軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

孤独な迷宮探索

今現在、俺の使命はレベル上げの急務。

ちなみに、俺の現在の職業は、

【無職Lv90 火魔術師Lv12 水魔術師Lv1 風魔術師Lv1 土魔術師Lv12】

にしている。

復活するという魔物がどんな化け物かわからない以上、近距離での戦闘は避けるべきだ。そのため、俺がとれる攻撃手段は魔法一択。

最強の魔法を魔力ブーストで限界まで高め、一発で仕留める。

いくら俺でも高レベルの魔法を魔力ブーストで放てば、魔力枯渇で一発退場は免れない。

その場合は、仕方がない。あらかじめ用意するマイワールドへの扉を使い、とんずらすることになるだろう。

だから、確実に魔物を仕留めるため、俺はひたすら魔物を倒してレベル上げをすることにした。ただし、キャロはお留守番。

最初は一緒に戦おうと思ったのだが、キャロが一緒にいると経験値のうちの二十五パーセントが彼女の取り分となってしまう。

時間が限られている今、そのロスは大きい。

なので、彼女には申し訳ないが、マイワールドへと戻ってもらい、マナグラスの栽培を頼んだ。

マナグラスは、精製すればマナポーションになるが、そのまま生で食べても多少MPが回復する薬草(ただし、とても苦い)。ゴマキ村からダキャットへの国境町に行く途中にキャロが採取していたものを使わせてもらう。

『シーナ三号より報告です。魔物が湧きました。次の角を右に曲がってください』

シーナから館内放送のように連絡が来る。暫く走ると、俺も索敵のスキルで魔物の位置を特定した。

曲がり角を右に曲がると、体長三メートル近い大百足がいたので、

「ファイヤー!」

と魔法を放つ。

中級の火炎魔法は容赦なく大百足を飲み込み、灰燼に 帰(き) した。

【イチノジョウのレベルが上がった】

【水魔術師スキル:水魔法Ⅱが水魔法Ⅲにスキルアップした】

【風魔術師スキル:風魔法Ⅱが風魔法Ⅲにスキルアップした】

今ので、一気に水魔術師と風魔術師のレベルが8に、火魔術師と土魔術師のレベルが14に上がった。

意外とここの魔物の経験値は美味しいようだ。ただし、魔物が湧く速度はあまり速くない。

通常、魔術師や見習い魔術師の場合、魔法を使えば経験値が手に入るのだが、属性魔術師の場合対応する属性の魔法を使わないと経験値は取得できない。例えばウォーターの魔法を使った場合、見習い魔術師、魔術師、水魔術師の経験値にはなるけれども、火魔術師、風魔術師、土魔術師の経験値にはならない。

MPがかなり多いとはいえ無限ではないし、回復する手段も限られているため、何もない場所に魔法を使っての経験値取得はやめることにした。

落ちていた魔石を回収し、アイテムバッグに入れ、俺はさらに迷宮を歩いた。

人が歩けば瘴気の流れができ、それによって瘴気の澱みが生まれるため、魔物が湧きやすくなるようだ。

流れたほうが澱みやすいと聞いて、それは逆じゃないのかと思った。水でいうと、流れる川よりも流れない池のほうが濁っている。そんなイメージだった。

でも、話を聞くと、迷宮を歩き、瘴気の流れができると、瘴気は迷宮の袋小路など、流れを遮る場所に集まっていく。

想像するに、ビリヤードの台の上にビー玉を200個置き、段々とその数を増やしていく。

いくら増やしても、ビー玉が一カ所に集まることはないだろうが、動かしてやると、全てのビー玉は最終的に六つのポケットに落ちる。つまり六ケ所に集まるわけだ。

瘴気も似たような感じらしく、一定量が集まると、それが魔物として具現化するらしい。

それなら、人が入らなければ迷宮に魔物が生まれることはないのかと聞くとそうでもないらしく、さっきのビリヤードを例にすると、ビー玉が増え続けた結果、ビリヤード台の上には大量のビー玉が存在することになる。

もしもそうなったら、瘴気でいうと巨大な魔物、狂暴な魔物になったり、魔物の大発生に繋がることになる。

フロアランスの中級迷宮でフィッシュリザードの大発生や巨大フィッシュリザードの発生の原理もきっとこれなのだろう。

「……さすがにあの猿たちを倒すわけにはいかないよな」

あの猿の魔物たちはシーナとも仲がいいようだし、ただの温泉好きの気の良い連中らしい。

『シーナ三号より報告です。魔物が湧きました。そちらに向かっているようです。水と風の属性の魔物なので、風魔法か土魔法で倒してください』

っと、魔物が湧いたようだ。

待っていると、遠くから巨大クラゲが宙を飛んでやってきた。

なんという名前の魔物だろうか?

「ストーン!」

とりあえず土属性の魔法を放つ。跳んでいく巨大な石がクラゲに突き刺さり、一撃のもと地に沈めた。

【イチノジョウのレベルが上がった】

【水魔術師スキル:水耐性(微)を取得した】

【土魔術師スキル:土耐性(微)を取得した】

いい具合にレベルは上がるが、それでもやっぱり、ともに成長を分かち合える仲間が傍にいないと喜びも半減だな。

クラゲが落としたゼラチンらしきものを拾う。

これが正真正銘ゼラチンだったら、あとで葡萄の果汁を使って葡萄ゼリーを作ってみようか。この世界にゼリーがあるかどうかはわからないが(鈴木、マリナ、ダイジロウさん等、日本人が何人かこの世界に転生しているから、ある可能性は高い)、キャロはきっと喜んでくれるだろう。

「本当ならハルとマリナにも食べさせてやりたいんだがな」

そう言えば、シーナ3号は食べられるのだろうか? ピオニアは絶対に食べるだろうけど。いや、シーナ3号も葡萄自体を食べていたな。

「ハル……元気にしているかな」

誰に言うでもなく、俺は迷宮の天井に向かってそう呟いた。