軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第86話  極限魔法

「大丈夫か!?」

俺を含めた 聖域の騎士団(サンクチュアリナイツ) のメンバーや王たちは、竜と巨人の戦いで起きた爆発で吹き飛ばされていた。王に言われてかなり距離を取ったが、それでも受けた衝撃は凄まじかった。

「レオ‥‥ドラゴンの“統率者”は巨人に倒されたのか!?」

ルカは何とか立ち上がり、周りの状況を確認しながら聞いてくる。

確かに巨人が持つ信じられない大きさの斧で竜に切りかかったが、あまりの衝撃でハッキリとは確認できなかった。

今、姿が見えているのは巨人だけだ。ならば勝ったのは巨人なんだろう。化物と化物の戦い‥‥‥人間が入り込める世界じゃないな。

俺たちは立ち上がり焦土と化した大地を、ただ呆然と眺めていた。

◇◇◇◇◇◇◇◇

やれやれ、王に言われて避難していたから良かったけど、あんな戦いに巻き込まれたら命がいくつあっても足りないよ。

「見ろ! カルロ、劉! 五条がデカイ竜を倒したぞ!! あいつならやると思ってた」

はしゃぐように言う王の姿を見ていると全身の力が抜けるようだ。

「王は元気だね。俺は全身打撲で動きたくもないよ。あと劉さんが死にかけてるから回復魔法で助けてあげて」

それにしても五条‥‥‥本当の脅威はドラゴンの“統率者”じゃなくて、君なのかもしれないね。

◇◇◇◇◇◇◇◇

「倒したの‥‥‥竜の王を‥‥‥」

私の目の前には、とてつもない大きさの巨人が巨大な斧を振り下ろした体勢で止まっていた。さっきまで竜の王がいた場所は跡形も無く吹き飛んでいる。

竜の“統率者”の姿はどこにも見えない。

気が付いたら、涙が溢れていた。終わったんだ‥‥ゴジョーが終わらせてくれた。

傍(かたわ) らには、いつも一緒に戦ってくれた飛竜が 佇(たたず) んでいる。よく見れば体は傷だらけだ。

あんなに憎んでいたドラゴンなのに‥‥‥‥

私と心を通わせてくれた飛竜‥‥今まで名前を付けることには抵抗があったけど、この討伐が終わったら名前を付けてあげよう。

私は飛竜を連れてレオたちのもとへ向かった。

◇◇◇◇◇◇◇◇

タイタンは融解した大地から斧を引き抜き、ゆっくりと立ち上がる。焦土と化した世界を見下ろし、そのまま光の粒子となって消えていった。

「終わった‥‥」

タイタンが消えても溶岩が流れる大地は変わらなかった。しばらくはこのままか‥‥‥。俺は炎竜王がいた中心地まで行ってみる。

そして‥‥‥やはりあった。炎竜王の“魔核”だ。本来はあるはずの無い物。この魔核の意味を、この時の俺は分かっていなかった。

“魔核”を手に取り鑑定してみる――

竜王の柩 SSR

知力の数値を10倍まで引き上げる。

“竜王の 柩(ひつぎ) ”か、これがあれば魔法の威力を格段に上げることができるな‥‥‥。よーく拭いてから食べてみる。

今までは無限魔力があっても、一度に放出できる量には限界があったからな‥‥‥。これでもっと強力な魔法も使えるはずだ。

ステータスを確認すると聖戦士のレベルがカンストしていた。竜の“統率者”を倒したんだから当然か‥‥‥結界術の職業ランクもFからCに上がっている。

次の職業も聖戦士にした。もう少し結界術のランクを上げようと思ったからだ。亜空間から聖戦士の職業ボードを取り出し表面をタッチする。

みんながいる所に戻ろうとすると、向こうから王がやってきた。

「五条、やったな! デカイ竜は倒したんだろう?」

「ああ、もう大丈夫だ」

その後、劉さんや 聖域の騎士団(サンクチュアリナイツ) のメンバーとも合流した。なんとも言えない表情をする者も多かった中、レオが声をかけてきた。

「五条‥‥聞きたいことは山ほどあるが、まずは助けてもらったことに礼を言う。君がいなければフレイヤはもちろん、他の者も全員死んでいただろう」

レオの言葉を聞いてカルロも同意する。

「そうだね。あの馬鹿デカイ巨人じゃなきゃ、竜の“統率者”には勝てなかっただろうからね」

遅れてフレイヤが飛竜と共にやってきた。俺に何か言いたそうだったがレオが手で制した。

「その上で 尋(たず) ねたい。五条、お前はその力をどこで手に入れたんだ? 普通の異能者ではないだろう?」

この場にいた全員が俺の方を見ているが‥‥‥。

「分かった。俺のことを話すよ‥‥‥。でも、その前に」

俺は右手を上にかかげる。

「この辺り一帯にいるアース・ドラゴンは駆除しておく!」

あのドラゴンはレオたちでも倒すのは苦労するだろう。見える範囲だけでも片付けようと考えて上空へ魔力を流した。

「なんだ?」

雲が開け、日差しが漏れるとレオたちは 怪訝(けげん) な顔をして困惑している。俺の魔力は成層圏に達し、いくつもの氷の 礫(つぶて) を作り出す。

氷の 礫(つぶて) は空中で徐々に大きくなり、百メートル以上の氷柱へと変わっていく。成層圏で数百もの先の尖った氷柱は、静止した状態で俺の命令を待っている。

「―― 死別する氷の世界(ニヴルヘイム) ――!!!」

俺が腕を振り下ろすと全ての氷柱が重力にしたがい地上に向かって落ちていく。遥か上空から落下した氷柱は、アース・ドラゴンの甲羅を貫き、深々と地面に突き刺さる!

断末魔の叫び声と共に数百体のアース・ドラゴンは絶命してゆく。

荒れ果てた大地にそびえ立つ数百の巨大な氷柱は異様な光景にしか見えなかった。

「何発かハズしたか‥‥‥」

全ては当たらず数十体のドラゴンは逃げようと移動していた。今度はハズさないように手を地面につけ、膨大な魔力を流す。

アース・ドラゴンの足元の地面が裂け、大きな“口”が現れる。“口”はドラゴンを飲み込み強固なはずの甲羅を砕いて捕食していく。“口”は地面から這い出してきた。それは“土魔法”で作りだした巨大な 地大蛇(ワーム) だ。

口の中は強固な牙が生えており、しかも口の中に何重もの口がある。

何体もの 地大蛇(ワーム) が地中から這い出し、近くにいたアース・ドラゴンに襲い掛かる。次々に捕食されていき、最後の一体まで食い尽くされた。

強大な魔法が使えるようになったので調子に乗って全力で攻撃したが、はたから見ると何体もの巨大な岩の 地大蛇(ワーム) や数百もの氷柱が突き刺さった光景は地獄絵図に見えるんじゃないだろうか?

そう思って恐る恐るみんなの顔を見ると、全員青い顔をして絶句していた。

まあ、しょうがないか‥‥‥ちゃんと説明すれば分かってくれるだろう。俺が楽観的に考えて王やレオのもとへ行こうとした時、“敵意感知”に反応があった。

なんだ‥‥‥今まで感じたことのない反応だ。

自分の指先を見ると、小刻みに震えている。俺は深淵の穴の方へ視線を移す。

何か上がってくる――