軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

297ー同級生

「リリ殿下、お邪魔してます」

お茶会から部屋に戻ってきたらレイが待っていた。

「レイ、来てたんだ。あれ? アースは?」

「騎士団ですよ」

アースは辺境伯領での事が刺激になったのか、騎士団の鍛練をジッと集中して見る様になった。あまり近くに行くと注意されてしまう。危険だから当然だ。

そのギリギリまで近寄って、一緒に動きながら騎士団の少しの動きも見逃してたまるかと言う目で見ている。

魔力操作も急に上手になった。きっと毎日練習しているんだろう。

「アースは本気だね」

「はい、殿下。僕も本気です。マジです」

よし、じゃあ特訓を始めようか。

「レイ。もう一度」

「殿下、もう無理です」

俺は、シオンの特訓を手本に魔力操作を教えている。

だが……普通は魔力量てこんなもんなのか? いや、レイは同年代の平均の10倍だと言っていた。

『鑑定』

「あ、レイ。ごめん。もう無理だね。ポーション飲む?」

俺はいわゆるMPポーションを出す。魔力をギリギリまで使うと身体がダル重くなるらしい……らしい。

俺は幸い魔力量が多いので、そこまで使った事がないから知らない。

「殿下、有難うございます。まだまだですね」

レイがポーションを飲んで肩を落とす。

「レイ、焦らずに少しずつ確実にだよ。ちゃんと魔力量は増えてるからね」

鑑定して分かった。以前、初めてレイを鑑定した時よりも魔力量が増えている。

レイは努力家なんだろうな。きっと毎日コツコツと増やしているんだ。

「あー! レイ、ズリーよ! 何やってんだよ」

アースが部屋に入ってくるなりそう叫んだ。

「アース、何言ってんだよ?」

「だって、リリ殿下に教えて貰ってたんだろう? 俺だって教わりたい!」

おいおいアース、落ち着こうぜ。

「アースは騎士団に行ってたじゃないか」

「レイ、それは別じゃんか!」

「アース、そんな事ないさ。落ち着いて」

「リリ殿下、でも……」

そうさ、レイはレイで思いがあるんだから。

「アースが本気でやりたいなら教えるよ?」

「本当に? じゃあ、教えて下さい!」

アースはパフンとソファーに座った。

「レイは少し休んでいて」

「……はい。殿下、分かりました」

さて、じゃあアースだ。

「まず自分の魔力を意識して身体全体に動かして指先に集めてくれない?」

「分かった!」

そう返事してアースは集中する。

うん、魔力をちゃんと意識はしている。が……

「んん〜……」

「アース、それじゃあ駄目だよ? もっと集中して」

「え〜……んん〜……」

アースはだいぶ上手になったよ。でも、ここまでだ。

レイの様に自在に魔力を動かしたり、ましてや指先に集めたりなんてできない。

「ね、レイ。分かった?」

「はい、殿下。よく分かりました」

「なんだよー。なんだよ二人で」

確かに以前よりは魔力操作は上手になった。しっかり意識しているし、身体全部に行き渡せるまでは出来る。騎士団のブーストやプロテクトを意識しているんだろう。

だが、そこからだよ。まだまだ意識が足りない。

これじゃあ、剣に付与なんてできないぜ。

「アース、上手になったよ。以前の事を思うと段違いだよ」

「だろ? だろ? 俺、練習してるんだよ」

へへん! と、アースは自慢気だ。だかな、アース。

「でもアースが目指すのは騎士団だ。レイは違う」

「殿下、そんなの分かってる」

「だからだよ。レイはレイでアースとは違うところを目指してるんだ。

アースには剣がある。でもレイは剣を使えない。だからこそだ。魔法でと頑張ってるんだ。だからね、アース。レイはズルくはないよ」

「あー、レイ。ごめん。つい、言い過ぎた」

「うん。アース、分かってるさ」

よしよし、良い子達だな。素直に非を認めて謝罪できるなんて良い事だ。

「リリ、我もそう思う」

「ユキ、そうだよね」

「なんだよー、殿下もユキも! 俺、めちゃ子供扱いされてるじゃん」

「お三人共、お茶をお入れしましょう。シェフのバームクーヘンは如何ですか?」

「おっ!? 食べる!」

「ニルさん、有難う。僕、殿下と一緒でりんごジュースがいい」

「俺もー。ニルさんありがとう」

ニル、いいタイミングだよ。ニルが、俺にニッコリしていた。

「あ、そーだ! ディアの姉様がさ!」

「アース! まだ言ったら駄目だ!」

あれだろ? なんだよ、アースもレイももう知ってるのか?

「もう! アースは!」

「レイ、ごめん。俺、今日はもう黙ってるよ」

アースがシュンとしちゃったぜ。今日はよく怒られるな、アースよ。

「さっき皆で皇后様に呼ばれてお茶してたんだよ。その時に知らされたんだ」

「殿下、そうでしたか。僕達はディアの姉様も知っているので、それで」

なるほど、アースとレイとディアは幼馴染みたいなもんか。いや、俺もか?

「俺、ディアの姉様好き」

アースがバームクーヘンを頬張りながら言う。

「アース、そうなの?」

「うん、好き。俺が同じ位の年だったら絶対に婚姻を申し込んでる」

え、そんなになのか?

レイの話によると……

ディアーナのお姉さん、ミリアーナ・アイスクラーはちょっと内気らしい。

まあ、そうだろうな。俺も何度か話をした事があるが、軽いコミュ症だもんな。

何度も言ってるけど、責めてるんじゃないぜ。

でも、優しくて面倒見が良い。ディアーナの家は医療院や薬店を経営している事もあって、いつもご両親は留守がちだったそうだ。

だからか、小さな頃からいつもディアーナと一緒で母親代わりの様な感じらしい。

「いつも3人一緒でしたね」

「レイ、3人?」

「あれ? 殿下知りませんか? ディアは姉様と兄様がいるんですよ」

レイ、俺は知らなかったぜ。

「ディアの兄様と俺のすぐ上の兄貴が同級だよ」

「あれ? ディアの姉様って、フォルセ殿下と同級じゃないか?」

「アース、そう言えばそうだな」

「そうみたい。でもフォルセ兄さまあまり知らないみたいだったよ?」

「ああ、多分あれだよ。ディアの姉様は自分の存在を消すから」

「アース、それしかないな」

なんだって? アースの4番目の兄とディアの兄が同級か。

ちなみに、アースの3番目の兄とテュールが同級。

兄弟が多いと色々繋がりがあるもんなんだな。全然知らなかったよ。マジで。

「ああ、騎士団にいるイザーク兄さんはフレイ殿下の1歳下で、レイの兄さんもフォルセ殿下の1歳下だ」

アース、1歳差まではいいよ。

同級だけでも覚えらんねーよ。ややこしい。