軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

エピローグ

戦いが終わった。

俺たちはシュメイがかつて過ごしたという大森林の近くの町に向かった。

幸い、火の手はこのあたりまで回っておらず、戦争が終わったという報せも届いていたため、町は長閑だった。

彼女のかつての家は、現在のこの町の町長一家が住んでいるそうなので、俺とシュメイはこの町の宿で一泊過ごすことになった。

同じ部屋で過ごしたが、ニーテあたりが想像するようなことは何も起こっていない。

この町での思い出、ここでララエルと出会った話から屋敷の使用人の失敗談など取り留めのない話が続いた。

そして、俺はシュメイに黙っていた秘密を語った。

「そうだったのですか、イチノジョウ様は本当はシララキ王国の準貴族だったのですか」

「ああ、そうなんだ。悪いな、黙っていて」

「いえ、私もいろいろと隠していましたから」

俺の秘密はお互い様ということで納得してくれたようだ。

「それで、大丈夫なのか? 大森林が燃えて、食料のほうは」

「シララキ王国との戦争も終わりましたので交易もこれまで通り行われるでしょう。それに、大森林の跡地に大農園を作ることになったと軍から知らせが届いたようです。おそらく、この国の食糧事情はこれまで以上に改善されることでしょう」

「……そうか――皮肉な話だな」

皮肉と言えば、砂漠に突如として現れた内海に関してはダークエルフの呪いとして扱われたそうだ。呪いどころか、大精霊を倒した奇跡の海だというのに。

「はい――あの、イチノジョウ様。ダークエルフの皆様のこと、よろしくお願いします。旅のご武運をお祈りしています」

「ああ、シュメイも元気で」

別れの言葉を告げるには早い。

だが、しかし決まった話だった。

この町の冒険者ギルドからの通信で、シュメイがこの町にいることを公王陛下に知らせるつもりだ。すぐにでも軍の護衛が来て、彼女は保護されるだろう。

彼女は国を裏切り、ダークエルフを助けた。

しかし、もう国を裏切ったという証拠はない。

彼女は王女のままこの国に残ることになる。

「逆境に負けるんじゃないぞ」

「はい、どのようなことがあっても、今回の出来事を思い出せば私は頑張れると思います」

「ああ、だってお前はお前の力で守りたいものを守ったんだからな」

自信を持て、俺の言葉にシュメイは笑顔で頷いた。

翌日、俺はひとりで町を去り、ユーティングス侯爵に追いつくために砂漠を走った。

勿論、一日では追いつけなかったので、俺はマイワールドに戻る。

「マスター、何か仰ることはありますか?」

そこには仁王立ちのピオニアがいた。

整備した海がかなりの割合で台無しになったんだ。そりゃ怒るのも無理もない。

「反省はしているが後悔はしていない。すまなかった」

「本当に反省しているのですか?」

そりゃ、ピオニアに事前に許可をもらうべきだったとは思っている。

許可がもらえなくてもきっと俺は同じことをしていただろうが。

「そのくらいにしてもらえないだろうか、ピオニア殿。イチノジョウ様の行いは尊いものだ」

と、そこにララエルからの助け舟が。

これはなんとか助かりそう……そう思ったのだが――俺の腕がララエルにしっかりとロックされてしまった。

俺の上腕がララエルのふたつの胸の間にしっかりと固定される。

あれ? なんですか?

「それでは、イチノジョウ様、ともに温泉へ参りましょう」

「え?」

「私は今日よりダークエルフの族長ではなく、イチノジョウ様の世話係になることが正式に決まりました。ここでの世話は全て私に任せて欲しい。なんでもニーテ殿によると、イチノジョウ様はおっぱいで背中を洗われることに至高の喜びを感じると伺いました」

「ま、待て、え!?」

そんな、ララエルの豊満な胸で背中を洗うなんてことされたら、俺の理性が崩壊しかねない。

というより、いまも俺の上腕が喜びの悲鳴を上げているんだぞ。

ふと、俺のことを面白そうに見ているニーテの姿があった。

「こら、ニーテ、なにをララエルに吹き込んでるんだ!」

「いやぁ、マスターって身持ちが硬すぎるから、まずはマスター好みの女性と一夜を過ごしてもらおうと思ってな」

「何を考えてるんだ、お前はっ!」

「では、参りましょう、イチノジョウ様」

ララエルが俺の手を引き、温泉へと向かおうとする。

こいつはこいつで、いまの俺とニーテのやりとりを聞いていたら、自分が騙されていたとわかるだろ。

なんて融通が利かないんだ。

くそっ、俺にはハルが、ハルワタートっていう心に決めた相手がいるんだ! カムバーックっ、ハルワタート――

結局、おっぱいで背中を流すという幸せ体験が実行に移されることはなかったが、 拠点帰還(ホームリターン) の一覧の名前にララエルを含め、複数のダークエルフの名前が追加されていたことに気付き、俺をさらに悩ませることになる。