軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

325ー3代目

「ソニア、もう体はいいの?」

「リリアス殿下、有難う御座います。もうだいぶ良いです」

「大丈夫なのかな? もう少し横になっている方が良くないか? まだ顔色が良くない。まだ休む方がいい」

そうだな。そう言われれば、まだ顔色が良くない。

「クーファル殿下、有難うございます」

「早く元気になってね」

「リリアス殿下、有難う御座います」

ソニアのご両親も挨拶をされ、ソニアを支えながら戻って行った。

本当に無事で良かった。

「兄さま、あの香は何だか分かったのですか?」

「あれかい? 地下に、原料らしき物が沢山あったからね。騎士団が全部押収してレピオスに送る事にしたよ。麻薬の類いだろうけどね」

「そうですね。監禁されていた3人の女性はまだ意識が戻らないのですか?」

「ああ。まだだ。リリが解毒してくれているが、長い時間香を使われていた様だし、体力もないからね。まだ時間は掛かるだろう」

「クーファル殿下、宜しければその女性達や邸の使用人達はどうなるのか教えて頂いても?」

「ああ、村長。昨夜のうちに領主と連絡をとっている。領主が責任を持って面倒見るらしいよ。それに、前町長のご家族もね。男爵が薬を盛って殺害したらしいから」

なんなんだ、あの男爵は! 何がしたかったんだ! ムカつくなー!

「リリ、男爵位の3代目だったんだ」

「兄さま、3代で功績が無ければって事ですか?」

帝国では、男爵位は3年に1度監査が入る。且つ、3代の内に何か功績を上げないと爵位は返上しなければならない。

「あの男爵は3代目で、しかも3年目だった。監査が入る年だった。だから、焦ったんだろう。爵位返上を免れる為に、伯爵から領地を任せてもらっていると言う実績が欲しかったんだろうね。実際に、功績を上げる事は大変だが、領地を治める事だって功績と同じだ。

だが、あの様な領地経営だと認められる訳もないのだが、領地を任せてもらえて安心でもしたのだろうか。国や領主が決めた税に上乗せしてその分を着服していた。ちゃんと税を納めているからと気付かなかった領主の伯爵もペナルティを受けるだろうね」

だからと言ってあんな事をするのか? 俺には理解できない。

「普通ではないね。理解に苦しむよ。人の命を何だと思っているのか」

クーファルの言う通りだ。

「まだまだ調べないといけない事が沢山あるから、監査部が動く事になったよ。ソニアも落ち着いたら正式に調書を取らせてもらう。この村からどんな経緯でこうなったのか、詳しく聞く事になる。それですべて明らかになるだろう」

はぁ〜。本当に腹が立つ。

「リリ? もうそんなに思わなくていいんだよ? リリの手からは離れたんだ」

「クーファル兄さま。でも、兄さまとフレイ兄さまとで、貴族を指導していると聞いてます。それなのに、こんな男爵がいるなんて」

「リリ、人間だからね。仕方ないよ」

「兄さまだって人間です」

「そうだが。人間は欲に弱いものだ。権力を持つと勘違いする人もいるんだ。

リリや私は産まれたのが皇家だ。望まなくても権力はあった。しかし自分を律する事を厳しく教えられて育つ。皇族はこう在るべきだ。貴族とはこう在るべきだとね。

昨日の男爵とは最初から違う。初代の男爵はそうではなかったかも知れないが、それがたった3代後にはこうなるんだ。

人間とは弱いものだよ。だからこそ、学ぶんだ。考えるんだ。律するんだ。それを忘れてはいけないよ」

「はい、兄さま」

クーファル、偉いな。俺、前世でクーファル位の歳の時はそんな事全然考えてなかったよ。

それだけこっちの世界は厳しいと言う事か。

「殿下! リリアス殿下!」

また、フォカが駆け込んできた。今度は何だ? もう事件は嫌だよ?

「フォカ、落ち着け! どうした?」

「親父、すまない。リリアス殿下、ウリ坊がいます! 見に行きませんか!? めちゃくちゃ可愛いですよ!」

「えッ!? 行く行く! 兄さま、行ってきても良いですか?」

「ああ、気をつけて行っておいで。夕食までには戻りなさい」

「はい! 兄さま! ラルク、ユキ行こう!」

「殿下、殿下! 俺も行きます!」

リュカがバタバタと付いて来る。

ウリ坊だって! 俺、見た事ないよ!

「殿下! こっちです!」

フォカの後を俺とリュカとラルクとユキは走る。

村の中を畑まで抜けてまだ先へ行く。

薮の中に入って少し走ると、村人がいた。

「フォカ!」

「殿下をお連れした!」

「ええ! お前マジかよ!」

「だって可愛いじゃん! 見てもらいたいだろー!」

「殿下! こんな所にすみません!」

村人が声を掛けてきた。

「あ、いいの、いいの! ボクも見たいの! どこ?」

「こっちです!」

村人が差した所には落とし穴があった。

「え!? 落とし穴!?」

「はい! 罠の落とし穴に落ちていたんです!」

「あらら、かわいそう。お母さんは?」

「あー、夕飯の猪鍋です」

フォカ、マジかよ! あらまー! 可哀想に! まあ、どれどれ? ウリ坊、見たいよ。

「うわぁ〜! マジ、ウリ坊だ! わぁ、可愛い! 小さい!」

「うわ、小さいんですね。本当に体に縞模様があるんだ」

ラルク、そんな知識もあるんだな。

覗いた落とし穴には5匹ものウリ坊がいた。キューキュー鳴いている。

「でも可哀想だね。もうお母さんいないんだもんね。どうすんの?」

「ですよね? 村で飼う?」

「フォカ、マジかよ!?」

「うん。だってこのまま放してもさぁ、生きていけるか分からないだろ?」

「フォカ、そうだけど。飼えるのか?」

「分からん」

なんだよ、それ! そう言うとこ、リュカそっくりだな!

フォカの話だと……

猪でも成体なら、余裕で1mは飛び越えるそうだ。知らなかったぜ。そんなに飛ぶんだな。

しかも、力も強く50〜60kgなら石でも動かすそうだ。その上、20cm程の狭い隙間でも潜ろうとする。だから、やっかいなんだそうだ。

「それってさ、飼おうにも飼えないじゃん?」

「そうですよね」

「凄い頑丈な柵がいるよ?」

「ですよね」

「でも、このまま放しても生きて行けるか分かんないんでしょ?」

「そうなんですよ」

いや、だからさぁ。フォカ、本当に考えてるか?