軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第146話 コア

【レオ・ガルシア――】

中心部へ向かうと二本の柱が立ち、その間に台座のような物がある。その数十メートル先には更に大きな四角錐の建造物があった。

台座の上には見覚えのある結晶が置かれている。

黒騎士が空にかかげていた物だ。何人かの兵士が守りについているようだが、クロノスのような戦士ではない。

俺が近づくと、何かを叫びながら銃を撃ってきた。どうやら俺たちの世界の言語が分からないようだ。

クロノスと違って一般兵は会話ができないのか……。

俺は銃弾を風の盾で防ぎ、こちらへ来ようとする兵士に風の刃を放つ。

近くにいた十人ほどは倒れたが、奥にいた数人の兵士には通じなかった。結晶の周りに魔法障壁が張られているようだ。

向こうは障壁の中から銃撃してくるため、一旦下がる。

回復魔法で自分の傷を治しながら、なんとかここまできたが俺の回復技術では充分に治すことができず、全快の状態には程遠い。

早くエリアスたちと合流できればいいんだが……。

俺は自分の体に鞭打って銃弾の雨の中に突っ込んだ。弾丸を剣で弾きながら魔法障壁の目前まで迫り――

「 南炎突風斬(ノトス) !!」

突き出した剣は障壁を貫いて粉々に砕く、中にいた兵士たちは衝撃で吹き飛ばされ倒れた者は起き上がってこなかった。

目の前には台座に置かれた青い結晶がある。

「こいつさえ無ければ……」

俺は剣を振り上げ、渾身の力で斬りつけた。

「 西穣突風斬(ゼピュロス) !!」

青い結晶は真っ二つになり、光の粒子となって消えていく。

とりあえず、ホッと一息ついたが、よく見れば中央の建造物の周りに似たような柱が2ヶ所見える。

中央の三角の高い建物で見えないが、あの向こうにも一つあるとすれば計4ヶ所に設置されてるってことか……。

今の戦闘で他の場所にいる兵士に気づかれただろう。

このまま中央の建物に向かうか、あるいは少し遠回りになるが結晶がある場所を回っていくか……。

少し考えたが、やはり仲間を信じて中央の建物に行くことにした。あの建物を破壊して、みんなの援護に行こう。

◇◇◇◇◇◇◇◇

【フレイヤ・クルス 王欣怡(ワン・シンイー) 】

「前方に何かある。兵士もいるようだ」

「 王(ワン) ! 強行突破で行こう!!」

「ああ、分かった」

フレイヤの剣と王の棍棒が敵の兵士を薙ぎ払い。二本の柱がある場所に辿り着く。障壁で守られていることに気づくと二人は目配せして 相槌(あいづち) をうつ。

障壁の中から撃ってくる弾丸を 躱(かわ) して王は棍棒を後ろに引く。

「飛竜槍!!」

王が投げた 金箍棒(きんこぼう) は気功を 纏(まと) い、槍のような矛先となって猛スピードで障壁にぶつかって激しく光り輝いた。

キィンと高い音が鳴ったかと思うと障壁が崩壊する。中にいた兵士が衝撃音で頭を抱えるが、それをフレイヤは見逃さない。

「 光源の流星(ラディウスミーティア) !!」

光の流星が十人以上いた兵士の体を貫き全員倒した。二人が台座に近づくと黒騎士が持っていた物とよく似た緑の結晶が置かれている。

王とフレイヤは持っている武器を振り上げ、結晶に叩きつけた。

結晶は粉々になり光の中に溶けてゆく。

「とりあえず、ここは大丈夫だな」

「ええ、これで魔物が現れないと思うわ。他にもこれと同じ支柱があるみたいだけど、それは他の人たちに任せましょう」

「そうだな、私たちは中央の一番大きな建物へ行こう!」

◇◇◇◇◇◇◇◇

【カルロ・バンディス――】

「うおっ! いきなり撃ってきた」

建造物に向かうと30人ほどの兵士が発砲してくる。彼らが使う銃の弾丸は、小さな魔法の火球のようなものだ。

防げないことも無いが、気を付けないと……。

「全員、散開して! こっちには怪我が完全に治りきってない者もいる。油断はしないようにしてくれ!」

ルカを始め遠距離攻撃を行う者を中心に反撃していく。

少し慎重に進むしかないな……。

◇◇◇◇◇◇◇◇

【エミリー・シモン】

中央に向かっていると銃を持った人たちが、こちらに向かって撃ってきた。あの台座を守っているみたいだ。

そんな大事な物なら私たちにとっては危険な物。

私は自分の前に【固有スキル】の“黒陽”を出現させる。黒い球体は真っ直ぐに台座にぶつかったかと思うと一瞬はじけるように黒い球体が巨大化した。

その後、大爆発するかのように黒い光が広がり上空へと立ち昇る。

台座も兵士たちも跡形も無く消え、残ったのは大きなクレーターだけだった。

「……何があったのか分からないけど……これで大丈夫だよね?」

◇◇◇◇◇◇◇◇

「レオ!」

「フレイヤ、王、無事でよかった」

俺が中央にある巨大な 三角錐(さんかくすい) 型の建物の前で考え込んでいると、フレイヤと王が駆け足でやってきた。

どうやら敵を倒してきたようだ。

「かなり強い敵がいたけど、レオは大丈夫だった?」

「ああ、なんとかな……」

「それでレオ、こんな所で何をしてたんだ?」

王が 怪訝(けげん) な顔で聞いてくる。

「コレを見てくれ」

俺は剣を前に突き出す。するとバチッと大きな音がして剣が弾かれた。

「これは……!?」

「魔法障壁、それもかなり強力なものだ」

「それで足止めされてたのか?」

「俺の魔力も残り少ない。例え障壁が破壊できても、このデカイ建物まで壊すのは難しいと考えていた」

「でも私たちが来たからには大丈夫だな」

「頼りにしてるよ」

三人で力を合わせようとした時、遠くから声が聞こえてきた。カルロたちが大勢でこちらに向かってくる。どうやら結晶を破壊してきたようだ。

全員無事か……。エミリーに関しては心配していないから、これで犠牲者を出さずにここまで来られたことになる。

俺は現状をカルロ達に説明し、魔法障壁の破壊に取り掛かった。

「全員で一斉に攻撃するぞ! 放て!!」

弓や魔法などを使って障壁の突破を 試(こころ) みる。至る所で爆発が起きるが、魔法障壁が壊れる 様子(ようす) はない。

「いや、硬すぎるっしょ!」

カルロが呆れた顔で言った。確かに手前にあった結晶を守る魔法障壁とは 桁違(けたちが) いの強度だ。

「よほど重要な物なんだろう……」

「あっ!」

フレイヤの声で振り返ると、エミリーが必死でこちらに走ってくる。元々体力が無いのか、かなり苦しそうだ。

「大丈夫かエミリー、無事で良かった」

「…ハア…ハア…だ…大丈夫です……」

「エミリー、疲れてるところ申し訳ないが建造物を破壊するのに手を貸してくれ。君の力が必要だ」

「ハ…ハイ…分かりました……」

エミリーは息を整え、自分の周りに黒いオーラを展開していく。オーラが三頭の黒い龍の姿になると四角錐の建造物に向かって突っ込んでいった。

障壁に 阻(はば) まれるが、黒龍は巻き付くように障壁を縦に昇ってゆく。

バチバチ、ミシミシといった音が聞こえる。魔法障壁を圧迫しているのか? エミリーは更に自分の前に黒い球体を出現させ、その球体を圧縮していった。

傍(そば) にいる俺たちはエミリーの邪魔にならないように、 固唾(かたず) を飲んで見守ることしかできなかった。

圧縮された球体はゆっくりと建造物に向かっていく。

障壁に軽く当たると弾け、中から黒い炎が 溢(あふ) れ出し黒い龍と合わさると一気に燃え上がり大爆発した。雲を突き抜ける火柱が目の前に立ち上がる

全員、衝撃に耐えるが何人かは飛ばされていった。

煙が収まり視界が開けると、そこには何も無い。全てが跡形も無く吹き飛んでしまったようだ。

「いやー凄いね。俺たちの出番なんて全然ないね」

カルロが 半(なか) ば 呆(あき) れた顔で感心している。俺たち全員でも破壊できなかった障壁を壊しただけじゃなく、四角錐型の建造物も消滅させるとは……。

「上空の戦いも、こちらが優勢のようだしなんとかなりそうだな」

俺たちが建造物が消えた場所に歩いていくと、異様な物が目に飛び込んでくる。地面に見たことも無い機械のようなものが埋まっていた。

深くまで埋まっているようで、まだ稼働している。

いや、稼働してるどころか真下から、もの凄いエネルギーが噴き上がってくるのを肌で感じた。

「まずい! 地(・) 下(・) で(・) 何(・) か(・) してたんだ。ここは危険だ離れろ!!」

全員が一斉にその場を離れると地面が真赤に発光し始めた。莫大なエネルギーが噴き出し、上空へと昇っていく。

「なんだこれは……!?」

もの凄い大きな光の柱は雲を突き抜け、空の色を変えていった。

こんなエネルギーどこから持ってきたんだ……。その時、ハッと気づく地中から取り出したなら、地熱? ……いや、マントルを越えて、まさか。

考えにくいが“ 外核(アウターコア) ”の近くまで掘ったなんてことは……。

分からない事は多いがハッキリしてるのは地中から莫大なエネルギーを取り出し、何かに使ったということだ。

空は歪んだように見え、大気は悲鳴を上げている。

次の瞬間、見たことも無い数の戦艦が空を 覆(おお) い 尽(つ) くす。遥か地平線の向こうまで戦艦の姿が見えた。

「なんだ……これは……?」

その日、モンゴルやその周辺国の上空に100万を超える漆黒の戦艦が現れる。そして、今まで戦っていたのが 尖兵(せんぺい) 部隊だったことに気づく。

目の前に現れた敵の本隊を前にして、ただ立ち尽くすことしかできなかった。