軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

百四十二話 【匣】の真実

* * * *

リヴェットの協力を得られないのなら、これ以上無為に時間を浪費する訳にもいかない。

だから、そうと決まれば早いに越した事はない。

そう言ってノベレットの後に続くように小屋を後にしたのがつい、数分前。

場所を知っているとはいえ、目元に布を巻いた盲目の人間が木々といった障害を当たり前のように潜り抜けながら全速力で向かう姿に思わず口をついて言葉が出てしまう。

「…………なあ、オーネスト。お前の先生って、本当に目が見えて、ないんだよな?」

何も知らなければ身体の他のどこかに目がついているのではと疑っていたところである。

しかし、オーネストも同じ事を思っていたのか。

険しい表情で小さく唸りながら、やがて歯切れの悪い様子で微かに首肯した。

「そう、だった筈なんだよ。昔は偶に頭をぶつけたりしてたし、ちゃんと見えてる、訳ではねえんじゃねえかな……?」

半信半疑。

考えれば考えるほど、見えているとしか思えないエピソードと、見えてる人間であればあり得ない光景。

その二つが頭の中で混ざり合い、ドツボにはまった結果、疑問符をつけるしかない状況が出来上がっていた。

「あれが全く見えてない人間だとしたら、他はどうなるのよ。って言いたい気持ちしかないわよ」

まともに見えている人間よりもよっぽど機敏に障害物を避けてるでしょ、あれ。とジト目で呆れるクラシアであったが、それでもどうにか一応納得している理由は〝スカー〟ことルナディアとの戦闘を見ていたからだろう。

あの魔法の腕があるならば、盲目のアドバンテージを覆せるだけのナニカがあってもおかしくはない。

その事実一つで納得してしまえるだけの凄さが彼にはあった。

「まあまあまあ。兎にも角にも、これでタソガレさんとの約束も果たせそうだし、良かったよね」

この調子でノベレットの助けもあれば、【匣】には問題なく辿り着くことだろう。

【匣】の攻略も簡単な話ではないだろうが、内部にいるであろうリヴェット・アウバの協力も得られれば土台無理な話ではない筈。

ルナディアからの妨害も、あの重体ならばそんなことをする余裕もないだろう。

だから、どうにかなるだろう。

ヨルハのその考えと同様に、俺もまたそう思っていた。

けれど、〝大陸十強〟の凄さを────あのテオドールと同じ立場のリヴェットをよく知る人間である筈のノベレットは、だった一度として攻略出来るという可能性を口にしていない。

まるで、攻略出来る芽はないと頭のどこかで諦め切っているかのように。

それが唯一、俺の中で引っ掛かっていた。

「……確かに、そうではあるんだけど」

「…………。随分と歯切れが悪いわね」

【アルカナダンジョン】の仕組みは勿論分かっている。深部にあるダンジョンコアの破壊。

それが唯一【アルカナダンジョン】を壊せる方法だ。

だが、どれだけ厄介な門番だとしても、あのテオドールと同じ枠組みの人間と、ノベレットほどの技量を持った存在。

攻略時にはそんな彼と同等の存在が複数いたにもかかわらず攻略出来なかったのは単に門番が厄介だっただけなのだろうか。

何より。

──── 仮にワタシの身に何かがあったとしても絶対に、 助けようとはしない(、、、、、、、、、) 事。

ノベレットがこちらに出した【匣】の攻略をする上で認めさせてきた条件。

これは、一見すると万が一の時は見捨てて逃げろと言っているように思える。

ただ、それだけのように思えたから不承不承ながら俺達は納得した。それがノベレットの優しさからくる発言だと考えたから。

しかし、それが実は別の意味を持っていたのだとしたら。本当はもっと違う何かがあって。

それもあって、リヴェットもノベレットも今も尚、殆ど何も手出し出来ず、ルナディアという存在を待ち望んでいたのだとしたら。

俺らは、肝心なものに気づけていないのではないだろうか。

そんな不安に駆られながらも、その思考を俺は強引に彼方へと追いやる。

どれだけ考えようと、俺達が【匣】に向かわないという選択肢はそもそも存在しないのだから。

「……まあちょっと、考え過ぎてるだけかもしれないけど、思うところもあって」

「言わんとする事は分からないでもないけれど、」

同じ考えを彼女を持っていたのか。

頭の中でも見透かしていたかのように、特別驚いた様子もなくクラシアは言葉を返してくる。

「でも、それは胸に留めておくが正解だと思うわ」

理由はいくつかある。

一番は恐らく、それを言及してノベレットがどう出てくるのか。それが分からないからだ。

悪い人間でない事は分かっている。

だけど、彼が本気で俺達の邪魔をして来た場合、どちらも無事に終われるとはあの魔法の技量を見た後ではとてもじゃないが思えなかった。

それに、オーネストの事もある。

彼の心情を考えれば、それらは全て些事だろう。

親友が死ぬ原因となった【匣】の攻略。

恐らく、誰よりもそれを願っている人間の道を阻む行為をしたくはなかった。

「……だよ、な」

現状、いくら考えても答えが出ない事は分かり切っている。だったら、自分に出来る事を最大限する。

そう割り切る事で、ほんの少し小さくなっていたノベレットの背中に追い縋るべく速度をあげた。

* * * *

「────【猜疑】のアルカナダンジョン?」

覚えのない言葉を受けて、疑問符を浮かべるのはガルダナ王国の王子。レグルス・ガルダナであった。

アレクらが【匣】に向かったと聞いて、レヴィエルはガルダナ王国に連絡を飛ばし、彼らの元担任で〝夜のない街〟レッドローグに位置するギルドのマスター。

〝天旋〟ローザ・アルハティアに加え、もう一人────レグルスに声を掛けていた。

尤も、レヴィエルの目的はレグルス本人よりもその側にいる如何にも気怠げな様子の深緋のコートに身を包む男、ヴォガン・フォルネウスの協力を得る事が主な目的であった。

その為にわざわざ一報を入れたのち、レヴィエルがガルダナ王国へと出向き事情を説明しているところであった。

「…………シュトレアの【アルカナダンジョン】だ。だが、切羽詰まっていたとしても何故、こちらに話を持って来た。フィーゼルのギルドマスター。【特区】は、そっちの領分だろう?」

王城に位置する客室。

そこで椅子に座りながら向かい合うレヴィエルは、ヴォガンの言葉を受けて苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

あまりにも正論だったからだ。

どんな事態であれ、【特区】はリヴェット・アウバが創設したギルド管理のもの。

そこに例外はなく、たとえ王族だろうと、高名な貴族だろうと不可侵な部分であった。

それは、創設以来不変の事実であり、それゆえにヴォガンもレヴィエルに問いを返していた。

「……領分だとも。領分だが、どうにもならねえもんは仕方がねえだろ。オレも、動いてくれそうなアテには声を掛けたが、【匣】は話が別なんだよ。あんたなら、どうせ少しは知ってんだろ。ヴォガン卿」

ギルドが徹底的に秘匿する【特区】。

その中でも特に悪辣とされる【匣】。

だとしても、多方面に伝手があるであろうヴォガンならば、それについて多少知っていてもおかしくはない。あれが、どれだけ狂っているのかについてを。

「あれは、凡そ百年前にあのリヴェット・アウバが関与するなと触れを出した【特区】だ。あれに関しては好き好んで関わる奴はどこにもいねえ。当時の犠牲の規模を知る人間なら、絶対に関わろうとしねえ。頼み込んでる立場だから隠す真似はしねえが、当時選りすぐりのSランクパーティー8つが例外なく全滅した挙句、攻略不可になった【アルカナダンジョン】だ。率先して関わろうとする人間なんざ、自殺志願者を除いてどこにもいねえよ」

逼迫したその様子から決して戯言を口にしている訳ではないとヴォガンとレグルスも理解したのだろう。

しかし、難色を示す表情に変化はない。

「それで、おれらにどうしろと。話を聞く限り、戦力が一人増えたところで焼石に水だろう。どころか、仮におれが頷いたとして貴族を死なせた事でギルド側が不利になるだけのように思えるが」

〝大陸十強〟リヴェットが解決出来ない問題を、自分ならと思えるほど自分を過大評価しているつもりはないとばっさり一刀両断。

何故、レヴィエルがヴォガンらに助けを求めるのか。その理由が分からないと心底呆れてみせる。

逆の立場であれば、レヴィエルだってそう思った。

その自覚があるからこそ、自嘲するように笑う。

一国の兵隊全てを動員する事は現実的に不可能な話である上、少数精鋭を集めるとしても、恐らく時間が間に合わない。

なのにあえてヴォガンを────ガルダナ王国に声を掛けた理由は、ある事情が絡んでいた。

「…………」

息を吸い込み、小さく嘆息。

覚悟を決めたように虚勢極まりない笑みを張り付けながら、レヴィエルはヴォガンを見据える。

「【匣】に向かうのは、オレと。ローザ・アルハティアと、恐らくダンジョンの特性を考えるにヒツギヤか、ガネーシャの三人だ。あんたらをそこに巻き込む気はそもそもねえよ」

大人数はそもそも、リヴェットが【匣】に施した仕掛けのせいで入りようがねえしな。と付け足す。

それこそ、タソガレのような力技でどうにかしてしまえる人間の助力がなければ外からの侵入は拒まれる仕組みであった。

「……じゃあどうして、貴方は僕らのところに来た」

話がまるで見えなかった。

そのせいでレグルスの口調が少し粗いものになる。

同行を求めてやって来たのかと思えばそうではない。政治的な危険性も分かっていると言う。

ならば一体、この男は何のために己らに会いに来たのか。

「【匣】に向かうとしても、何の準備も無しに向かうだけじゃ、心許ないだろう?」

話を引き延ばしに引き延ばす。

張り付けた笑みは引き攣っており、未だそれを口にするか迷っているようでもあった。

しかし、間違いなくヴォガンとレグルスの怒りと不信を買うと分かっていて尚、言う以外に選択肢はなかった。その覚悟は、ガルダナ王国に向かう途中でしてきたのだから。

「……貴様まさか」

途中でヴォガンが気付く。

鋭い眼光がそれは言うべきじゃないと口ほどに物を言っていたが、それでもレヴィエルの口は止まらなかった。

どこでそれを知ったのか。

あとで散々、詰問されると分かって尚、可能性を上げるためには言わざるを得なかったのだ。

「ああ、そのまさかだ。ヴォガン卿。オレは、正真正銘、あんたらの助力を求めてここへやってきた。ガルダナ王国が秘匿しているとある〝 伝承遺物(ゴッズ) 〟。そいつを借り受けるために、オレはあんたらを訪ねたんだ」

* * * *

砂漠。森。鉱山地帯。

まるで幻のように忙しなく移り変わる景色に目を奪われながらノベレットの背中を追いかける事数十分。

漸く足を止めたノベレットは、無言で見下ろす。

そこは、崖であった。

道を間違った。

もしくは、道が進めなくなっていた。

そういう話かと思って傍まで歩み寄り、声をかけようとしたところで俺は。俺達は、言葉を失った。

「これが、【特区】。その成れの果てで、禁足地たる所以だよ」

死臭に包まれたそこは、まさしくこの世の地獄を体現したような場所であった。

木々は枯れ果て、汚濁が支配し、怨嗟の声でも聞こえてきそうな光景。

漏れなく、〝瘴魔〟と呼ばれる迷宮病のなり損ないに誰もが罹患した。その訳が、手に取るように分かるようであった。

リヴェット・アウバが抑えている状態でコレなのだ。当時の猛威を振るっていた頃の【匣】はもっと悪辣で、手に負えないものだったのだろう。

「…………これが、ダンジョンだって?」

ノベレットの言葉を疑うような感想が、オーネストの口からこぼれおちる。

その気持ちは、痛いほど理解出来た。

眼前に広がる風景。その全て。

小さな街以上の範囲で、それは侵食されていた。

かつてノベレットがシュトレアの空気が毒だと言っていたのが痛いほど分かるくらいには。

ダンジョンとは、迷宮だ。

それぞれに層があって、奥へ進むことで深部に辿り着き、ボスを倒しコアを手に入れる。

【アルカナダンジョン】が一層限りの特殊ダンジョンとはいえ、この街全体がダンジョンと化すこの光景はあまりに異様に過ぎた。少なくとも、俺の目から見てもそれはダンジョンにはとてもじゃないが映らなかった。

「正真正銘、これが【匣】だ。一つ断っておくと、これは【猜疑】でもなんでもなく、本当の姿だ。【猜疑】の本領は、ボスと相対してからだから。一応聞くけど、今ならまだ引き返せるよ」

「冗談だろ」

驚きはした。

でも、逃げてこの問題が解決する訳でもなし、ここで逃げたとしてもノベレットが一人で意地を張る結果になる事に変わりはない。

だったらとことん付き合ってやる。

そう決めていたからこそ、オーネストの返事に迷いはなかった。

しかし、ノベレットは今からでも叶うなら逃げて欲しいとも願っていたのだろう。

ほんの一瞬、表情が歪んだのを俺は見逃さなかった。やがて覚悟を決めたノベレットが滔々と語り出す。

「攻略に参加した約百年前。ワタシ達は当初、少なくない犠牲を出しながらも【匣】の攻略に成功したと思っていたんだ」

【匣】とは当初、ほんの少し規模が大きいように見えるだけの【アルカナダンジョン】であった。

だからこそ、リヴェットはノベレットらを何の躊躇いもなく送り出したのだから。

「【猜疑】の特性に苦しめられながらも、ワタシ達は攻略を進めた。事情が変わったのは、瀕死だったあの 刈り取る者(グリムリーパー) がダンジョンコアごと、何もかもを呑み込んでからだ」

ノベレットの脳裏には、当時の光景がありありと思い起こされているのだろう。

忌々しげに語る様子がその証左。

「ダンジョンコアごと、呑み込んだ?」

フロアボスが、ダンジョンコアを吸収したという事なのだろうか。

確かに、ダンジョンコアには計り知れない力が内包されている。その力を取り込めるならば無しではないだろう。しかし、大事な点がひとつある。

【アルカナダンジョン】とはそもそも、ダンジョンコアを失った時点で崩壊する末路しか待ち受けていない。

どんな形であれ、ダンジョンコアを失ったならばそのダンジョンは必然、崩壊する筈である。

故に俺達は、誰もが呑み込んだならばそれで終わりではないのかと思い、耳を疑った。

「自滅をしたと思った。だからこそ、攻略は成功に終わったと思ったんだ。少なくとも、あの 刈り取る者(グリムリーパー) 自体がダンジョンコアそのものに成り代わるまではね」

「……ダンジョンのボスが、ダンジョンコアに成り代わった?」

本来、崩壊するはずのところがコア取り込んだ事でボス自身がコアの役目を引き継いだ。という事か。

しかし、そんな事例は聞いたこともなければ、本来ダンジョンに存在するボスとは深層意識の中にダンジョンコアを守る使命感のようなものが刷り込まれている。

取り込もうとする行為自体が異端極まりないもので、にわかには全て信じられなかった。

「……でも、【匣】を攻略する為に深部にあるダンジョンコアを破壊すればいいってノベレットさん言ってませんでしたか?」

小屋にいる時、ヨルハの言うように確かにそう告げられていた筈だった。

「その通りだよ。別に、ワタシは何ひとつとして嘘は吐いてないさ。深部でリヴェットが抑え続けてる本体を────ダンジョンコアを壊すべきって事に違いはないのだから」

それでもその力が膨大であるからか。

その影響はいまだにシュトレアがこうして受け続けていた。

「深部に辿り着くまでの〝 幽体系(レイス) 〟は、魔法でどうにかなる。【猜疑】の特性も、どうにかなるもので間違いない。ただ、深部にいる本体に関してはワタシに任せて欲しい」

決してそれは、力を侮っているわけでもなく。

そうすることが己の使命と考えているようではあったが、もっと別の理由があるようにも思えた。

「……なんでだよ」

「それは、ダンジョンコアに成り代わった 刈り取る者(グリムリーパー) に、打撃は勿論、魔法ですら碌に効かないからだよ」

「…………」

口籠る。

ノベレットの発言が、現実離れしていて信じられないから。というよりは、その言葉に覚えがあり嫌な予感に見舞われたからが正しいだろう。

何せ俺たちは、つい最近、それと同じ状況に見舞われていたからだ。

忘れようにもきっと一生忘れられないであろう記憶。使い手は眼帯をした少年の見た目をした男。

「…………〝 大陸十強(テオドール) 〟」

ひとりごちるように呟かれた俺の言葉に、ノベレットは小さく頷いた。

「その通り。〝大陸十強〟と全く同じ力が、ダンジョンボスに宿ったんだ」

止められる人間は、その同類か。

もしくは、テオドールらが〝神力〟と呼んだあの力に対抗出来る何かを持つ人間だけ。

それらを除いて、〝神力〟の前では全てが殆ど無力だった。身をもって、それは理解していた。

そしてだからこそ、リヴェットが出てくるしかなかったのだろう。

「かくして、〝大陸十強〟と同じ力を持ちながら、〝迷宮病〟の原因となる瘴気を振り撒く化物ダンジョンコアの完成だ。そこからの瓦解は、すぐだった」

ノベレットの顔が更に歪む。

憎しみのような、悲しみのような、負の感情が籠った声で続きを口にする。

「後方支援組の、〝迷宮病〟発症。魔法は通じず、前衛も崩壊。撤退を口にした時にはすでに、残っていた面子も半数が戦闘不能に陥っていた」

それが、【匣】で起こった攻略失敗の全容。

「命からがら逃げ帰れた人間はワタシの他にも数人いたけれど、ワタシを除く全員が例外なく〝迷宮病〟で命を落とした。だからワタシは、生き残っている人間としてその清算をしなくちゃいけない。たとえどんな結果に見舞われる事になろうと、それだけはワタシが果たすべき責務だから」

言葉が終わるや否や、ノベレットは目元を覆っていた布を解く。到底人の瞳とは思えない黒黒と濁った得体の知れない瞳が、そこにはあった。

「その、目」

「これはリヴェットがくれた特別な布でね。〝迷宮病〟の進行を遅らせる代わりに、その間の五感の大半が機能しなくなってたんだ」

まるで、あの時のルナディアのような。

そこで漸く、ノベレットもまた彼女と同じ病に罹患しているという言葉に納得がいった。

「 刈り取る者(グリムリーパー) をどうにかする方法は二つ。〝大陸十強〟と同じ呪いの力を使うか。もしくは、〝迷宮病〟罹患者が〝瘴魔〟の力を使うか。これも、元を正せばダンジョンの力────〝大陸十強〟のものと大差はないからね」

その出力。規模。自由度。

掘り下げてしまえば違うところは多いものの、その本質に大きな違いはない。

「だから、深部に辿り着いてからのボスの相手は基本的にワタシに任せて欲しい」

言外に、ボスの相手はキミたちには無理だと告げられる。ならその間、俺達に何をしろと言うのか。

その問いかけをするより先に答えがやってくる。

「代わりにキミたちには、そこからはリヴェットのことを頼みたい」

「頼みたい?」

理解が出来なくて、クラシアが聞き返す。

「キミたちには、タソガレからの伝言って役目があるだろう。そのついでに、リヴェットを。あの人を、キミたちにはここから連れ出して欲しいんだ」