軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

成長チートのコボルト退治

前方にコボルト2匹、後方にコボルト2匹。

これはかなりのピンチだ。

「おい、見ろよ、エリーズ。 初心者(ルーキー) がコボルトに襲われてるぜ」

「本当ね、ジョフレ。剣を持っているのに抜かないあたり、レベル1の見習い剣士かしら」

助かった、前方から他の冒険者が来た。

赤い髪の18歳くらいの男と同じく青い髪の17歳くらいの女だ。

これでここは切り抜けられる。

そう思ったが、どうも様子がおかしい。

「よし、エリーズ、賭けないか? コボルトとあの 初心者(ルーキー) 、どっちが勝つか」

「ジョフレ、勝負になるの? どう見ても戦ったことのない素人じゃない。石でコボルトと戦おうなんて。やっぱり助けたほうがいいんじゃないかな?」

「勝負はやってみないとわからないさ、エリーズ。じゃあ僕はあの 初心者(ルーキー) に賭ける。おい、 初心者(ルーキー) 、僕達は助けない! 自分の力で切り抜けるんだ!」

おいおい、マジかよ!

「助けてくれないのかよ」

「当然さ、冒険者はお互いライバル、君を助けていいことなんて僕達にはないさ、って冒険者の先輩に言われたんだよ。獅子は我が子を谷の底に落として這いあがってきたものを褒めるんだよ。ガンバレ、 初心者(ルーキー) ! 応援してるぜ!」

「私達もあの時は死にそうな目にあったわね。でもおかげで強くなれたわ。君も頑張ってね」

これは全然好転していない? と思ったら、前方のコボルトがエリーズとジョフレと呼び合う冒険者に向かおうとした。

よし、これで後ろの二匹に集中できる――そう思ったのだが、

パシンっ、と鞭の撓る音が聞こえた。

「こっちに来たらダメよ!」

エリーズの鞭がコボルトの向きを反転させる。あれもスキルか。

事態は好転どころではない、前方からコボルト二匹がこちらに向かって襲い掛かってきた。

「お前等、狂犬病の予防接種とか絶対受けてないだろ。絶対に俺を噛むんじゃないぞ」

そう言って、俺は尖った石を構えた。

一匹、一匹だ。

一匹倒せばレベルが上がる。

そうしたら、剣も使えるようになるし、この状況も切り抜けられる。

1対2がきついと言っていたのは、ただの見習い剣士の場合だ、俺は無職のステータスも併せ持っている。

ならば――勝てないことはない!

俺は意を決して、後ろへと走った。

そして、二匹のコボルトの間に向かって突撃をする。

コボルト二匹が爪を伸ばしてこっちに斬りかかってきた。

が、俺はその間をタックルで強行突破。

受けたのは切り傷くらいだ。

そして、俺はそのまま走った。

当然、コボルト四匹は追いかけてくるが、速度は俺の方が上。

ならば当然差は開く。

でも、俺はそこで走るペースを緩めた。

そして、振り返る。

案の定、同じコボルトでも速度に差はあるらしく、一匹が突出して前に出ていた。

それを見て、俺は反転! 他のコボルトが来るまでの間、1対1の勝負ができる!

一気に決める。

狙うは致命傷となるであろう首のみ!

俺が尖った石を持ってコボルトに体当たり。

コボルトは大きな口を開けて噛みつこうとしてきた。

俺も同時に右腕を前に出す。

結果――

いってぇぇぇっ! 馬に跳ねられた時の次に痛い! いや、それ以上かもっ!

コボルトの牙が俺の左肩に食い込んだ――が、それと同時に、俺の尖った石がコボルトの喉元を貫いた。

コボルトの喉から血が噴き出て、俺の顏を赤く染めた……が、その血もコボルトも光となって消え、魔石と牙を残した。

あれ? レベルが上がらない!?

俺は踵を返し、再び逃げることに……一体、なんでレベルが上がらないんだ?

もしかして、戦闘中だとレベルが上がらないとか?

そう思った時だった、ある程度逃げたところで――

【イチノジョウのレベルが上がった】

【見習い剣士スキル:剣装備を取得した】

【見習い剣士スキル:スラッシュを取得した】

【職業:見習い槍士が解放された】

【無職スキル:第二職業設定が第三職業設定にスキルアップした】

【無職スキル:職業鑑定を取得した】

【自動的に第三職業を平民Lv15に設定しました】

レベルアップのお知らせが。

そうか、戦闘中だとレベルは上がらないのか。

平民よりは狩人にしておこう。

第三職業を狩人に変更と念じて、ステータスを確認しようとしたところで、距離を置いていた他のコボルトが迫ってきている。

剣装備のスキルはすでに入手している。

ならば――と俺は腰の剣を抜く。

さっきは鞘も抜けなかった剣だが、今はとても軽い! 剣が手に馴染む。

これが、スキルの力か。

そして、次に気になったのが、スラッシュというスキル。

イメージだが、スラッシュってどんなスキルなんだ?

こういうのって、叫んで振れば使えるものなのか?

「スラッシュ!」

俺は念じて、剣を大きく振った。

直後だった、剣から出た衝撃波が、迫ってきたコボルト三体の胴体を真っ二つにし、

【イチノジョウのレベルが上がった】

【見習い剣士スキル:回転斬りを取得した】

【狩人スキル:弓矢装備を取得した】

【狩人スキル:解体を取得した】

またもや一気に成長した。

そして、落ちている光る石と、爪を拾った。

恐らく、この光る石が魔石なんだろうな。

爪はドロップアイテムか……とりあえずアイテムバッグに入れておこう。

ふぅ、なんとか終わった。

とりあえず、ステータスオープンと念じた。

……………………………………………………

名前:イチノジョウ

種族:ヒューム

職業:無職Lv37 見習い剣士Lv13 狩人Lv11

HP:63/74(10+41+23)

MP:28/30(8+12+10)

物攻:75(9+41+25)

物防:70(7+34+29)

魔攻:19(4+8+7)

魔防:22(3+10+9)

速度:59(4+20+35)

幸運:40(10+10+20)

装備:綿の服 皮の靴 鉄の軽鎧 鋼鉄の剣

スキル:【職業変更】【第三職業設定】【投石】【剣装備】【スラッシュ】【職業鑑定】【回転斬り】【弓矢装備】【解体】

取得済み称号:なし

転職可能職業:平民Lv15 農家Lv1 狩人Lv11 木こりLv1 見習い剣士Lv13 見習い魔術師Lv1 行商人Lv1 見習い槍士Lv1

天恵:取得経験値20倍 必要経験値1/20

……………………………………………………

きっちり、装備に剣が追加されている。

これは……確か、この世界の平均HPは50らしいので、既に平均を上回った。

だが、肩がいたい。HPが11も減っていた。さっきまでHPが30だったから、3回噛まれたら死んでいたってことか。

ウサギの攻撃は痛かったけどHPが全く減っていなかったから、その威力には驚かされる。

安全マージンを確保していると思っていたけど、結構ギリギリの戦いだったんだな。

あと、MPが2減っている、おそらく、スラッシュを使って消費したものだろう。

「よし、エリーズ、勝負は僕の勝ちのようだね」

「凄いわ、ジョフレ、流石よ、ねぇ、彼はどうするの?」

「ボスも今はいないし、放っておいていいだろう。じゃあ約束通り」

ジョフレという男がエリーズの唇を強引に自分の唇へと寄せた

「君の唇は僕のものさ」

「もう、ジョフレ……今度こそあなたの唇を奪えると思ったのに」

……リア充爆ぜろ。

俺はこの時、素直にそう思った。

と、そうだ、職業鑑定!

あれってどう使うんだ? 試しに二人を見てみる。

【見習い剣士:Lv23】

【鞭使い:Lv15】

おぉ、見られた。

てか、結構強いんだな。

去っていく二人を見ていると、もう一つ、足音が近づいて来た。

【見習い槍士:Lv16】

あれは……あ、やっぱり門番のお姉さんだ。

「さっきのお兄さん、大丈夫、怪我しているみたいだけど」

「大丈夫ですよ、かすり傷」

「大丈夫じゃないわよ。はい、これ飲んで?」

「これ、ポーションですか?」

ダイジロウさんの本によると、ポーションは、HPの回復速度を大幅に上げる効果がある薬だという。ゲームのポーションとは少し違うんだよな。ちなみに、アイテムバッグにも3本入っている。

「安物だけどね。支給品だから、飲んでも構わないわ。消費アイテムとして申告しておくと補給してもらえるし」

「では、お言葉に甘えて頂きます」

ポーションはとても苦い味だったが、それでも確かに肩の傷の痛みがだいぶ引いた。

「それじゃあ、私は今から5階層まで行って、3時間後には入り口に戻るけど、お兄さんは無茶しないでね」

「はい、ありがとうございます」

んー、いい子だなぁ。

今日は帰って、素振りをして経験値を貯めることにしよう。

1時間素振りをすれば、400時間分の経験値だ。

歩いて、魔物に出くわすこともなく迷宮を出た。

それと、マーガレットさんにも武器の手入れの仕方を聞いておかないとな。

ということで、まずは礼をかねて服屋に向かった。

って、宿も取らないとな。部屋空いてるかな。

武器の手入れを聞きに行くついでに、いい宿屋がないかマーガレットさんに聞こう。

そう思ったら、

「あらん、ちょうどよかったわ。うちのお店、二階と三階が下宿部屋なのよ。部屋も空いてるからイチ君も泊まっていけばいいわ」

……下宿もしてるのね……ま、まぁ、ここは迷宮からも近いからお世話になるか。

「ふふふ、ネグリジェはタンスの奥だったわねん」

……貞操の危機、再び……。