軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

冒険者始めました その5

ルートの奴が何か赤色の球を地面に投げつけた。

それが煙玉だと気付いたときには、ルートたちの姿はいなくなっていた。

冒険者風の男たち五人のうち、三人がルートたちを追いかけ、残りの二人が俺たちに迫る。

「今の三人とはどのような関係だ?」

「臨時のパーティとして一緒に迷宮に入った。それだけだ。それで、あんたたちは?」

俺が尋ねると、二人の冒険者風の男は顔を見合わせて頷くと、

「我々はキュールイ公爵家に仕える騎士だ。理由あってあの三人を追っている。知っている情報があれば提供していただきたい」

少なくとも、騎士というのは嘘ではない。

職業鑑定で調べたから確かだ。

「私たちが知っているのは、彼らの名前と職業だけよ。見習い剣士、見習い槍士、見習い魔術師の三人組ね。それで、私たちはもう行っていいかしら?」

「悪いが、君たちの行動は制限させてもらう。彼らが捕まればいいのだが、そうならない場合、君たちが彼らともっと深く繋っている可能性がある以上、一度身柄を拘束させてもらいます」

「なっ、それはいくらなんでも横暴――」

「わかったわ。その代わり、行動を制限している間の宿代くらいは出してもらうわよ」

文句を言おうとした俺を制して、ミリが勝手に騎士の言い分を受け入れた。

……嫌な予感がするんだよな。

俺は騎士二人に連行され、宿の一室に入った。

どうやら俺たちに申し訳が無いと思う気持ちがあるのか、それとも監視する自分たちも同じ部屋に泊まることを考慮してか、一番大きな部屋を確保してくれた。

そして――

「……彼女はキュールイ公爵家のご息女であるナターリア様の名前を騙り、キュールイ公爵家を乗っ取ろうとした嫌疑がかけられています」

騎士は大部屋に入ると同時に、 暗殺者の操り人形(アサシンマリオネット) により操られてしまった。

この魔法は使いすぎると相手が廃人になる可能性もあるそうなので使用を禁止していたんだけど、事情が事情だけに黙認することにした。

おかげで、情報が集め放題だ。

それにしても、ナターシャが偽公爵令嬢ってどういうことだ?

「それで、その偽者令嬢の正体はわかっているのか?」

「わかりません。ただ、ナターリア様にそっくりな偽物としか」

「ルートとラインは何者なんだ?」

「……昔、ナターリア様と交友があった平民の子供だそうですが、どこまで事件に関わっているかは定かではありません。もしかしたら、あの偽者に騙されている可能性もあります」

んー、ナターシャが偽者か。

でも、あの子が貴族だっていうのは確かなんだよな?

「ハル、どう思う?」

「ナターシャさんがどのような思惑で動いているかはわかりませんが、ルートさんとラインさんが彼女を守ろうとしていたのは確かです。同じ、守護者としてわかります」

ハルのこういう勘は無視できない。

となると、ラインとルートがナターシャと共犯というより、ナターシャの方が本物のナターリアで、理由があって偽者認定されてしまった彼女を守っているという可能性もあるな。

「おにい、どうする? もう無視して家に帰る?」

「そうしたいのはやまやまだけど、流石に放ってはおけないだろ」

「おにいならそう言うと思った。ハルワ、追いかけられる? 先に追いかけてる騎士三人にも気付かれないようにね」

「お任せください。五人とも匂いは把握しています」

うん、頼もしい。

ということで、操られている騎士二人は放置して、俺たちはルートたちを追いかけた。

途中、魔物を倒してレベルが上がる。

【イチノジョウのレベルが上がった】

【サバイバルパティシエスキル:甘味探査を取得した】

【遊び人スキル:宵越し銭無しを取得した】

甘味探査はきっと甘い物を探すことができるスキルだろうっていうのはわかるが、宵越し銭無し?

スキルの効果を調べてみる。

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宵越し銭無し【遊び人レベル70】

太陽が昇った時、所持金がゼロの場合、全ステータスが一割上昇。

効果は翌朝まで継続する。

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また死にスキルだな。

効果は凄いかもしれないけれど、結構な資金を持っているから、所持金がゼロになることはあり得ないだろうし。

そして――

「この先です!」

ハルに言われるまでもなく、俺の気配探知の範囲内に彼らは入っていた。

俺たちは走るルートたちの前に回り込むことに成功した。

「――っ! ってあれ? イチノジョウさん?」

突然現れた相手に剣を向けたルートだったが、俺であることに気付いてルートは剣をひっこめた。

とりあえず、息を切らせている三人にスタミナヒールを掛けてやる。

「さて、事情を聞かせてくれるか?」