作品タイトル不明
4-11
「え、なんで……? 並の魔導士ではどうにもならない武器を用意してって言ったのに……。なんであっさり封じ込めてるの……?」
カレン様は何やらぶつぶつ呟いている。
呟いているのはわかるけれど、何を言っているのかまでは聞き取れない。私は不思議に思いながら言う。
「災難でしたね。次はもっと安全なものを置いている魔道具店を利用したほうがいいですよ」
「え、ええ。そうですわね……。間違えて危険なものを買ってしまったみたいですわ。メイベル様、危ない目に遭わせてごめんなさい」
「いいんですよ。失敗は誰にでもありますから。私はこの通りピンピンしてますし」
私は元気に言う。
ドレクスモルを倒すときに、偶然使うことができた水の玉を出す魔法を、使いこなせるようになっておいてよかった。
あの事件以降、学園長先生にも手伝ってもらいながら練習し、安定的に同じ魔法を使えるように訓練しておいたのだ。
カレン様はまだショックを受けているのか、口の端をぴくぴくさせて引きつり笑いしていた。
その後、ようやくカレン様は気を取り直したようで立ち上がった。
「メイベル様、次はこちらの魔道具を試していただけませんか? こちらは先ほどの人形と違って安全なはずですわ」
カレン様はそう言いながら、トランクケースから別の道具を取り出す。
出てきたのは、木箱に入れられた大量の紙で出来た蝶だった。
カレン様はそのうちの一つを手に取って、呪文のようなものを呟く。
すると、紙で出来ているはずの蝶はパタパタ羽ばたきだした。
「わぁ! かわいいですね。これも魔道具店で売っていたんですか?」
「ええ。カタログに載っているのを見て、一目で欲しいと思って使用人に買ってきてもらいましたの。呪文を唱えると、本物の蝶のように飛ぶんですって。動く的を狙う練習がしたい場合によく購入されていると聞きましたわ」
カレン様は機嫌のよさそうな顔で言った。
私は興味津々でひらひら飛んでいる紙の蝶を眺める。
「メイベル様、この蝶を魔法で壊すところを見せてくださいませんか?」
「わかりました。こんなかわいい蝶を壊してしまうのはもったいないですが、やってみますね」
私は杖を構えて言った。
カレン様はにっこりと……、というかにんまりと笑う。
それから彼女は木箱に入っているほかの蝶にも、同じように呪文を唱えた。箱の中から一斉に蝶が飛び出してくる。
「それではメイベル様、がんばってくださいませ!」
カレン様はそう言うと、先ほどと同じように随分後ろまで離れていった。
私は気合を入れて杖を構える。