軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

41 隣人で友人

「汗すげーけど。」

「そうだね。せめて汗拭いてからお出迎えしたかったよ。」

「気にすんなよ。」

「いや、気にするわ。それよりどうしたの?」

ちょっと離れたお隣さん、 芦屋良輔(あしや りょうすけ) 。

現在47歳の独身でどっかの会社で管理職をしているおっさんだ。しかも、私が産まれた時からのくされ縁で今でも年に4~5回は会う。会う時は全部呑み会だが。

「実家に頼まれた荷物を持ってきたら、お前が帰ってきてるって言われたんだよ。ついでに顔見て来いって。」

「おばちゃんによろしく言っておいて。」

「おおー。んじゃ、帰るわ。」

コイツ、本当に顔だけ見て帰るつもりだ。まあ、そういうヤツだって知っているから何とも思わないけどね。

さっさと帰っていったので草むしりを再開する。むしってもむしっても終わらない。田舎らしくムダに広い庭にうんざりしながら頑張る。魔法が使えたらなーっと切実に思う。火魔法とかで焼き払えたりしないかな。

いつか魔法が使えるようになったら、雑草を焼き払う火魔法と畑を耕す土魔法がいいな。水やり用に水魔法もほしいなぁ。

現実逃避しつつ続けるが、先に腰の限界を迎えた。もうバッキバキだ。真っ直ぐに起き上がることすらできないほど痛い…。変なへっぴり腰で痛みを和らげながら、一旦休もうと家の中に戻った。

「アイタタタ…って部屋暑いっ。 冷房つけたいのにまだ電気の契約してなかった…。あ、エアコンの掃除もしてないな。」

限界だったので急いで車にいき冷房をつける。掃除もしなきゃいけないけど、諸々の契約もしておかないとダメだな。電気、ガス、水道にネット回線。固定電話はなくてもいいや。7月も週末のたびに準備で戻ってくるから、ちょっと早いけど申し込みしておこう。

車の中で休憩して回復したら家に戻る。充電式の掃除機で軽く掃除して終了した。あとは電気と水道が使えるようになってからやるしかないな。今出来るので残っているのは草むしりかあー。しんどいけど頑張ろう。

お昼はストックしていたお弁当で適当に済ませ、

スライムゼリーを凍らせて作ったアイスもしっかり食べたらホームセンターに向かう。

人力でなんてムリだ、除草剤に助けてもらおう。花壇と畑以外は全部除草剤で枯らしてしまうしかない。最初からそうしていればよかったよ。

大量の除草剤とついでに家の周りにあった砂利の補充やいい感じのガーデンライトとか追加でいろいろ買って来た。どうせなら自分の好みに変えたい。

液体タイプの除草剤をジャブジャブ撒きながら、花壇はここにしようとか、畑はここからここまでだなとか予定を立てるのがすごく楽しい。想像するだけならタダなのだ。アレが置きたいコレ欲しいと妄想が膨らむのだった。

そろそろ暗くなってくるので帰る前に燻煙式の殺虫剤を使うことにした。家の窓を閉めたあと部屋のドアや押入れも開けて全部の部屋に行き渡るようにしてからバル◯ンを焚く。

2階で5個、1階で7個使うので家中モクモクだろう。使い過ぎかもしれないけど、害虫の可能性がなくなるなら何でもいい。念の為、あとでお隣さんには説明しに行かないと。

片付けをしたら車で芦屋家に行く。おばちゃんに煙の説明をして問題ないことを伝えたら帰ろうと思っていたのに、おしゃべり好きなおばちゃんに捕まってしまった。

「詩織ちゃん、ホントに久しぶりねー。ご両親が亡くなってから全然帰って来ないから寂しいわ。」

「すいません、たまに掃除に帰るくらいしかしてなくて…。良輔とはちょくちょく呑みに行ってるんですけどね。」

「そうなのねぇ。あ、お庭すごかったでしょ。勝手に入るわけにもいかないからそのままだったのよ。ごめんなさいね。」

「いえいえ、さっき除草剤撒いてきました。明日も続きをやろうと思ってるんですよ。」

「まあ、明日も来るの?」

「はい。7月は毎週末片付けに来る予定です。」

「あらあら、そんなに散らかってた?」

「庭はすごかったけど、家の中は結構キレイでしたよ。ただ、使ってない物とか不用品は処分しちゃおうと思って。」

「お宅売っちゃうの?」

「いや、私が住むんですよ。」

「まあっ。帰って来るのね?」

「そうですねー。予定では7月末で退職するので、8月から実家に戻るつもりです。」

「嬉しいわー。また仲良くしてね。」

「はい、コチラこそよろしくお願いします。」

そんな話しをしていたら2階から良輔が降りて来た。まだ帰ってなかったのか。アイツ暇人か?

「良輔、詩織ちゃん実家に戻ってくるそうよ。」

「へぇー。仕事は?」

「7月末で退職する予定だよ。」

「いいのか? 仕事好きだったろ?」

「会社の仕事は好きだけどねー。探索者の仕事もしないといけないからしんどくて。両立できないわけじゃないんだけどねぇ~。」

「えっ! 探索者なの!?」

「言わなかったっけ?」

「聞いてない。てか、俺も探索者やってんだけど。」

「えっ! 聞いてない。」

「興味ないと思って話してない。」

「マジかー。」

身近にいたわ、中年探索者。もっと早く知りたかったよ。知っていればいろいろ教えてもらったのに。