ。君達はもう戻りなさい。後は大人の仕事だ」

「クーファル殿下、あの。姉にはお咎めは……」

「イルマル、大丈夫だ。姉君には何のお咎めもない。無関係なのは分かっているからね。安心しなさい」

「ありがとうございます!」

ここら辺が潮時かな? せっかくレピオスが来てくれたのにさ。

「殿下、せっかくですので私はこの後も同行させて頂きますよ」

「レピオス、本当? 嬉しい!」

俺はピョンと、レピオスの近くに行く。

「おやおや。喜んで頂けるのですか?」

「当たり前じゃない! レピオスはボクの師匠だけど、心の友だよ!」

「アハハハ、殿下。こんな歳の者に友と言って下さいますか?」

「あ、ごめんなさい。失礼だよね」

「いえいえ、嬉しく思いますよ。殿下が赤ちゃんの頃から診させて頂いてますかね。感慨深いものがありますよ」

やだよー、レピオス。嬉しいよ!

「じゃあ、レピオスもリリと一緒に戻ると良いよ」

「兄さまはどうするのですか?」

「私はもう1日か2日こっちにいるよ。鉱山の調査はそれからになるから、ロウエル伯爵邸で待っていてくれるかな? イルマル、頼んだよ」

「はい、クーファル殿下」

そう言う事なら戻るか。オクソールも良いのかな? と、思ってオクソールを見る。

「私は殿下の護衛ですので、ご一緒します」

「イルマル、セルジャンどうする? 明日戻る?」

「そうですね。目的は男爵令嬢の事でしたし。この様な事件になってしまったら、もう必要ないでしょう」

「イル、そうだな。戻るか」

「また、学園でな。イル、セル」

「ああ、キース。世話になったな」

「ああ、それとリリ。今夜は村長に夕食に呼ばれているんだ」

「え、兄さま。ボクもですか?」

「そうだよ。シェフがもう村長宅で用意している」

えー、マジかよ。面倒だなぁ。

「リリ。皇子のお仕事だ」

「はい。兄さま」

仕方ない。シェフの料理ならまだ良いか。

「リリ殿下、本当に皇子なんだな」

キース、何言ってんだ? 皇子らしくないか?

「あんまり気さくだから、皇子殿下だと忘れてしまうよな?」

「セル、そうだろ?」

「セル、キース。失礼だよ? 気持ちは分かるけどさ。なんか友達みたいだもんな」

「イル、そうなんだよ。喋らなかったら皇子なんだけどな」

ヒデーな。どう言う事だよ。まあ、俺にはクーファルの様な威厳はないけどさ。

「え? リリちゃん帰るの?」

ヒョコッと部屋の入り口から顔を出した。出たよ。場の空気を読まないキースの弟だ。リリ殿下からリリちゃんになってるよ。

「じゃあ、ユキちゃんも帰るの?」

なんだよ、ユキかよ! ユキのフワモフに夢中だな?

弟はトテトテと入ってきて、ユキに抱きつく。

「ユキちゃん、またね! また来てね!」

この弟はやっぱ幼いよな? いや、敢えてか? 敢えての計算なのか?

「リリ殿下、天然です」

やだ、キース。そうなのか? あざとい系か?

その日の夕食をクーファルと一緒に村長の家で食べて、次の日の朝俺達は出発した。

イルマルとセルジャンはイルマルの家の馬車で。

俺達は荷馬車だ。オクソールとシェフが馬で、リュカが御者だ。俺とラルクとレピオスとユキは荷馬車に揺られている。

念の為、クーファルが騎士団を5名付けてくれた。

「リリアス殿下、そうされていると本当に商人の子息に見えなくもないですね」

「レピオス、見えなくもない、て何? じゃあ無理があるって事?」

「いえ、私共は殿下だと知ってますからね。無理があります」

なんだ、そう言う事。

「こんな可愛らしい上品な商人の息子がいるのか? て、話ですよね?」

ラルク、なんだそれ?

「ラルク殿、殿下はご自覚がありませんから」

「そうなんですよね」

意味分からん。スルーしておこう。

「殿下、スルーッスか?」

「リュカ、こんな時はツッコむんだね」

「気晴らしにならなかったッスね?」

「え? リュカ何で?」

「だって、敵襲がありましたから。のんびりとは出来なかったでしょう?」

「ん〜。ただ男爵令嬢の事を調べるだけだった筈だからね。でも、新鮮だったよ。あんなに魔法で攻撃したのも初めてだったし」

「そうッスね。大丈夫ですか?」

「え? リュカ、何が?」

「いえ。攻撃魔法であんな事したの初めてでしょう?」

「ああ。うん、平気。でも、本当に馬鹿な貴族には腹が立つ」

「殿下、そんな貴族ばかりではありませんよ」

「レピオス、分かってるけど」

「ロウエル伯爵も、ビスマス伯爵もご立派な方です。堅実に領地を守っておられます」

「うん。そうだね」

そうだな。悪い事は目立ってしまうからついついそんな貴族の事が印象に残るけど、そんな貴族ばかりではない事も知っている。

イルマルやセルジャンの家もそうだが、レイやアース、ディアーナの家もそうだ。

それを忘れては駄目だな。