軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

七不思議の後日談 其の十二

楽しい楽しい『一人かくれんぼ』も無事に終了。ついでにお焚き上げ……と称したウサちゃんの火炙りも無事に終了。

『最後に使った道具を燃やして浄化する』っていうのは『お約束』ですからね! 黒騎士達に『浄化魔法じゃ駄目なのか?』と疑問視されていようとも……!

……。

うん、皆の気持ちも判るんだ。

『お焚き上げ』という文化のない人からすれば、ただの証拠隠滅だもん。

『使った物を全て焼却』だもんね、実際。そりゃ、こういったことに馴染みのない人達からすれば、証拠隠滅以外の何物でもなかろうよ。

これは『怪異には塩が効く』という、『オカルト的必須情報』も当て嵌まったりする。

日本ならば何となく理解してもらえることなんだろうけど、この世界の住人からすれば『は?』で終わる。

「塩って……あの調味料の塩、ですよね……?」

「異世界では塩に浄化の力でもあるのか?」

「ちょっと待って、意味が判らない」

珍しく困惑を露にしたアルを筆頭に、『何で!?』と言わんばかりの言葉が続いたのだ。

なお、この世界においてそんなことを試した奴はいないらしい。塩は塩、誰に聞いても調味料という認識だそうな。

ですよねー! うん、判ってた!

嗚呼、納得できる説明ができない我が身が恨めしい。

私も本職とかではないので、彼らを納得させられる説明とか不可能だしね。

私には無意識と言うか、無条件に『塩や清酒によるお清め』という情報がインプットされているため、何の疑問も抱かなかっただけなのだろう。

と、言うか。

日本だと割と『お清めされた塩や酒』という情報は一般的なので、そこまで詳しい説明が不要とも言う。

日頃はあまり感じないけど、こういった時にはこの世界の住人達との認識のズレを感じます。『そういや、ここは異世界だったな』って。

孤独を感じることはないけど、当たり前のように感じている知識が通じない場合がたまにあるんだよねぇ……。

今回の『お焚き上げ』とて、最終的には『異世界の知識(=この世界で利くかどうかは判らないけれど、試す価値はあり)』ということで落ち着いた。

そのうち、『塩による、死霊へのダメージ』的な検証がされそうな気もするので、私の知らない所で実験がされそうだ。

獲物……じゃなかった、対象は勿論、身近な怪異こと死霊術師やアンデッドの皆さんだろうな。加減が判らず塩漬けされても、私は知らん。

……。

知らないったら、知らないの! 間違いなく魔王様からの説教案件なのに、私を巻き込むでない!

余談だが、今回の『一人かくれんぼ』の詳細も、魔王様から改めて説明を求められ、説教を食らう羽目になったことを付け加えておく。

「君達に聞いていたこと以上に、予想外のことが起きたからね。さあ、『一つ残らず』、『隠さずに』話せ」

「……ハイ」

私達としては『一人かくれんぼの手順』と『その後、起こるだろう出来事(ただし、あくまでも予想)』しか言いようがなかっただけである。

だって、ここは異世界。そもそも、実行者がオカルト方面全敗の私。

それが、まさかの、大・成・功☆

黒騎士達も吃驚な現象が起きまくり! な事態になったため、魔王様としても見逃すわけにはいかなかった模様。

……ええ、一応、知っていることは全部話しました。ウサちゃんが微妙にお馬鹿だったことに加え、最大のオカルトが猫親子(偽)のことだったとしても!

なお、当たり前のように全員が正座であ~る! 騎士寮面子全員が魔王様のお説教対象です。

そのすぐ傍ではキャンプファイヤーならぬ『お焚き上げの儀式~別名、ウサちゃんの火炙り~』が行なわれているあたり、大変シュールな光景だ。

しかも、深夜。うっかり目撃しちゃった人が居ようものなら、怪しい宗教か何かに見えてドン引きされても不思議はない。

その後はウサちゃんの火炙りを見守りつつ、皆で楽しく串焼きパーティー。

こういったことをやっているから、魔王様や騎士寮面子に『お焚き上げ』が正しく伝わらなかったのかもしれないが。

あ、ウサちゃんは無事に燃えました。燃える前は使った塩水に塩を入れ過ぎたのか、ウサちゃんの塩焼きモドキになっていたけど、最終的にはきちんと焼却。

磔にされたまま燃え行くウサちゃんを見守りつつ、皆が口にするのは今回の反省、そして次回への展望。

……。

すみません、魔王様。全員、全く懲りてません。

この世界でもオカルト発現が可能と知った以上、私も積極的に参加する所存です。嗚呼、素晴らしきかな、魔法世界よ……!

……そして。

一応、オカルト成功……と言うか、『なんだか良くないモノが来た?』という状況と判断されたため、本日、親猫(偽)は魔王様のベッドに同行することとなった。

本当は猫親子(偽)にしようかと思ったんだけど、魔王様が私を心配したこと、そして『とある理由』で、子猫(偽)が暫く私と一緒に居なければならなかったため、子猫(偽)は本日、私の所にお泊りである。

その『とある理由』、それは――

「子猫(偽)ー、あんた、この後はお風呂に直行ね」

『なんでー?』

「……。頭にウサちゃんの足型が付いてるんだわ。踏まれたでしょ」

『え゛』

そう、子猫(偽)の頭にはしっかりとウサちゃんの足型がスタンプされていたのであ~る!

これは子猫(偽)が真っ黒であること、そしてウサちゃんが濡れたまま歩き回ったせいで足の裏が汚れていたことが原因だ。

薄暗い場所ではよく判らなかったけれど、近くで見ると薄らと足形が。

「ああ……君、そう言えば踏まれていたものね」

魔王様も別室でその場面を見ていたらしく、生温かい目を子猫(偽)へと向けた。

騎士寮面子もその場面は目撃していたらしく、『ああ……』という、納得の声がちらほらと聞こえてくる。

子猫(偽)に痛覚はないようだが、それでも踏まれた時に声を上げている。多分、結構しっかり踏まれていたのだろう。

『あの馬鹿ウサギー!』

「はいはい、綺麗にしましょうね」

皆は私達の遣り取りを生温かい目で眺めている。……が、お忘れではなかろうか。

本日、子猫(偽)は私の所にお泊りである。そして、親猫(偽)は魔王様の所に行く。

結論:見目麗しい王子様は本日、ぬいぐるみと一緒にご就寝。

起こしに来るだろう人の反応を想うと、盛大に笑いが込み上げるが、今は黙っておこう。

いや、だってねぇ……親猫(偽)は気付いてるっぽいし。

私の考えていることを察した親猫(偽)が、こっそりベッドに潜り込んでいたことを知るのは、翌日のことである。

その日、魔王様がぬいぐるみを抱えて執務室に向かう姿を見た人々が、困惑の表情を浮かべてガン見したことなんて、些細なこと……ですよね?

「君達……」

親猫(偽)は子猫に劇甘な上、悪戯に対しても味方をしてくれるようですよー♪