軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第三話「魔術教本」

足腰もしっかりしてきて、二足歩行が出来るようになった。

この世界の言葉も喋れるようになってきた。

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本気で生きると決めて、まずどうしようかと考えた。

生前では何が必要だったか。

勉強、運動、技術。

赤ん坊に出来る事は少ない。

せいぜい抱き上げられた拍子に胸に顔を埋めるぐらいだ。

メイドにそれをやるとはあからさまに嫌そうな顔をする。

きっとあのメイドは子供嫌いに違いない。

運動はもう少し後でいいだろうと考えた俺は、

文字を覚えるため、家の本を読み漁った。

語学は大切だ。

日本人は自国の識字率はほぼ100%に近いが、

英語を苦手とする者は多く、外国に出ていくとなると尻込みする者も多い。

外国の言葉を習得しているということが、一つの技能と数えられるぐらいに。

よって、この世界の文字を覚えることを、最初の課題とした。

家にあったのはたった5冊だ。

この世界では本は高価であるのか、

パウロやゼニスが読書家ではないのか、

恐らく両方だろう。

数千冊の蔵書を持っていた俺には信じられないレベルだ。

もっとも、全部ラノベだったが。

たった5冊とはいえ、文字を読めるようになるのには十分だった。

この世界の言語は日本語に近かったため、すぐに覚えることが出来た。

文字の形は全然違うのだが、文法的なものはすんなりと入ってきた。

単語を覚えるだけでよかった。

言葉を先に覚えていたのも大きい。

父親が何度か本の内容を読み聞かせてくれたから、単語をスムーズに覚える事ができたのだ。

この身体の物覚えの良さも関係しているのかもしれない。

文字がわかれば、本の内容は面白い。

かつては勉強を面白いと思うことなど、一生涯ないと思っていたが、よくよく考えてみれば、ネトゲの情報を覚えるようなものだ。

面白くないわけがない。

それにしても、あの父親は乳幼児に本の内容が理解できるとでも思っているのだろうか。

俺だったからよかったものの、普通の一歳児なら大顰蹙ものだ。大声で泣き叫ぶぞ。

家にあった本は下記の5冊だ。

・世界を歩く

世界各国の名前と特徴が載ったガイド本。

・フィットアの魔物の生態・弱点。

フィットアという地域に出てくる魔物の生態と、その対処法。

・魔術教本

初級から上級までの攻撃魔術が載った魔術師の教科書。

・ペルギウスの伝説

ペルギウスという召喚魔術師が、仲間たちと一緒に魔神と戦い世界を救う勧善懲悪のお伽話。

・三剣士と迷宮

流派の違う三人の天才剣士が出会い、深い迷宮へと潜っていく冒険活劇。

下二つのバトル小説はさておき、上三つは勉強になった。

特に魔術教本は面白い。

魔術の無い世界からきた俺にとって、魔術に関する記述は実に興味深いものである。

読み進めていくと、いくつか基本的なことがわかった。

1.まず、魔術は大きく分けて3種類しかないらしい。

・攻撃魔術:相手を攻撃する

・治癒魔術:相手を癒す

・召喚魔術:何かを呼び出す

この3つ。まんまだ。

もっと色々なことができそうなものだが、

教本によると、魔術というものは戦いの中で生まれ育ってきたものだから、

戦いや狩猟に関係のない所ではあまり使われていないらしい。

2.魔術を使うには、魔力が必要であるらしい。

逆に言えば、魔力さえあれば、誰でも使うことが出来るらしい。

魔力を使用する方法は2種類。

・自分の体内にある魔力。

・魔力の篭った物質から引き出す。

どちらかだ。

うまい例えが見つからないが、

前者は自家発電、後者は電池みたいな感じだろう。

大昔は自分の体内にある魔力だけで魔術を使っていたらしいが、

世代が進むにつれて魔術も研究され、高難度になり、

それに伴って消費する魔力が爆発的に増えていったそうだ。

魔力の多い者はそれでもいいが、魔力の少ない者はロクな魔術が使えなかった。

なので、昔の魔術師は自分以外のものから魔力を吸い出し、魔術に充てるという方法を思いついたのだ。

3.魔術の発動方法には二つの方法がある。

・詠唱

・魔法陣

詳しい説明はいらないだろう。

口で言って魔術を発動させるか、

魔法陣を描いて魔術を発動させるか、だ。

大昔は魔法陣のほうが主力だったらしいが、今では詠唱が主流だ。

というのも、大昔の詠唱は一番簡単なものでも1分~2分ぐらい掛かったらしい。

とてもじゃないが戦闘で使えるものではない。

逆に魔法陣は一度書いてしまえば、何度か繰り返し使用できた。

詠唱が主流になったのは、ある魔術師が詠唱の大幅な短縮に成功したからだ。

一番簡単なもので5秒程度まで短縮し、攻撃魔術は詠唱でしか使われなくなった。

もっとも、即効性を求められない上、複雑な術式を必要とする召喚魔術は、未だに魔法陣が主流だそうだ。

4.個人の魔力は生まれた時からほぼ決まっている。

普通のRPGだとレベルアップする毎にMPが増えていくものだが、

この世界では増えないらしい。

全員が職業:戦士らしい。

ほぼ、というからには多少は変動するようだが……。

俺はどうなんだろうか。

魔術教本には魔力の量は遺伝すると書いてある。

一応、母親は治癒術を使えるみたいだし、ある程度は期待していいんだろうか。

不安だ。

両親が優秀でも、俺自身の遺伝子は仕事をしなさそうだし。

とりあえず俺は、最も簡単な魔術を使ってみることにする。

基本的に魔術教本には魔法陣と詠唱の両方が載っていたが、詠唱が主流らしいし、魔法陣を書くものもなかったので、そっちで練習することにする。

術としての規模が大きくなると詠唱が長くなり、魔法陣を併用したりしなければいけないらしいが、最初は大丈夫だろう。

熟練した魔術師は、詠唱がなくても魔術が使えるらしい。

無詠唱とか、詠唱短縮ってやつだ。

しかし、なぜ熟練すると詠唱なしで使えるようになるのだろうか。

魔力の総量が変わらないということは、レベルアップしてもMPが増えるわけじゃないだろうし……。

逆に、熟練度が上がると消費MPが減るんだろうか。

いや、仮に消費MPが減った所で、手順が減る理由にはならないとか。

………まぁいいか。

とりあえず使ってみよう。

俺は魔術教本を片手に、右手を前に突き出して、文字を読み上げる。

「汝の求める所に大いなる水の加護あらん、

清涼なるせせらぎの流れを今ここに、ウォーターボール」

血液が右手に集まっていくような感触があった。

その血液が押し出されるようにして、右手の先にこぶし大の水弾が出来る。

「おおっ!」

と、感動した次の瞬間、水弾はバチャリと落ちて、床を濡らした。

教本には、水の弾が飛んでいく魔術と書いてあるが、その場で落ちた。

集中力が切れると、魔術は持続しないのかもしれない。

集中、集中……。

血液を右手に集める感じだ。こう、こう、こんな感じ……うん。

俺は再度右手を構え、先程の感覚を思い出しながら、頭でイメージする。

魔力総量がどんだけあるかわからないが、そう何度も使えないと考えたほうがいい。

1回1回の練習を全て成功させるつもりで集中するんだ。

まず頭でイメージして、何度も何度も頭の中で繰り返して、それから実際やってみる。

躓いたら、そこをまた頭でイメージする。

脳内で完璧に成功するまで。

生前、格ゲーでコンボ練習する時はそうしていた。

おかげで俺は、対戦でもコンボをほとんど落としたことがない。

だからこの練習法は間違っていない………と思いたい。

「すぅ……ふぅ……」

深呼吸を一つ。

足の先、頭の先から、右手へと血液を送るような感じで力を溜めていく。

そしてそれを、手のひらからポンと吐き出すような感じで……。

慎重に慎重に、心臓の鼓動に合わせて、少しずつ。少しずつ……。

水、水、水、水弾、水の弾、水の玉、水玉、水玉パンツ……。

邪念が混じった、もう一回。

ギュッとあつめてひねり出して水水水水…………。

「ハァッ!」

と、思わず寺生まれの人みたいな掛け声を上げた瞬間、水弾ができた。

「おっ、え……?」

ばちゃ。

「……………あ」

驚いた瞬間、水弾はあっけなく落ちてしまった。

しかし、今、詠唱しなかったよな?

なんでだ……?

俺がやった事と言えば、さっき魔術を使った時の感覚を、そのまま真似しただけだ。

もしかして、魔力の流れを再現できれば、別に詠唱しなくてもいいのか?

無詠唱ってそんな簡単にできるもんなのか?

普通は上位スキルだろ?

「簡単に出来るんなら、詠唱ってのはなんの意味があるんだ?」

俺のような初心者でも、無詠唱で魔術を発動させることが出来た。

身体の魔力を手の先に集めて、頭の中で形を決める。

それだけで、だ。

なら、詠唱なんて必要ないだろう。

みんなこうすればいい。

………ふむ。

もしかすると、詠唱というのは魔術を自動化してくれるのではないだろうか。

いちいち集中して全身から血液を集めるように念じなくても、言葉を発するだけで全てやってくれる。

それだけの事なのではないだろうか。

車のマニュアルとオートマのようなもので、実は手動でやろうと思えば出来るものなのではないだろうか。

『詠唱すれば自動的に魔術を使ってくれる』。

これの利点は大きい。

まず第一に、教えやすい。

体中の血管から血液を集めるような感じでー……と、説明するより、詠唱すれば誰でも一発で出来る方が、教えるほうも教えられる方も楽だ。

そうして教えている間に段々と、『詠唱は必要不可欠なもの』となっていったのではないだろうか。

第二に、使いやすい。

言うまでもない事だが、攻撃魔術を使うのは戦闘中だ。

戦闘中に目をつぶって、うぬぬー、と集中するより、早口で詠唱した方が手っ取り早い。

全力疾走しながら精緻な絵を書くのと、

全力疾走しながら早口言葉を言うの、どっちが楽かという事だ。

「人によっては前者の方が楽かもしれんが……」

パラパラと魔術教本をめくってみたが、無詠唱の記述はなかった。

おかしな話だ。

俺がやった感じでは、そう難しくは無かった。

俺に特別才能があるのかもしれないが、他の人がまったく使えないって事はないだろう。

こう考えるのはどうだろう。

魔術師は普通、初心者から熟練者まで、みんな詠唱で魔術を使い続けるのだ。

何千回、何万回と使い続けるうちに身体が詠唱に慣れきってしまい、

いざ無詠唱でやろうとしても、どうやればいいのかわからない。

ゆえに、一般的ではないとされ、教本には書かれていない。

「おお、辻褄があってる!」

てことは、今の俺は一般的ではないってことだ。

すごくね?

うまいこと裏ワザを使えた感じじゃなくね?

『まさか くらいむ の かたりすと を おらとりお なしで?』

『ただ ふつうに この かたりすと を つかって ちゃねる を ひらかせただけなのに』

って感じじゃね?

うっは、興奮してきた!

………。

おっと、いかんいかん。

ちょっと落ち着け、クールになれ。

生前の俺はこの感覚に騙されてあんなことになったんだ。

パソコンが人並み以上に出来ることで選民意識を持ってしまったがゆえに、調子こいて失敗したのだ。

自重しよう自重。

大切なのは、自分が他人より上だと思わないことだ。

俺は初心者。

初心者だ。

ボウリング初心者が初投で運よくストライクをとれただけ。

ビギナーズラックだ。

才能があるとか勘違いしないで、ひたすら練習に励むべきだ。

よし。

最初に魔術を詠唱して唱えて、その感覚を真似して、ひたすら無詠唱で練習する。

これでいこう。

「それじゃあもう一発」

と、右手を前に出してみると、妙にだるい。

しかも、なんか肩のあたりにズッシリと重いものが乗っている感じがする。

疲労感だ。

集中したせいだろうか。

いや、俺もネトゲプロ(自称)の端くれ、必要とあらば不眠で六日間狩りをし続ける事もできた男だ。

このぐらいで切れる集中力は持ちあわせていないはず。

「てことは、MPが切れたか……?」

なんてこった……。

魔力総量は生まれた時に決まるのなら、俺の魔力は水弾二発分という事になる。

うーむ。さすがに少なすぎね?

それとも、最初だから魔力をロスしてるとか、そういうのなんかね?

いや、そんな馬鹿な。

念のためもう一発出してみたら、気絶してしまった。

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「もう、ルディったら、眠くなったらちゃんとトイレにいってベッドに入らなきゃダメでしょ」

起きた時には、読書中に居眠りして、そのままおねしょをした事になっていた。

ちくしょう。

この歳で寝小便したと思われるとは……。

ちくしょう……ちくしょう……。

って、まだ二歳か。寝小便ぐらい許されるか。

てか、魔力少なすぎだろ。

はぁ……萎えるわー……。

まぁ、水弾二発でも、使い方次第か。

精々、咄嗟に出せるように練習だけしておくか……。

はぁ………。

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次の日は、水弾を4つ作っても平気だった。

5つ目で疲れを感じた。

「あっれぇ……?」

昨日の経験から、次の一発で気絶するとわかっていたので、ここでやめておく。

で、考える。

ふむ。

最大6つ。

昨日の2倍だ。

俺は桶に入った水弾5発分の水(気絶対策)を見ながら、考える。

昨日の今日で回数が2倍に増えた理由。

昨日は最初から疲れていたとか、初めてだから消費MPが大きかったとか。

今日は全部無詠唱でやったから、詠唱をする・しないで変わる事はないはず。

わからん。

明日になったら、また増えているかもしれない。

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さらに翌日。水弾を作れる回数が増えた。

11個だ。

なんだか、使った回数分だけ増えている気がする。

もしそうなら、明日は21回になっているはずだ。

翌日、念のため、5回だけ使ってその日はやめておく。

さらに翌日、26個になっていた。

やっぱり、使った分だけ増えていく。

(嘘こきやがって……!)

何が人の魔力総量は生まれた時にきまっている、だ。

才能なんて眼に見えないものを勝手に決め付けやがって。

子供の才能ってのは大人が勝手に見極めていいものじゃねえんだよ!

ま、本に書いてあることを鵜呑みにするなって事だ。

この本に書いてあるのは「人の幸せには限界がある」とかそういうレベルの話なのかもしれない。

あるいは、鍛えた結果の話なのだろうか。

頑張って鍛えても、魔力総量には限界値があるという話なのだろうか。

いやまて、そう結論付けるのはまだ早い。

まだ仮説は立てられる。

例えば……。

そう、例えば、

成長に応じて増えていく、とか。

幼児の時期に魔力を使うと飛躍的に最大値が増える、とか。

あ、俺だけの特殊体質ってのも捨てがたいな。

………いや、だから自分を特別だと思うなって。

元の世界でも、成長期に運動すれば能力が飛躍的に伸びるとか言われていた。

逆に成長期を過ぎてから、頑張っても伸び率が悪いとも。

この世界だって、魔力とかなんとか言ってるけど、人間の体の構造は変わらないはずだ。

基本は一緒。

なら、やることは一つだ。

成長期が終わる前に鍛えられるだけ、鍛える。

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翌日から、限界まで魔力を使っていく事にした。

同時に、使える魔術の数を増やしていく。

感覚さえ覚えれば、無詠唱で再現することは簡単だ。

とりあえず、近日中に全系統の初級魔術は完全にマスターしたいと思う。

初級魔術というのは、文字通り攻撃魔術の中で最も低いランクに位置する。

水弾や火弾はその中でも、特に入門的な位置づけにある初級魔術だ。

魔術の難易度は七段階に分かれている。

初級、中級、上級、聖級、王級、帝級、神級。

一般的に一人前と呼ばれている魔術師は、

自分の得意な系統の魔術が上級まで使えるが、

他の魔術は初級か中級までしか使えないらしい。

上級より上のランクを使えるようになると、

系統に応じて火聖級とか水聖級とか呼ばれて一目置かれるのだとか。

ちょっと憧れる。

しかし魔術教本には、火・水・風・土系統の上級の魔術までしか載っていなかった。

聖級以上はどこで覚えればいいのだろうか……。

いや、あまり考えないようにしよう。

RPGツ○ールで最強のモンスターから作ると、高確率で挫折する。

まずは最初のスライムからだ。

もっとも、俺はスライムから作っても完成させたことがないがね。

教本に書かれている水系統の初級魔術は以下の通りだ。

水弾:水の弾を飛ばす。ウォーターボール。

水盾:地面から水を噴出させて壁を作る。ウォーターシールド。

水矢:20cmほどの水の矢を飛ばす。ウォーターアロー。

氷撃:氷の塊を相手にぶつける。アイススマッシュ。

氷刃:氷の剣を作り出す。アイスブレード。

氷も水系に含まれるらしい。

ひと通り使ってみた。

初級と一口に言っても、使う魔力はまちまちだった。

水弾を1とすれば、大体2~20ぐらいか。

基本的には水系だ。

火を使って火事にでもなったら危ないからな。

火事と言えば、消費魔力は温度も関係しているのか、上級になればなるほど氷が増えていくようだ。

しかし、水矢とか飛ばすとか書いてあるのに飛んでいかなかった。

なんだろう、どこかで何かを間違えているのだろうか……。

うーむ。わからん。

魔術教本には、魔術の大きさや速度についても書いてある。

もしかすると、弾を作り出した後に、さらに魔力で操作するのだろうか。

やってみる。

「お?」

水弾が大きくなった。

「おお!」

ばちゃん。

「おぉ……」

しかし、やはり落ちてしまう。

その後、色々やって水弾を大きくしたり小さくしたり、

違う水弾を2つ同時に作ったり、

それぞれの大きさを変えてみたりと、

新たな発見はあったが、一向に飛んで行かない。

火と風は重力に影響を受けないせいか空中に浮いているのだが、結局は一定時間で消えてしまう。

ふよふよと浮いた火の玉を風で飛ばしてみたりもしたが、何かが違う気がする。

うーむ……。

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2ヶ月後。

試行錯誤の末、ようやく水弾を飛ばすことが出来た!

それが切っ掛けとなり、詠唱の仕組みが解明できた。

詠唱は、

生成→サイズ設定→射出速度設定→発動のプロセスを辿っているのだ。

そのうち、サイズ設定と射出速度設定を術者がいじることで、魔術が完成する。

つまり詠唱をすると、

まず自動的に使いたい魔術の形が作り出される。

その後、一定時間以内に魔力を追加して、サイズを調整、

サイズ調節後、さらに一定時間以内に魔力を追加することで、射出速度を調整。

準備時間が終わると、術者の手を離れ、自動的に発射される。

多分間違っていない……と思う。

詠唱の後、2回に分けて魔力を追加するのがコツだったのだ。

サイズ調節をしなければ、射出速度の調節に行かない。

どおりで飛ばそうとしても大きくなるだけで何も起こらないわけだ。

ちなみに無詠唱でやる場合は、それら全てのプロセスを自分でやる必要がある。

面倒に思えるが、サイズと射出速度の入力待ち時間を短縮できるため、

詠唱するよりも数段早く発射する事ができる。

また、無詠唱ならば生成の部分もいじることができた。

例えば教本には書いていないが、水弾を凍らせて、氷弾にするとかだ。

これを練習していけば、カイザーフェニックス(ドヤ顔)とかも出来るだろう。

アイデア次第でいくらでも応用が効くのだ。

面白くなってきた!

……………………けど、基本は大事だ。

色々と実験するのは、魔力総量がもっと増えてからにしよう。

魔力総量を上げる。

息をするように無詠唱で魔術を使えるようになる。

次の課題はこの2つだ。

いきなり大きな目標を立てると挫折しちゃうからな。

小さなことからコツコツだ。

よーし、頑張るぞ。

そうして、俺は毎日、気絶寸前まで初級魔術を使い続けて過ごした。