軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

52.新たな出会い

作戦会議をした日から二日後のこと。この日はレイノルト様との約束をした日であり、お互いに得られた情報を伝え合う為の日である。

さすがに今日は屋敷を集会場にするわけにもいかず、場所は城下から少し離れた所にした。

今日に限ってキャサリンは出かける様子はなく、自室に商人を呼んで装飾品を買い漁ってるようだった。外出予定がないという情報を事前につかんだリリアンヌお姉様によって、私たちも今日はお互いの部屋に行き来せず静かにいつも通り過ごそうという話になった。

いつも通りということは、引きこもりだと思われているため、部屋から一切出なくても問題なさそうだ。それを利用して、出勤のように外出を試みた。

待ち合わせ場所に向かう途中、レイノルト様が待っていたと言わんばかりに立っていた。少しだけ疑問に思いながらも近づくと、レイノルト様は笑顔で迎えてくれた。

「おはようございます、レティシア嬢」

「おはようございます」

「急なのですが、場所を変更したいと思いまして」

「構いませんよ」

「城下から離れているとは言え、いつ誰が聞いているかわかりませんから。その点について安心できる場所へ」

「それはありがたいお話です」

(……そんなところあるのかな?)

内心首をかしげながらも、国内とはいえ自分が行ったことのない場所はあまりにも多いため、どこかにしらあるのだろうと考え直した。

レイノルト様のエスコートで変更された場所へと向かった。

「変更場所は、ここからすぐ近くなんです」

「そうなんですね。ちなみに……どういう場所なのですか」

「商人である友人の拠点の一つです。立派な建物かはわかりませんが、静かに落ち着けるという面では充分かと」

「ご友人に迷惑では」

「部屋が余っているんです。一室くらい使っても何の問題もないと言われましたから、安心してください」

(邪魔にならないのなら良かった)

レイノルト様の返答に安堵の表情で頷くと、引き続き建物へと移動した。

話を聞くと、そこはレイノルト様の友人が所有する建物。今回、セシティスタで新たに貿易を開始するにあたって、セシティスタ国内の所々に拠点を用意したようだった。

本当に時間はかからず、あっという間に到着した。

「着きました、ここです」

示された方を見ると、二階建てのしっかりとした建物だった。一軒家ではなく縦長のビルのような形に近く、それでも充分大きな場所であった。

「充分立派な建物ですよ」

「はい。……実は私も初めて来たもので。想像以上に大きいですね」

「そうだったんですね」

「お恥ずかしながら」

はにかみながら話す姿に新鮮味を感じながら建物へと入っていった。

「お待ちしておりましたよ、大公殿下」

「…………」

「…………?」

案内人のような言葉を発する青年を前に、レイノルト様は何故か固まっていた。二人の様子を不思議そうに眺める。少しだけ沈黙が流れると、何事もなかったかのようにレイノルト様は青年の説明をし始めた。

「……紹介します、レティシア嬢。彼はリトス。この建物の持ち主である商人です」

「初めまして姫君」

「ひめぎみ……?」

聞き慣れない言葉に疑問符を頭に浮かべていると、言い間違いだったかのように訂正をする。

「……あぁ、失礼。忘れてください。改めましてリトスです。以後よろしくお願いします」

「エルノーチェ公爵家の四女、レティシアと申します。よろしくお願いいたします」

深くお辞儀をすると、相手も軽く会釈を返した。会話が何か続くかと思われたが、どことなく冷たい空気が漂うと瞬間的に静まり返った。

「では早速部屋に向かいましょうか、レティシア嬢」

「は、はい」

「レイノ」

「リトス、今日は忙しいと聞いた。ここで貴重な時間を奪うのは申し訳ない。後は自分でやるから、仕事に戻ってくれて大丈夫だ」

「レイ」

「部屋を貸してもらったことは感謝する」

「ありがとうございます」

心なしか遮るように言葉を被せているようにも見えたが、二人の関係性に詳しくもないので二人だけにある空気感というのがあるのだろうと考えながら、流れるように感謝を告げた。

リトスが用意していた鍵をレイノルト様が笑顔で貰うと、階段へと体の向きを変えた。

「行きましょう、レティシア嬢」

「はい」

去り際に改めて会釈をしたが、どことなく残されたリトスの表情は悲しげなものだった。

(これからやる仕事が余程大変なんだろうな……同じ労働者として頑張ってほしい)

働くことの苦労は、わかっていると自負しているのでちょっとした応援の気持ちをリトスへと送った。予想していなかった出現に驚き疲れたのか、レイノルト様は複雑そうな表情を浮かべていた。

「……すみません、予期しない出来事でした」

「いえ、使わせもらう身ですから。簡潔ですが挨拶ができて良かったです」

「気分が害されていないなら安心しました」

「まさか。そんなこと全くありませんよ」

レイノルト様の変わらない気遣いに反応しながら、私たちは用意してもらった部屋へと入っていった。