軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

341ー麻薬の正体

「レピオス、どうやって来たの!? めちゃ早くない?」

「殿下、何を仰います。殿下が作られた転移玉ですよ」

「あれは、でも一度行った事のある場所にしか行けないんだよ?」

「はい。ですから、オクソール様が迎えに来て下さいました」

「オクが!?」

なんだよー、オク。やるじゃん!

「今朝ね、レピオスが例の麻薬を分析してくれたよ。て、話していたんだ。そしたら、オクソールがレピオスを迎えに行きたいと言うからね。任せたんだ」

「兄さま、ありがとうございます!」

「礼ならオクソールに言うと良いよ」

有難い! オクソール、感謝だよ! レピオスがいると言うだけで、安心感が違うぜ。

「では早速ですが、クーファル殿下が送って下さった麻薬の分析結果からご報告致します」

レピオスは押収した麻薬を詳細に分析していた。

数種類の薬草を混ぜて作ってあった。

香りで脳に働きかける物。筋肉を弛緩させる物。意識を混濁させる物。

そして、あの赤紫の花、アカザだ。正確には、そのアカザの茎と花が使われていた。

先にも言った様に、アカザの葉は薬湯や粉薬、塗り薬として使われている。皮膚疾患や心臓病に有効で貴重な薬草だ。

しかし、茎には媚薬の効果があり花には幻覚作用がある。

その、茎と花の両方が使われていた。しかも、連続使用すると考える事も出来なくなり精神は崩壊する。それ程の量が使われていた。

そんなものを、平気で人に使える事自体が普通ではない。まるで狂人だ。

「茎や花は乾燥させて香の様に焚いたり、炙って吸入したりします。それに依って効果を倍増させるのです。乾燥させる前のものを焼くのもいけません。乾燥の物程の効果はありませんが、焼くと言う事は呼吸時に吸い込みます。それを何度も繰り返すと知らず知らずのうちに中毒になります。

ですので、地中に埋めるのが1番良いでしょう。地中に埋める事で分解され無毒化されます。また、アカザは人工的に繁殖させるのが難しく自然の物に頼るしかありません。そのアカザの1番の自生地がこの村です」

「レピオス、この村には昔からアカザの葉以外は地中に埋めて処分する事と、言い伝わっていたんだ。先人の知恵は凄いんだね」

「殿下、そうですか。それは素晴らしいですね」

「うん。村の人達は花と茎がどんなものなのかハッキリとは理解していなかったけど、それを守っていたそうだよ。

なのに、新しくこの村を治める事になったザントス男爵が花も全て収穫して持って行ったそうだ」

「リリ、それは確信犯だね」

「はい。狙ってますね。捕らえた男爵に売っていたのでしょうね」

「いや、その前にペブルス伯爵に売却していたんだ」

「兄さま、もうそこまで調べが付いているのですか?」

「ああ。この村の規模でわざわざ男爵が治めると言う事に引っかかったからね。先に調べ出していたんだ。しかも、この村の村長はしっかり統治しているのに今更男爵なんて不自然だろう?」

クーファルには感心する。見極める事に長けているとでも言うのか。

オクソールもそれを知っていたらしく、こっちに着いてからも逐一クーファルに報告していたそうだ。

何か、俺は泳がされた感じだよな。一言言ってくれれば良いのにさ。

「まあ、リリは言わなくても核心に辿り着くからね」

なんだよ、それは。俺って台風の目みたいじゃねーか。

「兄さま、次からボクにも教えて欲しいです」

「そうかい?」

「当然ですよ! なんか仲間はずれにされてる感があります」

「まさか! そんな訳ないだろう! 出来れば関わって欲しくないんだよ。だから、兄様は止めた筈だよ? 駄目だって言ったよね?」

「そうでした」

「クフフフ。リリアス殿下はまだまだクーファル殿下に敵いませんね」

「レピオス、当たり前じゃん。兄さまに敵う気がしないもん」

「おやおや」

なんだよ。何で意外そうな顔してんだよ。

「皆様、お話し中ですがお昼にしませんか?」

シェフだよ。いつも良いタイミングだな。

「うん、シェフ食べる!」

シェフの後ろからイルマル達が顔を出していた。

「イル、セル、キース。リビング占領しちゃってごめん。紹介するよ、入って」

3人がおずおずと入ってきた。

「兄さま、レピオス、紹介します」

イルマル、セルジャン、キースをクーファルとレピオスに紹介した。イルマルとセルジャンはロウエル伯爵邸でクーファルと1度会ってるな。

「レピオスは皇宮医師でボクの師匠なんだ。頼りになるんだ」

「皇宮医師に師事してるって聞いて変だなぁとは思ったんだ。皇子殿下なら納得できる」

あら、キース鋭いね。

「クーファル殿下にお目に掛かれるなんて。母が喜びます」

キース、母かよ。やっぱ女性なのかよ!

「皆さん、食事をご用意致します。どうぞお座り下さい」

シェフが手に皿を持ってやってきた。

「シェフ、お昼はなあに?」

「はい。リリアス殿下のお好きなクリームパスタですよ」

「おぉー! 好き好き!」

キースの両親と弟もやってきた。

「また人数が増えてすみません」

「リリアス殿下、何を仰いますか! クーファル殿下にもお目に掛かれるなんて光栄です」

「急にすまないね。私は村長の方で世話になるから」

「まあ! クーファル殿下、遠慮なさらずに居て下さって構いませんよ! こんな狭い家でも宜しければどうぞ滞在なさって下さい!」

お母さん、食い気味だね。

「有難う。助かるよ」

さて、俺はパスタを食べるよ。

「シェフ、美味しい! アスパラとサーモンなの?」

「はい。このアスパラは今朝収穫したものなのですよ」

「今朝!?」

「リリアス殿下、裏の畑で育てています」

キースのお母さんが教えてくれた。

「凄いですね! 採れたてだ!」

「シェフさんの料理は珍しくてとても美味しくて、勉強になりますわ」

「有難うございます。奥様の腕前も素晴らしいものですよ?」

「まあ、そんな。シェフさんの方が」

「いえいえ、奥様が」

何だよ。コントみたいになってるじゃん。て、言うかさぁ。キースのご両親て平民ぽくないよね。品があると言うかさ。言葉も丁寧だし。

「……モグモグモグ」

食べながらご両親をジッと見つめてしまった。

「あの……リリアス殿下?」

「ああ、ごめんなさい。ご両親は平民らしくないと思って」

おや、ご両親が顔を見合わせてるよ。何だ? 俺、言ったら駄目なとこに突っ込んでしまったか?