軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第六十九話「フィッツ先輩」

一週間ほど経過した。

学校生活は単調である。

俺の一日は以下の通りだ。

まず、朝起きると、日課となっているトレーニングを始める。

生前に読んでいた漫画によると、ある男は腕立て背筋スクワット100回に10キロのランニングに加えて髪の毛を代償にする事で世界最強の力を手に入れたらしい。

俺は髪の毛を失いたくないのでもう少し頑張る。

具体的には、木刀による素振りやら何やらをする。

自室に戻ってきて、魔術の訓練を少々。

久しぶりにフィギュアの製作を開始する。

ザノバが教えてくれとうるさいので、リハビリもかねての事だ。

こちらはあまりはかどっていない。

少しすると、ザノバが呼びに来るので、朝飯に行く。

寮の食堂は学年や身分毎で食べる順番が決まっているらしい。

が、多少はアバウトでもいいようだ。

朝は忙しいからな。

飯が終わったら、ザノバと別れて図書館へと向かう。

転移の事について調べるのが、少し面白くなってきていた。

正午の鐘がなる頃にザノバと待ち合わせ、昼食を取る。

彼も頑張っているらしく、

授業の中の分からない部分を、俺に聞いてきた。

一応、わかる範囲で答えておく。

ちなみにザノバは土魔術の授業しか取ってないらしい。

まあ、好きにすりゃいいと思うが。

ちなみに飯は大体外で食っている。

奇異な視線で見られる事もあるが、概ね問題ない。

たまにエリナリーゼが顔を出すが、彼女の目にはザノバはいい男に見えないらしく、すぐにどこかに行ってしまう。

彼女は食堂の1階と2階をウロウロしているらしい。

女子寮に男子は連れ込めないので、アレの方はどうしているのだろうと聞いてみると、夜に町の方でしっぽりやっているそうだ。

昼も夜も活動するとは、タフなやつだ。

ちなみにこの食堂、結構俺の舌に合う料理が多い。

例のカラアゲもどきことナナホシ焼きだとか、カレーによく似た別物であるケリースープだとか。

好物にはあと一歩届かないが、しかし似たようなものが出てくるので、個人的には満足だ。

午後には本校舎の教室に向かう。

神撃魔術と結界魔術の基礎についての授業を受けてみる。

神撃魔術というのは、ゴースト系や、実体を持たないガス状の魔物に対し、特に効果を上げる魔術だ。

理論的には『 乱魔(ディスタブ・マジック) 』に近いだろうか。

魔力をそのまま叩きつけるようなイメージだ。

もっとも、魔力をただ叩きつけるだけでは何のダメージも与えられないので、何か特殊な作用があるのだが、それについてはわからない。

もし俺が生前で退魔師であったなら、あるいはそこらへんも理解できたのかもしれない。

今のところは、ただ理論を教わりつつ、詠唱を一つずつ暗記していくだけだ。

敵によって、術の種類を変える必要があるらしい。

優れた神撃術師になりたければ、相手を見極めるのが重要だそうだ。

別にそんなのは神撃術師に限らんだろうが。

ちなみに、一流の剣士は幽霊も斬っちゃうらしいよ。

結界魔術というのは、文字通り結界を作る魔術だ。

基本的には魔法陣を用いるのだが、初級なら詠唱も可能である。

初級では、目の前に魔力的な攻撃に対する壁を張る『 魔力障壁(マジックシールド) 』を習う。

『 魔力障壁(マジックシールド) 』は炎や冷気を遮断・軽減する力がある。

耐魔レンガや、宿の暖房に使われているのも、これの発展形だろう。

しかし魔力に対する障壁があるなら、物理に対する障壁もありそうなものだ。

実際、シーローンの結界は物理攻撃も弾いていたしな。

そのうち教わるのだろうか。

教師に聞いてみると、

神撃にしろ結界にしろ、ミリス教団がその権利を持っているらしく、

魔法大学では初級までしか教えていないらしい。

物理障壁(フィジカルシールド) は中級になるらしく、習得はできないそうだ。

先生は使えるし、教えることも出来るそうだが、違反なんだと。

違反を犯してそれがバレれば、ミリス教団から追い回され、異端審問に掛けられてしまうこともありうるのだとか。

ちなみに以前はどちらも初級すら教えることができなかったらしいが、

二年ほど前に、ある条件を飲むことで教えることを許可されたそうだ。

そういう事情もあるので、

授業ではむしろ、結界をどう打ち破るか、という部分に焦点を置いて教えていくそうだ。

結界には対物理型と対魔法型があり、聖級以上になれば両方の特性を兼ね備えた結界を張れるらしい。

また、身を守るための結界や、何かを閉じ込めるための結界など、用途は様々だ。

ロキシーも結界については多少話してくれていたが、俺も当時は、結界という言葉尻でわかった気になって、多少聞き流していた部分もある。

なので、復習も兼ねて最初から聞くというのは、やはり勉強になる。

授業が終わったら、図書館へと戻る。

暗くなるまでの間、転移について調べる。

一応文献を漁ってはいるものの、

転移術というもの自体が禁術として指定されているせいか、あまり詳しい事は載っていない。

フィッツ先輩が教えてくれた『転移の迷宮冒険譚』が一番詳しく載っているかもしれない。

そして、寮に帰って晩飯を食った後、少しだけフィギュアを作って就寝。

生活サイクルができ、余裕も出始めた。

が、夜の暴れん坊将軍は町火消しのめ組の居候なままである。

回復の兆しはない。

---

そんなある日の事だ。

夕方の図書館。

そこで転移について調べていると、フィッツ先輩がやってきた。

白髪にサングラス。

指定の学生服に、ちょっとおしゃれなマントと、頑丈そうなブーツ、ピッチリとした白い手袋。

フィッツ先輩には何度か会ったが、いつもこの格好をしている気がする。

「ルーデウス君、隣、いいかな?」

「隣などと他人行儀な、ささ、温めておきました、冷めないうちにお座り下さい」

「あはは、悪いねぇ」

俺が席を譲ると、フィッツ先輩ははにかみながら座ってくれる。

俺は隣に移動し、調べ物を続ける。

「調べ物、進んでる?」

フィッツ先輩は俺の手元を覗きこんでくる。

あれから一週間。

俺は毎日転移についての文献を漁っている。

「過去にも何度か、フィットア領と似たような事件があったらしいという事はわかりました」

俺は自分の調べたことを、フィッツ先輩に聞いてもらう。

「フィットア領ほど大規模ではありませんが、

ある日唐突に人が消え、ある日ひょっこり帰ってくる、という事はあったみたいですね」

いわゆる神隠しである。

人が一人消え、別の所に出現したり、同じ場所に再出現したりする。

そんなことが、この世界ではわりと頻繁……とまではいかないが、たまに起きているようだ。

「それは、フィットア領の転移と同じものなのかな?」

「どうでしょうね……ん?」

ふと、フィッツ先輩の手元を見ると、彼の手にあるのも転移に関する本だった。

「もしかして、手伝っていただけるんですか?」

そう聞くと、彼は首を振った。

「違うよ。ボクも例の転移事件について調べてるんだ」

「そうなんですか。どうしてわざわざ? アリエル王女に命令されたんですか?」

「いいや……」

フィッツ先輩は少しだけ考えるように、顎に手をやり、

ちょっとだけ口の端を歪めて、笑った。

自嘲げな笑いだ。

「実は、ボクの知り合いも、あの転移で行方不明になってね」

「それは、その、なんと言えばいいか……」

俺は難民キャンプの死亡者リストの事を思い出していた。

おびただしい死者の数。

あれから5年。

すでに生存者は絶望視されている。

きっと、フィッツ先輩の知り合いとやらも、生きてはいまい。

家族全員が生きていた俺は、運がよかったのだ。

「いや、最近になって生きてる事は分かったんだ」

「え? あ、そうなんですか?」

「うん。でも、それまでは転移について調べれば……例えば転移の出現先の傾向とかがわかれば、見つけ出すのも簡単になるかなと思ってね、調べてたんだよ」

転移の出現先の傾向か。

なるほど、そういう考え方はしたことがなかったな。

「さすが先輩ですね。ご慧眼です」

「いや、そんな事はないよ……それに、結局ボクは、探しに行けなかったわけだしね」

フィッツ先輩はそう言って、やや俯き加減に顎を落とした。

聞いた話によると、第二王女が失脚したのは転移事件の約一年後だ。

当然、その前から失脚への兆しは見えていただろうし、

護衛であるフィッツ先輩は、それはもう多忙だっただろう。

「それは仕方ないでしょう」

立場というものがあるのだ。

ほっぽりだして捜索に参加するわけにもいくまい。

むしろ、護衛という立場を利用し、この学校の図書館で別角度から事件について調べていた。

見つかったということは、情報収集もしていたということだし。

それだけでも、十分といえる。

「過ぎた事より、これからの事を考えましょう、さしあたって、先輩が調べた事について聞かせてもらえますか?」

「うん、いいよ、明日にでもまとめたのを持ってくる……。けど、あんまり期待しないで欲しいんだ。ボクは調べるのがあまり得意じゃないから、ルーデウス君みたいにすぐに何かを見つけるって事はできなくて」

フィッツ先輩は自信が無さそうだ。

彼は今、四年生と言ったか。

授業と護衛と、先日聞いた話だと、アリエル王女の雑務みたいな事もやっているらしい。

あと、生徒会にも所属していると言っていたか。

そんな中で、少しずつ調べていたのだ。

忙しいという事を理由にして逃げずに。

すごいものだ。

「僕は先輩より時間が取れるだけです」

なにせ、午前中を全て調査に当てられるのだ。

実際に現場を見てきたことや、生前の知識で、多少は予測できることもあるしな。

「えっと、その、ルーデウス君。ものは相談なんだけど」

唐突に耳の後ろを掻きつつ、俯き加減でごにょごにょと呟いたフィッツ先輩。

俺は首をかしげる。

「なんでしょうか」

先日助けてもらったお礼もある。

なんでも言って貰いたいものだ。

「転移事件の調査を、ボクにも手伝わせて欲しいんだ」

そんな言葉に、俺は恐縮した。

「いえ、むしろ手伝うのはこちらでしょう。

僕の方は先日調査を始めたばかりで、情報量も少ないんですから」

「でも、ボクはそんなに時間が取れないんだ。

きっと、ほとんどの場合はルーデウス君が一人で調べる事になっちゃうと思う。

……君は、嫌かな? たまにくるだけの相手に口出しされたりするのは」

基本的に一人で調べて、たまに来る奴が調べた事をダメ出しする。

そう聞くと、確かに嫌かもしれない。

かもしれないが、フィッツはただダメ出しをするタイプには見えない。

それに、俺一人より、別の視点から見てくれる人がいたほうがいいだろう。

俺はあまり頭がよくないしな。

天才といわれるフィッツ先輩なら、俺が調べた事からでも、何かを見出してくれるかもしれない。

「嫌じゃありません。よろしくお願いします」

「うん、よろしく」

そう言って握手をすると、フィッツははにかんで笑った。

その顔と、小さくて柔らかい手。

ドキドキしてしまう。

男相手に……。

……いや、まさかな。

気の迷いだろう。

---

その後、俺はその日調べた分をまとめて、お開きとなった。

図書館から出ると、辺りはもう暗くなっていた。

フィッツと適当に雑談しながら帰路につく。

彼は毎日王女の護衛や雑務で忙しいらしいが、10日に1回はこうして夕方に暇な時間ができるそうだ。

「そういえば、ルーデウス君。昼に見たよ。すごいね」

昼と言われ、俺は首をかしげた。

何かしたっけか。

「あのザノバ・シーローンが子犬みたいになついていて、びっくりしたよ」

「……はぁ」

昼というと、即席カフェテラスで衆目を浴びつつ飯を食っている時の事か。

「君は知らないかもしれないけど、彼は入学当時から喧嘩ばかりしている乱暴者の問題児なんだ」

喧嘩ばかりしている問題児と聞いて、俺は苦笑した。

やはりというかなんというか。

イジメられっこではなかったらしい。

そうだよな、人の首を引っこ抜ける奴がそう簡単にイジメられたりはしないよな。

「結局、リニアとプルセナっていう……素行の悪い生徒の元締めみたいな奴らにやられてからおとなしくなったんだけどね」

で、リニアとプルセナは番長らしい。

暴れまわっている新入生ザノバに戦いを挑み、わりとあっさり倒してしまったのだとか。

二対一で。

卑怯とは言うまいね。

それから、ザノバは舎弟のような扱いを受けているそうだ。

あまりそういう場面は見ないが。

「もしかするとリニアとプルセナが絡んでくるかもしれないから、気をつけて」

「大丈夫だと思いますが……」

すでにこっちは恭順を示しているつもりだ。

今のところ、どこかで顔をあわせる事もない。

不良がどこに溜まっているのかは知らないが、食堂でも滅多に見ない。

「えっと、その、ボクと会ってると、彼女らも気に食わないと思うんだ」

「それは、どうして?」

「その、ボクらが一年生の時に、彼女らがアリエル様にちょっかいを掛けてきたんだけど、その時にボクが決闘して倒したんだ」

「二対一で?」

「うん。だから、その、逆恨みされてるかもしれなくて……」

なるほど。

しかし、その話だと、フィッツ先輩は相当強い事になる。

ザノバに(二対一とはいえ)圧勝したリニア・プルセナを倒したフィッツ先輩。

おや、となると、フィッツ先輩に勝った俺が最強という事になるな。

いやまさか。

相性の問題もあるだろう。

俺は乱魔が使えるから無詠唱魔術を使う相手には相性がいい。

不意打ちでもあったからな。

「ルーデウス君は大丈夫だと思うけどね」

「さて、どうでしょう」

「この学校には、ボクに一対一で勝てる相手なんていないよ。

ボク、これでも今まで負けなしだったんだから」

そう言って俺を讃えてくれるが、しかし俺はむしろフィッツ先輩の心根を称賛する。

今まで負けたことのない人が、初めて負けたという。

それなのに、根に持っていない。

悔しいとか思っていないのだろうか。

「あの魔術、乱魔だっけ? すごいよね、今度教えてよ」

「ええ、いいですよ」

俺は快く承諾した。

乱魔を習得すれば俺はフィッツに勝てなくなるかもしれない。

そう思いつつも、断ろうとは思わなかった。

「あ、でも、そういう事だから、気をつけてね。

特別生って変わり者が多いから……。

クリフっていうのも喧嘩っ早いし、サイレントも入学当時はよく問題を起こしていたらしいし。あと、今年の一年生にも冒険者上がりの変な長耳族がいるって聞くよ。男の子を襲うんだって」

最初の二人はよくわからんが、

最後の一人は襲うは襲うでも意味が違うだろう。

「僕としては、喧嘩にならないようにうまく立ちまわるだけですよ」

なんて話をしていると、分かれ道にきた。

まっすぐ行けば女子寮だ。

まだ明るいが、もう二度とこの道は歩かん。

「あ、ボクはアリエル様に用事があるから」

「はい。お疲れ様でした。また今度、よろしくおねがいします」

「明日は時間ないけど、図書館には寄るから」

フィッツはそう言って、女子寮の方へと歩いて行った。

女の園への自由入出……あまり羨ましいと思わないのは、先日のマッスルボマーさんが記憶に残っているからだろう。

……それとも。

もしかすると。

フィッツ先輩をツテにして女の園に侵入することが、

俺のこの学園における最終目的達成のためのキーになってくるのだろうか。

未だ、人神の助言の意図が見えない。

---

そんなわけで、俺はフィッツ先輩と協力して調査を進める事になった。

彼とは仲良くはなっていったと思う。

向こうが思った以上にフレンドリーだったのもあるが、

良好な関係を築けていた。

もっとも、彼は謎が多かった。

「そういえば、先輩はどうしてサングラスを付けているんですか?」

「サングラス……ああ、眼鏡のこと?」

フィッツ先輩はサングラスを外さなかった。

決して、一度も。どんな時でも。

「うーん、ちょっと理由があって、言えないんだ、ごめんね」

「いえ」

彼の素顔を見てみたいと思う部分はあった。

だが、本人が隠しているものを、無理に見ようとする気にはなれなかった。

「そういえば、先輩って、寮の何階に住んでるんですか?

食事の時は見たことありませんけど」

「えーと。一応、その、女子寮の方に寝泊まりしてるんだ。アリエル様の護衛だし」

それは問題が起きないのだろうか。

と思う所だが、あの寮では許可を取れば『奴隷の持ち込み』が可能だ。

奴隷でなくとも、力のある王族・貴族なら、多少の融通は聞く。

男子寮にもメイドをつれている貴族がいるしな。

そのメイドやら従僕やらが問題を起こせば、当然主人の責任となる。

フィッツ先輩は生徒の扱いだが、アリエル王女のカリスマ性と、アスラ王族の権力。

それに加え、フィッツ先輩個人が信頼されているという事もあるだろう。

あのゴリアーデさんだかビッグバンベイダーさんだかという名前の女子も、フィッツ先輩やアリエルには様付けをして一目置いていた。

あと、エリナリーゼの話によると、フィッツ先輩の女子人気というものはかなり高いらしい。

ルークにキャーキャー言ってるのは初心者のミーハーで、

玄人になると、フィッツの物憂げな横顔にキュンときちゃうのだとか。

実際に話してみると、あんまり物憂げな感じはしないのだが。

しかし言いたいことはわかる。

「そういえば、先輩って、僕とは普通に話していますよね」

「……?」

「無口な方って聞いてましたけど」

「ボク、その……結構人見知りするんだよ」

その割には、俺には自分から話しかけてきたように思ったが。

波長の合う、合わないもあると聞くし、そういうものなのだろうか。

とにかく、この学校の常識としては、フィッツは驚くほど言葉を発しないそうだ。

無詠唱の魔術師という事も相まって、ついたアダ名が『無言』のフィッツ。

あるいは『沈黙の魔術師』だそうだ。

「実はフィッツ先輩の家名ってライバックだったりしませんよね?」

「え? ライバック……って北神二世がそんな名前だったっけ? まさか、違うよ。大体、ボクは家名なんて持ってないよ、貴族でもないし」

「またまた、実は料理とか得意だったりするんでしょう?」

「えっと、料理は出来るけど……それ、どういう関係があるの?」

俺の冗談は通じない。

だけど、何かがおかしかったのか、フィッツ先輩はくすくすと笑った。

そんな謎の多い男、フィッツ先輩。

彼が俺に協力的なのも、やっぱり謎だった。

だが、俺はその謎を、特に暴こうとは思っていなかった。

本人も意図して隠しているっぽいし、

意図しているなら、なんらかの事情があるのだろう。

助けてくれた相手が隠していることを、無理矢理暴くような、そんな恩知らずな真似をするつもりはない。

もちろん、気にならないといえば嘘になる。

が、人神に助言もある。

人神の助言に従って動き、出会ったのがフィッツ先輩だ。

今までの経験上、人神の助言は俺が何かをしても、ある程度一つの結論へと結びついていく。

つまり、彼と接することで、いつか病の治療に関する何かの手がかりがつかめる。

なら、焦ることはない。

そう考えたのだ。