軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1話「現状確認」

(とりあえず食料はあるな……)

女神からもらった特典の一つ目がキャンピングカーの持ち込みだ。

トラックベースというだけあり、室内は広く冷蔵庫だけではなく冷凍庫までついている豪華仕様。

中にはキャンプを楽しむように買い込んだ食糧や飲み物が詰め込まれている。

……とはいえ家庭用のほどには大きくない。

元々現地で調達するつもりだったこともあり、米などは別として他の食材は持って3日ほどだ。

食料尽きたらどうするんだ? という話であるが、そこも特典でどうにかなる……はずだ。

本当に機能するかどうかは試してみないと分からない。

(ちょっと焦げたが……うん、美味い)

さきほど食い損ねた食材たちは残念ながらなくなっていた。

なのですべて作り直したが、せっかくなので卵焼きも追加で作ってみた。

火加減はやはり難しかったが、十分おいしく仕上がっている。

ウィンナーはボイルにしてみたが、焼いたのとはまた違った感じでこちらも美味しい。

皮は程よくパリッとして、中は……うむ。肉が詰まってるって感じの食感で食べ応えがある。

ジューシーさもあるが、油っこくはない。おそらく脂身部分は削いでいるのではないかな。

ご飯が進んで仕方がない。

豚汁も少し煮込みすぎた感じはあるが、その分お野菜に味がしみていそうで実にうまそうだ。

「あー……あ?」

しばらく卵焼きとウィンナーでわしわしとお米をかっこみ、豚汁を一口飲んだところで思わず声が出たが……自分の喉から出るはずのない高音に驚いた。

確かに若返らせてくれると言っていたが、一体どこまで若返ったのだろうか?

どう考えても声変わり前だ。

……まあ、良いか。

年をとると学生の頃に戻りたいなんて思うこともしばしば。それが叶ったと思えば良い。

さて、お腹も落ちついて心も落ち着いてきた。

とりあえずは現状をもう少し詳しく把握しよう。

特典は本当に機能するのか、持ってきた荷物はすべて揃っているのか、キャンピングカーの各施設はきちんと動くのか等々確認することは色々ある。

「持ってきたものは全部そろっているな。ありがたい」

宝くじが当たり、会社を辞めてからかなり気分が高揚していたこともあって、俺は様々なものを買い込んでは今回のキャンプに持ち込んでいた。

テントやBBQ用のコンロ、炭などキャンプに必要な道具一式、海のほうに行った際の釣り道具、それに免許不要で乗れる発動機付きのボート。あとはノートPCにWIFI機器などなど。

それらすべてが消えることなく揃っていた。

「……ちゃんと繋がるな」

特典その2。ネット環境も整っている……異世界なのにどうやって繋いでいるのだろう? 原理は分からないがニュースサイトについ先ほどの出来事が載っていたので、実際につながっているのは確かだと思う。

何せ俺自身がニュースになっているからな……キャンプ場で熊と思われる生物に男性が襲われ行方不明となっていますとな。

死体は女神が処理したのかな……この体を構築するのに再利用したのか、それとも熊に食わせたのか。

前者のほうがましかなあ。

車体に残った爪痕から熊の体長はおおよそ10mほどと考えられ……いや、でか過ぎだろうよ。

ホッキョクグマの3倍以上あるじゃないか。

そんな危険な生物があたりに潜んでいるということで、かなり大きなニュースになっている……そりゃそうだ。

さて、いつまでも自分のニュースばかり見ているのはやめよう。

ほかにも確認したいことが残っている。

「あとは購入できるかどうかだけど、とりあえず食った分だけ補給してみるか」

特典その4。様々な通販サイトが利用可能。

宝くじがせっかく当たったのに、使えないのはさすがに辛かろうと女神が追加でつけてくれた特典である。行った先でもおいしくソーセージが頂けるようにしたとのこと。送料は無料らしい。

二桁億円あれば、二度目の人生期間はずっと使い続けられるに違いない。

ちなみに飛ばした特典その3は病気や怪我で困らないようにと、体をかなり丈夫にしてくれたそうだ。

これについては確認するのが難しい……というかあまりやりたくないので、いったん保留にしておく。

「大手じゃなくても使えるのか」

もしかしたらと思いソーセージを購入した店のHPをのぞいてみたが、楽〇やAmaz〇nといった大手通販サイトでなくとも使えることが判明した。

こう……通常のPC画面に謎のポップアップがでてきてカートに入れるかどうかを選ぶことができるんだ。

そこから買い物をやめ会計に向かうを選択し、購入決定すると購入したものが届くようになっているらしい。

ここまでは問題ない。

個人店でも使えるのは色々と選択肢が広がるのでありがたい。

お米なんかも普段買っている店から購入出来る……問題はあれだ。

「ちょっと待て、なんで2000円しかないんだ!?」

俺の宝くじが2000円に化けてしまったようだ。

嘘だろ……せいぜい1回か2回使ったら終わりじゃないか。いくら何でもそれは……お?

「なるほどな。毎日2000円と……焦った」

ちゃんとヘルプがあった。

過去の俺を参考に使える額を決定したと……最初はきっちり食事を作っていたが長くは続かなかった、いつからか朝は抜いて、昼は菓子パンかカップ麺、夜はコンビニ弁当かたまに米だけ炊いておかずは出来合いのもの……あれを考えたら2000円という額はまあそんなもんだろうなって思えてきた。

ただ毎日の食事以外にも費用は掛かるんだよな……そこは貯めておけば良いか。きっちり自炊して少しずつ貯めていけば、そのうちでかい買い物もできるだろう。

宝くじ分使い切るのには相当な年数が掛かるが、というより二度目の人生で使い切れない気がする。

まあ、異世界で通販を使い元世界の品物を入手できると考えれば、その時点で十分元を取れてると言える……と思うよ。

「とりあえず注文するか」

ソーセージ1パック5本入りで600円……宝くじ当たってから気にしなくなっていたが、2000円のうち600円と考えると結構お高い。

ま、普段はお徳用のものにしておいて、たまに豪勢に行くぐらいがちょうど良いだろう。

操作自体は非常にシンプルであっさり注文できたが……果たしてどうやって俺の手元に荷物が届くのか。

急にぱっと箱が現れたり、気付いたらどこかに置いてあるとかいくつかパターンは考えられるが……さてどのパターンだろうか?

そう考えた直後、ふいになるはずのない家のチャイムが鳴った。

なぜチャイムが……と音のなったほうへ顔を向けると、そこには見慣れた姿があった。

「どうもヤ〇ト運輸です。お荷物のお届けに上がりました」