軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

258ーガチ鬼ごっこPart.2

「殿下、コレ使って下さい」

オクソールが旗を持ってきた。ちゃんとアウルースの分もだ。オクソール、ありがとうね。

「みんなー! いいかなー!?」

「かにゃー!?」

台の上でパタパタ旗を振りながら聞く。

アウルースが旗を振って真似をする。

――おおッ!!

いくぞ! いくぞー!!

「アウル、せーので、レディーゴーだよ」

「ごー!」

「そう! ゴーだ!」

アハハハ、スッゲー真剣な顔をしている。レディーが言えないか?

「アウル、せーの、レディー……ゴーッ!!」

「ごー!!」

俺はバサッと旗を振り下ろした!

――おおぉぉぉーーー!!!!

皆、一斉にスタートした! やっぱ、皆早い。さすがだね。

皆、当然の様に鬼ごっこしているが、見ている方はビックリするよ?

なんせ、騎士団だけで30名それにオクソール、リュカ、シェフにフレイだ。近衛師団10名と団長。これだけで45名だぜ。それにまだ領主隊が加わるんだ。

街の警備や見回り、森の巡回等に当たっている隊員以外が全員参加していてその数43名。

いくら裏庭が広いと言っても総勢88名もの屈強な隊員達が一斉に走り出すと、そりゃあビックリするさ。

その隊員達をユキが追いかける。ユキがスタートするのは10秒後だ。俺はカウントダウンを始める。

「いくよー!

じゅーう!

きゅーう!

はーち!

なーな!

ろーく!

ごー!

よーん!

さーん!

にーぃ!

いーち!

ユキ! ゴー!!」

「ごー!!」

ユキが弾かれた様に駆け出した!

やっぱはえーな! シュンッて音がしそうだ。

「ユキ、スゲー!!」

「早い!!」

「さすが神獣だ!!」

「アハハハ!」

アース、レイ、ラルクが驚いている。アスラールは何故か笑っている。

邸の裏庭いっぱい使って、領主隊も騎士団も近衛師団も一斉に逃げる!

今回も、ユキがあっと言う間に距離を詰める!

逃げている隊員達の背に、トントンと軽く飛び乗り倒して行く。

――うわッ!

――げっ!

アハハハ! 倒された隊員達が変な声をあげている。アッと言う間に何十名も倒されている。

「ユキしゃん、しゅごい!!」

「アウル、そうだろ〜? ユキは凄いんだ」

「あい! トンッて! トントンッて! バターンて!」

アウルースが身振り手振りで、俺に言ってくる。うんうん。言いたい事は伝わるよ!

「はーい! 倒された人はこっちに戻って下さーい!」

「くだしゃーい!」

俺がそう叫ぶと、旗をパタパタ振りながらアウルースも叫ぶ。可愛いなぁ、おい。

ユキに倒された隊員達が、肩を落としてノロノロと戻ってくる。

――あー、クソッ!

――信じらんねー!

――気付いたらもういるし!

アハハハ、口々に何か言ってるよ。悔しいんだな。

ユキさん、普段は大人しいけど神獣だからな。アレでも本気じゃないと思うよ。

だって王国で、襲撃者を撃退した時はもっと凄かった。

「ユキー! 遠慮しないでいいよー! 行けー!!」

「いけー!!」

俺がそう声を掛けたら、ユキがまた早くなった。隊員達の背に前足を当てているのかさえも見えない。ユキが通ったら隊員が倒れている状態だ。

――ふげッ!

――はぁッ!?

倒された隊員達も訳が分からないみたいだ。

「何だ、あれ!?」

「見えない!」

「ほぉ〜!!」

「ブハハハハハ!」

はい、また順にアース、レイ、ラルク、最後の笑いがアスラールね。アスラール、お腹抱えて爆笑じゃん!

ユキがスタートして、まだ数分しか経っていないのに半数以上の隊員が倒されて戻ってきた。

フレイはまだ頑張っている。て、言うかユキが後回しにしてるよね、これ。あれ? フレイ光ってないか?

あ、領主隊隊長のウルが戻ってきた。

「ウル! もう倒されちゃったの!?」

「たのー!?」

「リリアス殿下、はい。もう意味分かんないですよ。気付いたら倒されてました」

「残念だったねー」

「ありゃりゃ……」

「リリアス殿下、今年はアウルース様と一緒ですか?」

「うん!」

「あい!」

アウルースは俺の横で旗をパタパタ振る。

「ねえ、ウル。コレはブースト有りなの?」

「はい。有りですよ! 隊員は皆ブースト掛けてますよ」

「えッ!? みんななの!?」

「なのーッ!?」

アウルース、訳が分かってないだろ? 真似をしたいお年頃なんだね。

「はい。アスラール様がアルコース様の婚姻で帝都に行かれた時に教わって来られて、領主隊は皆自分でブーストとプロテクトできる様になったんですよ。なのにコレです」

「ありゃりゃ」

アウルース、マジ良いタイミングだ。

「じゃあ、騎士団も近衛師団もブーストしてるよね」

「はい、身体が光っている者もいますから」

「ああ、そっか。じゃあフレイ兄さまも……」

あー、やっぱ光ってたよ。ブースト掛けてるフレイがいたよ。超目立ってるじゃん。

「リリしゃま、リリしゃま!」

「ん? アウルどうしたの?」

「光って! ふわぁ〜って!」

アウルースが、フレイやオクソールを指差す。

「そうだね。光ってるね」

しかし、フレイは以前見た時とは違う。無駄に魔力を使う事なくちゃんと制御されている。光り方もフンワリ身体が光っているだけだ。

以前見た時は、もっとバチバチと稲妻が走っていた。

「フレイ兄さま、制御してる?」

「ええ、リリアス殿下」

いつの間にかデュークが隣でアウルースを支えてくれていた。手は繋いでいるけど、アウルースが興奮してぴょんぴょん跳ねるから怖かったんだ。ありがとうね。アウルースは気にせず旗をパタパタと振っている。

「デューク。兄さま前と違うね?」

「はい。あれから魔力制御を覚えられて、今のフレイ殿下は最低限の魔力でブーストされていると思います」

「へえ〜、兄さま凄いね。全然知らなかった」

「魔術師団長のウォルター殿はスパルタですから」

「そうなの?」

「はい」

「副師団長のシオンもだよ?」

「おや」

「魔術師団、恐るべしだね」

「はい。本当に」

うん、よく分かるよ。俺もシオンのスパルタに耐えたからさ。

殆どの隊員が倒されて戻ってきていた。残っているのは、フレイ、オクソール、リュカ、シェフ、それに近衛師団の獣人二人ティーガルとレウス。あと領主隊と騎士団の隊員数名だ。

「リリ殿下、かなり減ったな」

「ああ、アース。予想していたメンバーが残ったね」

「リリアス殿下、あの近衛師団の方は……」

「ああ、アスラ殿。隊長ともう一人が獣人なんだ」

「あー、やはり獣人は身体能力が違いますね」

「うん。でもフレイ兄さまも残ってる」

「フレイ殿下は魔力制御されてますよね? 以前見た時とは大違いだ」

「ね、凄いや」

「何? リリ殿下、今の話、俺全然理解できない」

「アース、マジかよ」

「レイは分かるのかよ!」

「ああ、分かるよ」

「え……ラルクは?」

「はい。分かりますよ」

「ありゃりゃ」

アウルース、本当にタイミング良過ぎだ。