軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

251ーブルーホール

そのうち、大海原に白い珊瑚が頭を出しているのが分かる距離まで来た。そして船からでも分かる程、海の色が違って見える。

やはり、そうだ。これは凄い。実際に見れるとは感動だよ。

「殿下、ここだ」

「うん、おっちゃん」

「殿下、これは……?」

「昨日シェフが見つけたのが、円状に残った珊瑚だね。これはブルーホール」

「ブルーホール?」

「殿下、ブルーホールて言うのか? ここだけ海の色が違うから、地元の連中は気味悪がって近付かないんだ」

「おっちゃん、そうなの?」

「そうなんですよ。だって殿下、魔物でも出てきそうでしょう?」

「ニディ、色が違うから?」

「はい。この珊瑚礁の内側だけ海の色が違います」

「うん。それは単純に深さが違うからだ」

「深さですか?」

「そう。ここはね……」

俺はブルーホールを説明した。

『ブルーホール』

ブルーホールとは、まるで海中に現れる巨大な穴のような場所のことだ。

浅瀬に穴が空いて、その部分だけ水深が深くなるため、上空から見るとその部分だけ色が濃く、まるでそこから怪物でも現れそうな場所に見える。

昔あった洞窟や鍾乳洞が何らかの理由で海中に水没してしまったことから、海の一部に巨大な空間が作られたと考えられている。

「殿下、じゃあ魔物の巣とかではなく?」

「うん。まったく違うね。もしかしたら、海中に鍾乳洞があるかも。

ああ、鍾乳洞て言うのはね、岩が水や地下水などによって侵食されてできた洞窟なんだ。この辺は石灰岩が多いから可能性はあるんだ」

「殿下、その石灰岩とは何ですか?」

「ラルク、ほら白っぽい岩だよ。この領地では防御壁とか魔物避けとか色々使われている」

「そうなんですか。殿下はよくご存知で」

「そう? クーファル兄さまは、もっと詳しく知っていると思うよ」

そうだよ。クーファルがいないから誰も分かってくれない。凄さを分かってくれない。

「ここに潜ってみたいなぁ」

「殿下、それは私が……」

「だからオク。それは違う」

「殿下、何かあるんですか?」

「え? ううん。オク、そうじゃなくて……あー、もしかしたらまた魔石があるかもだけど。

そうじゃなくて、ボクはこの中の景色を見てみたいんだ。もし、鍾乳洞があるなら入ってみたい。単純にボクの好奇心だよ」

だってブルーホールだぜ! しかも海の中に鍾乳洞があるかも知れないんだぜ?

そりゃあ、是非とも見てみたい!

「殿下、俺ちょっと潜ってきますよ」

ニディが、ちょっとそこまで行ってくるみたいなノリで言う。

「ニディ、危ないよ」

「殿下、大丈夫ですよ。俺は毎日漁で潜ってますから」

「ニディ、油断したら駄目。かなり深いから」

「はい、殿下。じゃ、ちょっと行ってきます」

そう言ってサッサと海に飛び込んだ。

「ニディ! おっちゃん! 大丈夫なの!?」

「あ? ああ、大丈夫だろ。あいつはこの辺じゃあ潜るの1番上手いからな。アハハハ!」

ええー!! マジ、大丈夫かよ!?

暫くして、ニディが海面に顔を出した。

もう海底まで行ってきたのか!?

「殿下! 凄いです! 見て下さい!」

ニディが何かを投げた。

ニルズがそれを受け止める。

「リリ殿下……コレ……!!」

「おっちゃん……デカイね……!」

「デカイよ……」

「親父! まだまだ沢山あるんだ! 網の袋をくれ!」

「おう!!」

ニルズが網の袋を投げると、それを持ってニディがまた潜る。

「殿下、これは……!」

「アスラ殿、魔石だ。本当にあるとは思わなかったよ」

ニルズの手には、ニディが海底から取ってきた魔石がある。

直径10cmはあるだろうか。まあ、完全な球体じゃあないけど。それでも大きい。この大きさの魔石を帝都で購入すると、一体いくらになるだろう。俺には想像つかない。

「でも、殿下はさっきあるかもと言ってましたよね?」

「うん、アスラ殿。ほら、5年前に小島のある海岸で見つけたでしょ? あれを思い出したんだ。だから、もしかしたらまたあるかも……とは、思ったんだけど。

まさか、こんな大きな魔石があるなんて……」

「殿下! 凄いですよ!」

「うん……でも……」

ニディがまた顔を出した。

「ニディ! とにかく一度上がって!」

「え? 殿下、分かりました」

手に大きな魔石を何個も入れた袋を持って、ニディは船に上がってきた。

「リリ殿下、この下かなり深さがあるのですが、海底に魔石がビッシリとありました!」

「うん、ニディ。でもね、危険かも知れない」

「殿下?」

「これ、魔物の魔石だよね? 魔物が死んだから魔石になったんだよね? じゃあ、その魔物は? もしかして魔物がこの辺にいるんじゃないの?」

「ああ、殿下。それはないです」

「ニディ、どうして?」

「この辺は遠浅です。だから、この大きさの魔石を持つ様な大型の魔物は入ってこれないんですよ」

「じゃあ、どうして魔石はあるんですか?」

「ラルク、そうだよね」

俺は考える。んー、こんな時にクーファルがいればなぁ……

「今日は一度戻ろう。安全が確認出来ない限り、駄目だよ」

「そうですね。リリアス殿下の言う通りだ」

俺達は港に戻ってきた。

「ニディ、横穴とかなかった?」

「ありました! 人が余裕で立って入れる位の大きな横穴が」

多分、洞窟になってるんだろうなぁ。

しかし、問題は魔物だ。どうやって、あそこに魔物の魔石が集まっているんだ?

「ニディ、ボクがいいと言うまで潜らないでね」

「殿下、分かりました」

「殿下、どうするんですか?」

「んー、ラルク。クーファル兄さまに相談したいんだ」

「殿下、その横穴も入ってみたいですね。どこかに繋がっていたりして」

「シェフ、そんな事は……」

なんだ? もし繋がってたら……てか、大きな鍾乳洞だと言ってたな。

んー、分かりそうで、ピンと来ない。

なんだ……? 何か見落としているのか?

「おっちゃん、ニディ、有難う! 今日はとりあえず帰るよ!」

「おう、リリ殿下。何か分かったら知らせてくれ!」

「うん! 分かった!」