軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

未来へ

エレノア王女殿下と、次期ハウフォード公爵であるセドリックの結婚式は、国王陛下主催のもと、王宮で盛大に執り行われた。

広大な王宮の大広間には、煌びやかなシャンデリアが輝き、金銀の装飾が施された天井の下、国の主要な貴族や王族たちが一堂に会した。厳粛ながらも華やかな雰囲気の中、新郎新婦が神聖な誓いを交わすと、会場中から祝福の拍手が巻き起こった。

エレノアの純白のドレスは、彼女が正式に王族であることを示すべく、王家の象徴である双剣の刺繍が施されていた。対するセドリックの礼服は、公爵家の伝統的な黒と金を基調とし、その堂々たる立ち姿はまさに次期公爵としての威厳を漂わせていた。

式の終盤には、王宮主催の祝賀会が開かれ、そこで正式に王室直属の商会が設立されたことが発表された。その記念すべき第一号商品は―― 「小型体温調節機」。

「お姉様、お兄様らしいですわ」

披露宴の席で、キャサリンは微笑みながら、エレノアとセドリックを祝福した。彼らの結婚は、ただの貴族同士の婚姻ではない。王族として、そして国民の生活向上を目指す者として、共に歩む決意の証でもあった。

**********

エレノアとセドリックの結婚式から数年後――。

王宮は、ある知らせでてんやわんやの騒ぎとなった。

「王太子妃キャサリンの懐妊」

ノエルとキャサリンの結婚式が終わって間もない頃のことだった。

この知らせが宮廷内を駆け巡ると、王宮の使用人たちは慌ただしく動き始め、国中でも喜びの声が上がった。だが、それ以上に慌ただしかったのは ノエル本人 だった。

「キャサリンの世話は僕がする!」

と、意気込むあまり、執務そっちのけでキャサリンのそばを離れようとしない。

「ちょっと、ノエル様! 仕事してくださいまし!」

「でも、キャサリンが心配で……」

そんな調子だったものだから、ついに セドリックが見かねて、医学会と王家の商会で合同事業を立ち上げ、つわりに効く魔道具を開発する。セドリックの開発した魔道具は、キャサリンの症状を和らげ、結果的に 王宮の混乱を収めることとなった。

「……お兄様、本当に万能すぎますわね」

「そもそも原因を作ったのは誰だ?」

セドリックの鋭いツッコミに、 ノエルはそっと目を逸らした。

**********

そして、時は流れ―― ノエルが正式に国王へ即位した。

彼の即位後、王妃となったキャサリンは 類まれなる社交術を活かし、外交の交渉ごとや、女性たちの社交界をまとめ上げる中心的存在となった。王家は子宝にも恵まれ、王子2人、王女1人が誕生した。もちろん、彼・彼女たちが誕生した年では「王女・王子待ち」が発生したのだが…それはまた別の話。

一方、ハウフォード公爵夫妻となった セドリックとエレノアは、公爵領の運営をしつつ、王宮の相談役としても尽力し、商会を通じて国民の生活の発展に貢献した。2人はなんと、男女の双子を授かった。

王宮の広大な庭園には、今日も子供たちの笑い声が響き渡る。

青々とした芝生の上を、国王夫妻と公爵夫妻の子供たちが駆け回り、追いかけっこをしている。陽の光を受けて、王族特有のプラチナブロンドがきらめく。その中には、エレノアとセドリックの双子たちの姿もあった。

「待てーっ!」

「捕まえてごらんなさーい!」

楽しげな声が弾む。

一方、庭の奥の東屋では、ノエルとキャサリン、エレノアとセドリックの4人が、微笑みながらその様子を見守っていた。

「賑やかになりましたわね」

エレノアが感慨深そうに呟くと、ノエルが満足げに頷く。

「そうだね。僕たちが歩んできた道の先に、こんな光景が待っているなんて、昔は想像もできなかったよ」

「まったく、ここにいる全員、あの学園にいた頃とはずいぶん変わったよな」

セドリックがしみじみと言うと、キャサリンはくすくすと笑った。

「でも、お兄様は変わらないですわ。相変わらず、陰気魔道具オタクですもの」

「……は?」

「まぁまぁ。でも、みんな、いい意味で変わったわよ」

エレノアは微笑みながら言った。

未来へと続く道を選び取り、それぞれが望む形で成長してきた。

あの時、学園で出会った4人は、こうして今も共にある。

彼らの絆は、身分を超え、時間を超え、こうして家族となり、新しい未来を紡いでいるのだ。

ふと、キャサリンがノエルに向かって手を伸ばし、彼の指をそっと握る。

「ノエル」

「ん?」

「私は、あなたの隣にいられて、本当に幸せですわ」

ノエルはふわりと微笑み、その手を優しく包み込んだ。

「僕もだよ、キャサリン」

その言葉に、エレノアとセドリックも、そっとお互いの手を重ねる。

彼らの人生は、決して穏やかな道ばかりではなかった。

それでも――

「きっと、これからも幸せな未来が待っているわ」

エレノアが、穏やかに、そして確信を持って呟いた。

どこまでも広がる青空の下、温かな風が吹き抜ける。

子供たちの笑い声が、未来への希望のように響いていた。

――この国は、今日も幸せで満ちている。

光射す未来へと、彼らの物語は続いていく――。