軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

釣りでレベルアップ

ずっと船にいるのも退屈なので、たまには船を停泊し、マイワールドで休憩。

第二職業を農家に変更して畑の収穫を手伝ったりもした。

その後は、釣りをして時間を潰していた。

ただし、釣りといっても遊びじゃない。

最初に釣り上げた大きな鮫を仕留めたところ、

【イチノジョウのレベルが上がった】

【侍スキル:明鏡止水を取得した】

と釣り師以外のレベルも上がったのだ。鮫が釣れたので侍に職業を付け替えた結果がこれだ。

そうか、魚でも経験値になるんだな。

鈴木と釣っていたときはクラーケン以外は小さな魚しか釣れず、釣り師のレベルしか上がらなかった。

クラーケンは鈴木が倒して経験値にならなかったが、しかし大物狙いなら、釣りはレベルアップのチャンスということだ。

ということで、低レベルの職業を上げることにした。

人に襲い掛かる魔物以外の動物を殺すのは躊躇するけれど、魚ならば殺すのになんの抵抗もない。

俺は水族館に入って鰯の群れをみたら、おいしそうだと思うタイプの人間だ。

ちなみに、明鏡止水は、集中力を上げるスキルらしいので、使わせてもらう。

鍛冶師の【鍛冶】で大物の魚が食いつきそうな疑似餌を用意。侍の【明鏡止水】により集中力を高め、狩人の【気配探知】により魚群を探知。平民の【投擲】により、餌を狙った場所に投げて、釣り師の【引き釣り】【糸操作】を使い、魚を引き寄せる。鍛冶師、侍、狩人、平民、釣り師と五つの職業のスキルを駆使している――これで釣れないわけがない。

そして、俺はできるだけ大きな魚を釣るために狙いを絞る。

「来たっ!」

同じく釣り師の【アワセ】スキルを使用し、魚を完全に捉える。あとはリールを巻くだけ。

ぐっ、こいつはでかい。しかし、釣り師の【引き釣り】の効果か、糸を緩めるタイミング、引っ張るタイミングははっきりとわかる。お陰でカーボン製の糸が引き千切られることもなく、魚を引き寄せる。

「大物だ!」

四メートルはある魚影を確認できた。

そこで、俺は大きな声をあげる。

「よし、大物だっ!」

その声が魚に届いたかどうかわからない。しかし、スキルの効果は間違いなく発動した。

ヒレが見えた。魚の正体は鮫だった。

俺はとどめにと、鍛冶師のスキルで作った銀製の銛を鮫に向かって投擲した。

【イチノジョウのレベルが上がった】

【釣り師スキル:糸強化を取得した】

【音楽家スキル:リズム感UPを取得した】

【農家スキル:植物回復を取得した】

【職業:鞭使いが解放された】

【職業:採取人が解放された】

【騎士スキル:乗馬を取得した】

よし、いろいろと覚えたな。

ゲノッパに着くまで、俺は釣りをして低レベルの職業をレベルアップ、いろいろとできるようになるつもりだ。

早速その効果があり、農家Lv15になったことで採取人と鞭使いの職業が解放された。そして農家Lv20になったら、

「ってあれ?」

俺は鮫を釣り上げながら、ふと不思議なことに気付いた。

「どうしましたデスか、マスター」

「いや、鞭使いと採取人って、農家Lv5で解放されるって聞いたんだけど、Lv15で解放されたなって思って」

採取人に関してはハルから、鞭使いに関してはキャロから聞いたので間違いないとは思うんだが、なんでいまなんだ?

「マスターの職業が多すぎるんだと思うデス。様々な職業を極めた人間は、職業が解放されるのが遅くなることがあると記録に残っているデス」

「それって、職業欄がパンク寸前ってことか?」

「伝授ボスを倒したり、準貴族になったときにすぐに職業が解放されたようデスから、そこまで深刻ではないデス」

「そんな後付け設定みたいなので、職業が解放されにくくなるのか」

「職業はいまだに知られていないことが多いデスからね。男女で転職しやすい職業、しづらい職業などもあるデス」

「へぇ、そうなのか」

考えてみれば、獣人しかなれない職業もあるから、それを考えれば男女に職業の差があるのも当然なのか。

「ちなみに、男が転職しやすい職業ってなんだ?」

「拳闘士、ヒモ、斧士、槌士などデス」

「さらっとヒモを入れるなよ」

というか、ヒモって、自分では働かずに女に貢がせる情夫って意味だから、男しかなれないのは当然じゃないか。転職条件はいったいなんなのだろう?

でも、そういえば求職スキルを使って俺が転職できる職業の中に、アマゾネスって職業があったのを思い出した。こういう裏ワザ的な方法で、女性しか就けないはずの職業に転職できるので、もしかしたら女がヒモになる裏ワザもあるのかもしれない。

求職スキルを利用したら第一職業しかレベルアップできないけれど、その代わり通常の方法では入手できないスキルが手に入る。

真里菜の大道芸人、キャロの誘惑士のようなユニーク職業、ハルの獣戦士のような種族限定の職業にも転職できるかもしれない。

ギャンブル性は高いけれど、しかし五つも候補があってその中から選べるというのだから、俺が求めているような職業になれるかもしれない。

つまり、人探しに特化した職業に。

別れる前、キャロに聞いて、そういう人探しに特化した職業がないか聞いてみたところ、ふたつの候補があった。

【探偵】と【情報屋】だ。

どちらも、キャロや真里菜、ダイジロウさんのようなユニーク職業であり、転職方法や細かいスキルまでわかっていない。資料として残っているだけらしい。

あと、犯罪スキルに【ストーカー】という職業もあるらしく、特定の人物に対して追跡や情報収集ができるようになるんだとか。ハンターという弓士の上位職の人間が犯罪者になったらストーカーに堕ちるらしい。

まぁ、女性をナンパすることを昭和半ばにはガールハントと呼んでいたらしいから、それが行き過ぎてストーカーになる――と考えられなくもないが、普通にハンターは追跡が得意だから、ストーカーにぴったりだろ、みたいな考えなんだろうな。

それにしても、ハンターと狩人って意味はほとんど同じなのに、なんで狩人→弓士→ハンターという順番に転職できるのかもよくわからない。

とにかく、探偵と情報屋――このふたつの職業のスキルが欲しい。

そのためには、求職のギャンブルに賭けるしかないのか。

俺は遊び人や狩人等できるだけ運が高い職業に設定し、試してみることにした。

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転職する職業を選んでください

(選択しない場合、五分後自動で選択されます)

猫使い:Lv1

猫メイド:Lv1

ゴーストバスター:Lv1

偽勇者:Lv1

コピーキャット:Lv1

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「ひどいっ! 猫が三つもあるのかよ」

俺が唯一知っているのは、猫使いか。確か、ダキャットの北の国境町で同人誌を売ってくれた男の職業が猫使いだった。

猫メイドってなんだ? 猫耳メイドのことか? なんとなく種族限定スキルっぽいけれど、怖いな。

ゴーストバスターは、日本だと疑わしい職業のように思えるが、この世界には実際目に見えるゴーストが存在している。そういうゴーストに対抗するスキルが手に入ると思えば、ある種この五つの中では一番の当たり職業だ。

偽勇者に関してはもう意味がわからない。犯罪職なのかどうかすら不明だ。

そして、最後にこれか。

「コピーキャットって、模倣犯って意味だよな、やっぱり犯罪職が混じっているのか……」

俺は大きなため息をついた。