軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

302ークーファルの婚約 7

「クーファル!」

ポンッとルーが現れた。

「ルー様!」

「え? ルー様って、精霊様!?」

「二人共、よく耐えた!」

その時、力を使い過ぎたミリアーナが崩れ落ちると同時に光の壁が消えた。

「ミリアーナ!」

クーファルが即座に抱き支える。

「大丈夫だ。力を使い過ぎて気を失っているだけだ」

「ルー様! あれは!?」

「ああ、後は僕に任せて」

白い鳥の姿をしたルーが何者かと相対した。

――なんだ! 何故光の精霊がいるんだ!

「お前だったか。異様な気配を感じたから探っていたんだ。さあ、終わりだ。僕が消してやろう」

――クソッ! クソォッ!! やっと復活できたのに!

光の精霊、ルーの身体がブワッと勢いよく白く光った。眩しい程の光が闇を呑み込んでいく。

クーファルとミリアーナを光に包み込み癒やしていく。

そして、何者かが取り憑いているルーナリアに襲いかかった。

――やめろ! やめてくれー! 消える! 消えてしまうー! ギャァーーッ!!

断末魔の叫びと共に、黒い影が消えていった。

「マジ……!? クーファル兄さまよくご無事で」

横でフォルセが、うんうんと首を縦に振っている。

「ルー、ディアの姉様は大丈夫だったの?」

「リリ、大丈夫だ。魔力を使い過ぎただけだからな。寝れば元に戻る。今日も元気そうだったろう?」

「ルー、そうじゃないよ。姉様の心の問題だよ」

そんな怖い思いをしたんだ。PTSDだって可能性がない訳じゃない。

「リリ、大丈夫だ。彼女はああ見えてなかなか芯が強いよ」

「本当に? 無理してるんじゃなくて?」

「僕は精霊だよ? 無理していたら分かるさ」

「うん。それならいいや」

「ルー様、その取り憑いていたものは?」

「テュール、あれは僕がちゃんと処理して消したからもう大丈夫だ」

「ルー、取り憑かれた彼女はどうなの?」

「リリ、彼女はもう通常勤務に戻ってるよ。傷も僕の光で癒えていたし、取り憑かれていた間の事は覚えてないんだ。まあ、それで良かったと思うよ」

そっか、そうだな。怖い思いをしたんだ。覚えてない方が良いか。

気を失った彼女を医務室に運び、体調不良で倒れただけと言う事にしたらしい。

本当に大丈夫か? 後で思い出したりしないだろうな。

「リリ、大丈夫だ。僕が確認した。覚えていないと言うよりも、記憶自体に残っていないんだ」

そんな事があるのかよ。コエーな!

「しかしクーファル。魔力を人に流して渡すなんてよく思い付いたな」

「フレイ兄上、剣ですよ。剣に付与して使えるなら人にも出来るかと思ったんです。出来て良かったですよ」

ほぉ〜、発想力だな! スゲーな、クーファル!

「じゃあ、バインドなんて生ぬるい事をせずに、最初から攻撃してやれば良かったんじゃないか?」

まあ! フレイは残酷だぜ。

「兄さま、ディアの姉様は取り憑かれていた女性も助けたかったのではないですか?」

「リリ、その通りだよ」

取り憑いているものが無くなれば、もしかしたら元に戻るかも知れない。

なら、出来るだけ傷付けずにと思ったんだろうな。

ディアの姉様ならそう思うだろう。

「ルー様、ご迷惑をお掛けてしまって」

「皇帝、あれは仕方ない。リリ位じゃないと無理だからね」

「でも、その操られた令嬢達はかわいそうだね」

フォルセは優しいねー。俺はそんな事思わないぜ。

「あれ? 僕変な事言った? みんな何?」

「フォルセ、令嬢達は自業自得だ。そんな心根の者が狙われたのだからな」

ルーの言う通りだな。

「テュール兄様、そう?」

「ああ」

「じゃあ、クーファル兄上。婚姻はいつですか?」

フォルセ、いきなり話がブッ飛んだぞ。

「彼女がアカデミーを卒業してからだね」

「え? それじゃあクーファル兄さま……29歳ですか?」

「そうなるね」

「フレイ兄さまがもう婚姻しているから、クーファル兄さま達がよければ良いんじゃないですか?」

あれ? 俺、変な事言ったか? 何で皆、俺を見るのかな?

「リリ、いつの間にか大人な事を言う様になったね」

「クーファル殿下、リリは意味を分かってないと思いますわ」

「母さま、ボク分かってますよ?」

「そう? じゃあ説明してみてちょうだい」

「はい。だって前にラルクが言ってましたよ。フレイ兄さまがもう婚姻しているから、クーファル兄さまは無理に婚姻する必要はないんじゃないかって」

あれ? また皆変な顔してる。何だよ。

「ほら、クーファル殿下。分かっていないでしょう?」

「そうみたいですね」

「あ〜、良かった。僕は安心したよ。リリはそのままでいてほしいよ」

ん? フォルセ、俺は意味が分からないぞ?

だってフレイにはもう子供もできるだろうしさ、別にいいじゃん。

29歳でも充分若いだろ。て、思うんだけどな。この世界では遅いか。

「とにかく、無事で良かったですよ」

うんうん。そうだな。テュールの言う通りだな。

俺は後ろに控えているニルを見た。

「りんごジュースちょうだい」

ニルが頷いてくれた。

「テュール兄さまは最終学年ですか?」

「ああ、リリ。リリの友達のアースの兄が同じクラスにいるよ」

「あ、最近アースから聞きました。3番目の兄君だそうですね」

「2番目の兄がうちの第1騎士団にいるな」

「はい、フレイ兄さま。辺境伯領で挨拶してくれました」

「アースも騎士団志望なのか?」

「はい。でもアースはまだまだへっぽこで」

「リリ、何? へっぽこ?」

「はい、フォルセ兄さま」

俺は辺境伯領での障害物競走の話をした。

ハードルは飛べなくて全部倒すし、平均台からは落ちるしとね。

「あー、俺が参加できなかったやつだな」

フレイさん、そんなに参加したかったのかよ。

「それはへっぽこだね」

「テュール兄さま、そうでしょう? もっとできると思っていたので呆れました」

と、言いながら俺はニルがくれたりんごジュースを飲む。

「まあ、まだ10歳だしね」

「あら、テュール殿下。リリは全部完璧でしたわよ?」

「リリ、そうなのか?」

「フレイ兄さま、完璧かは知りませんが、普通に飛びましたよ」

「走るのも速いし、リリはすばしっこいのよ」

母よ、また言ってるよ。

「エイル様、リリはダンジョンでも動きが素晴らしかったですよ。同年代でリリ以上の者はいないでしょう」

ん? 何? フレイが褒めてくれたのに、何? 皆、俺を見ないでくれ。

「リリって、普段はりんごジュース飲んでポヤ〜ッとしているのにね」

フォルセ、その表現はどうなんだ? まぁ、りんごジュースは飲むけどさ。