軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

318ー手掛かり

「リリ、その者の匂いのついた物はないか?」

「ユキ、匂いで辿れるの?」

「我はあまり得意ではないのだ。リュカ、お前の方が匂いを辿るのは得意だろう?」

匂いかぁ。辿れたらラッキーだな。探すのは……まぁ、一応サーチしておくか。個別に分かる訳じゃないからなぁ。意味ないかも知れないが。

それから両親の話を聞いていると、バタバタと村人が駆け込んで来た。

「村長!」

「どうした!?」

「これ、ソニアのじゃないか!? 街の中を探して戻ってくる途中の道に落ちてたんだ!」

村人の手には可愛らしいリボンが。

「これ! ソニアのです! 今日、リュカが帰ってくるからと言って嬉しそうにこのリボンで髪を結んでました!」

ソニアの母親が確認する。

「じゃあ、やはり街に行ったのか!? リボンが落ちていた場所はどこなんだ?」

村長が見つけてきた村人に聞く。

村人の話では、街でソニアを探したが時間が遅い事もあり大した手掛かりも見つけられず一旦村に戻る事にした。

その帰り道で見つけたそうだ。

「ちょうど、こっちに向かう道と隣町に向かう道とに分かれている場所に落ちてたんだ。でも、おかしいんだ。行きにはなかったんだ。俺達、しっかり見てたけど確かに行きは落ちてなかった」

て、事はそれ以降の時間に落ちたと言う事か?

「その隣町は、よく行くんですか?」

「いいえ。まあまあ距離がありますし、あそこは領主が違うんです。この近くの街より小さいですし、最近は治安も良くないのでめったな事では行きません。近くの街で事は足りるので、行く必要もないと言いますか」

フォカが説明してくれた。そうか、領主が違うのか。

「リュカ、クーファル兄さまに隣町を調べてもらって」

「はい、殿下」

「オク」

「はい、殿下。行きますか?」

「うん。念の為、街にも探しに行ってもらって。ボク達は隣町の方を探そうか」

「殿下、そっちにも人をやります。殿下は待機してください」

「村長、ボクが行くよ」

「殿下を危険な目に合わせる事はできない!」

「大丈夫。リュカを連れて行くから。オクもユキもシェフもいる」

「シェフ?」

「うん。ボクのシェフは戦うシェフなの。超強いんだ」

「殿下……敵いませんな。殿下もお強いのでしょう?」

「え? ボクは普通だよ? 強くないよ? 人と戦った事ないし」

そうさ、魔物と人とは違う。

「はいはい。殿下、それはもういいです。行きましょう」

「あらら。オク、なんか冷めてるね」

俺は立ち上がりオクソールと玄関に向かう。

「親父、大丈夫だ。殿下はお強いし、俺が絶対にお守りするから。ソニアも探し出す」

「リュカ、頼んだ。フォカも連れて行け。念の為、村のもんをこっちの街にやる」

「ああ、そっちは頼んだ。親父、これ渡しておく」

「なんだ?」

「魔力を流せば離れた場所にいる人と話せる」

「リュカ、いいよ。ボク、予備を持っているから」

俺はマジックバッグから魔道具を出す。何でも入れておくもんだ。

「殿下、有難う御座います。兄貴もこれ着けてくれ」

「じゃあ、何かあったら村長に連絡ね」

「殿下、申し訳ない! ソニアを助けてやってください!」

「村長、頑張るよ」

さて、みんな行こうか。

俺はオクソールの馬に乗せてもらう。真っ暗な道を隣町に向かって走る。

フォカが先導してくれている。俺はまたポンポンポンとライトを出して道を照らす。

獣人は見えていても、騎士団は普通の人間だからな。

暫く走ると分かれ道にさしかかるところで止まった。

「殿下、この道を直進すれば街です。右に行けば隣町です」

ユキが、匂いを拾う様に道を確認している。

「ユキ、分かる?」

「いや、色々混じっていて匂いは分からん。だが、荷馬車でも走ったのか、跡がある」

フォカがユキの目線を辿って地面を見る。

「これは、まだ新しいですね。さっきも言いましたが、殆ど行き来がないんです。でも、この跡はまだ新しいですね。固まってません」

「オク、行ってみよう」

「はい。殿下、サーチを展開しておいて下さい。こんな時間に移動している者はいないでしょうから」

そうか、移動しているだけでも怪しいって事か。

「オク、大丈夫。もうやってるよ」

リュカの村からずっとサーチを展開している。出来るだけ広範囲で、薄く魔力を広げる。

「まだ反応はないや。とにかく、隣町に向かってみよう」

「分かりました。先導します!」

フォカが走り出す。オクが指示して、フォカの後ろに騎士団5名がついて走る。

その後ろにリュカ、俺を乗せたオクソール、ユキ、シェフ、騎士団5名の順だ。

「隣町って言っても距離があるんだね。まだ何にも分かんないや」

「領主が違うと言ってましたから、この速さでも1時間は掛かるでしょう」

「そうなんだ」

「オクはその領主を知ってる?」

「以前、調査した時は伯爵でしたが、もしかしたらその下で子爵や男爵が治めているかも知れませんね。領地の端ですし、小さな町だそうなので」

貴族だからと言ってすべての貴族が領地を持つ訳ではない。

伯爵でも領地を持たない者がいるので、子爵や男爵になるとそれ以上だ。伯爵や公爵の下について領地を任されている者も多い。

今、向かっている町もそんな感じなのだろう。

そう言えば、前にレイとアースが言っていた。勘違いする馬鹿な奴が多いと。

オクソールが言った様に、1時間程走るとサーチに町の反応が出てきた。

「もうすぐ町だね」

「はい、殿下。荷馬車だとそう早く移動はできませんから、動きがあったら教えて下さい」

「うん。分かった」

俺は町にサーチを広げる。

「あ、オク。動きがあるよ。町の中を移動している」

「殿下、それを追う事はできますか?」

「うん。任せて」

一応、広範囲でもサーチを広げながら、動いている何かに注意をする。

「殿下! 町が見えてきました! 入りますか!?」

「フォカ、入って! 町の中を奥の方に移動している者がいるんだ!」

「分かりました!」

馬の速度を緩めて町に入る。

「オク、止まった!」

「殿下、追えますか?」

「うん。真っ直ぐに中央を過ぎて奥に向かって!」

「リュカ! フォカ! 中央より奥だ!」

「了解です!」

フォカが馬を進める。

「兄貴! 奥は町長の邸じゃなかったか?」

「ああ、リュカ。その通りだ。静かに向かう方が良いな」

先導をしているフォカが速度を落としたので俺達もゆっくりと進む。