軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

270ーアウルは健気

「リリしゃまー! おはようごじゃいましゅ!」

「アウル、どうしたの? 早いね?」

今日は森に出発するから、いつもより早い時間の朝食なのに、食堂に行くとアウルースは起きて来ていた。アンシャーリがいないのはきっとまだ寝ているんだろう。

「エヘヘ、リリしゃま」

ニコニコしながら、アウルースが側にやってくる。

「一緒に食べるでしゅ」

「うん、一緒に食べよう」

アウルースは自分の子供用の椅子を引きずって移動させようとする。え? そう言う意味の一緒に食べるなのか? 全然、良いけどさ。

「ああ、アウル。どうしたいの? 危ないよ」

俺がアウルースを止めると、フィオンが訳を話してくれた。

「リリ、ごめんなさい。どうしてもリリの側で食べると言ってきかないのよ」

「なんだ、姉さま。構いませんよ。アウル、待って。大人の人にやってもらおう」

アウルースはキョトンとした顔をしている。

俺が周りを見ると、近くにいたメイドさんが来てくれてアウルースの椅子を俺の横に移動してくれた。

「アウル、ここでいい?」

「あい! リリしゃま! エヘヘ」

おう。満足気だな。

「アウル、リリ殿下にご迷惑お掛けしたら駄目だ」

「とうしゃま。一緒に食べるでしゅ! リリしゃま、迷惑でしゅか?」

「全然そんな事ないよ。一緒に食べよう。アルコース殿、大丈夫です。ボクも嬉しいですから」

アウルースはメイドさんに椅子に座らせてもらい、いつもの様に首にナフキンを掛けてもらっている。

ニッコニコだ。こんなにストレートに好意を表現されるのは、とんでもなく嬉しい。

「殿下、おはよう御座います。おや、アウル様。殿下のお隣ですか、宜しいですね」

シェフが俺に料理を出しながらアウルースに柔かに話しかける。

「あい! シェフ、リリしゃま一緒なの!」

「まあ、アウル。じゃあお昼はおばあさまのお隣に来ない?」

「あい! おばーしゃま!」

「アウル、良かったねー! さあ、しっかり食べようね!」

「あい!」

皇后様が、気遣ってくださった。俺が出掛けてしまっていなくても気が紛れる様に。

アウルースと一緒に食べる。アウルースはお顔いっぱいで食べる。美味しそうに、嬉しそうに、大きくお口を開けて食べる。満面の笑顔だ。沢山食べて大きくなるんだ。

あー、これはアレか。孫が可愛いのと同じか? なんて、思ったりして。

「シェフ、ここはいいからシェフも用意してね」

「はい、殿下。では失礼致します」

シェフが下がる。そうさ、シェフも一緒に行くんだから。

ニルとリュカが戻ってきた。俺も早く食べてしまわなきゃ。

「リリしゃま、行きましゅか?」

ああ、アウルースの短い眉が下がっているよ。そんな顔しないでくれよ。

「アウル、帰ってくるから待っててね」

「あい、リリしゃま。待ってましゅ……」

「ちゃんと食べて、遊んで、お昼寝して待っててね。そしたら直ぐだよ」

「あい……」

ああ、アウルースの目から涙が溢れる。そんな、泣かないでくれ。帰ってくるんだから。

「アウル、ボクは帰ってくるから」

アウルースの頭を撫でながら、下を向いたアウルースの顔を覗き込む。

「リリしゃま、ボキュ早く大きくなって一緒いたいでしゅ。ボキュ小しゃくて何もできない」

ああ、アウルースはそう思うのか。自分は何もできない。無力だと。そうか、最初に5本の樹の所でもそう言ってたな。

「アウル、ボクだってそうだよ。まだまだ兄さまやオクやリュカに助けてもらわないと出来ない事が沢山ある。でも、アウル。急がなくていいんだ。ゆっくりでいいんだよ。ボクもよくそう言われる。

さっきも言った様に、ちゃんと食べて、沢山遊んで、しっかりお昼寝するんだ。それが今アウルのしなきゃいけない事だよ。分かるかな?」

「ボキュの?」

「そうだよ。アウルのしなきゃいけない事だよ」

「リリしゃま、分かった!」

「アウルはお利口だね〜! 帰ってきたら沢山遊ぼうね〜!」

「あい! リリしゃま! やくしょく!」

「うん、約束だ!」

この子はちゃんと説明すれば理解する。本当にお利口さんだ。

「ああ、なんて健気なんだよ」

俺はリュカと一緒に部屋に向かっている。

「殿下、アウル様ですか?」

「うん、リュカ。ボクは小さいから何も出来ないと言って、涙を流すんだよ。まだ2歳だよ。信じらんないよ」

「まるで殿下の小さい頃みたいですね」

「そお? ボクが小さい頃なんて、りんごジュース飲んで、お昼寝して、みたいな感じじゃん」

「アハハハ、そうですか?」

「リリアス殿下、お着替えを」

「うん、ニル」

部屋に戻ったら、ニルとラルクが待ち構えていた。

もうリュカは着ている。色違いの戦闘服だ。と、言っても普通の服と変わりない着心地と肌触りだ。

でも、多少の事では切れない破れない優れ物だ。

それに、父からもらった剣帯をつけ剣を装備する。あれからオクソールにしごかれて剣の扱い方を教わったんだぜ。

剣を抜く時、鞘に収める時、本当に何度も手を切りかけたさ。怖い怖い。

「リリ殿下、おはよう御座います」

「おはようございます」

「レイ、アース。どうしたの?」

「殿下、お気をつけて」

「ああ、レイ。有難う。大丈夫だよ」

「リリ殿下」

「え? アース、どうした?」

「俺も強くなって、ご一緒出来る様に頑張る」

「ハハハ、アース。期待しているよ」

「リリアス殿下」

「うん、リュカ。行こう」

リュカと一緒に邸を出ると、前庭にはもう皆集合して整列していた。

「リリアス殿下、今日はご一緒させて頂きます。宜しくお願いします」

「アルコース殿、こちらこそ宜しくお願いします」

「私の側近です」

アルコースの後ろに控えていた人が挨拶をしてくれる。

「ローグ・ヴェスターです。宜しくお願い致します」

「こちらこそ、宜しくね」

「リリ!」

ん? フレイか?……て、えッ!? 何で!?

俺は声のする方を見て驚いた。

「驚いたか? 助っ人だ!」

「リリ、宜しくな!」

「テュール兄さま! え!? 兄さま、どうしたんですか!? まさかフレイ兄さまに無理矢理?」

「おい、リリ。酷いな」

「アハハハ、リリ違うよ。兄上達のチームの数が少ないと聞いたからね。俺も経験したかったんだ。良い機会に恵まれたよ」

マジかよ。城にいる筈のテュールが助っ人に来てくれた。何か超嬉しいぜ!