作品タイトル不明
20 お断りさせてください
気分転換にゼリーを配る。見た目は全部同じで、味はランダムだから何が当たるかわかんないんだけど。
「これがスライムゼリーですか。初めて見ました。」
「俺、DTubeで食べてる動画見ましたよ。」
「全部同じだぁ。」
「俺、グレープ味がいいな。」
ワイワイしながら選んでいる。楽しそうで何よりだよ。私はこんなに食べないからむしろ助かる。
「てか、数多くないですか? こんなにドロップするヤツでしたっけ?」
「スライムばっかり倒してるといっぱい溜まるんだよ。ゼリーだけ食べるわけにもいかないし。」
「確かに、飽きそう。」
それぞれ選んだゼリーを食べはじめる。味はイチゴ、桃、レモン、オレンジだったようだ。正解はわからない。
「この前私が食べたのはリンゴ味だったよ、多分。」
「オレンジっぽいんですけど、ちょっと違う気もする。」
まだ食べれそうなら持って帰って欲しいと頼めば嬉しそうに選び出した。家族や友人に食べさせたいそうだ。1人10個ずつ渡したが、あと30個以上残っている。ゼリーは嫌いじゃないけどそんなに要らない。私はプリン派だ。
気分も上がったし改めて話の続きをはじめる。といっても出来ることは何もないのだが。愚痴を言うだけでもスッキリするだろう。
「ちなみに、退職を考えている人っている?」
「自分はもう少し様子をみようかと思ってます。」
というか、4人とも様子見らしい。私もそうだけど、どちらかと言えば退職したい派だ。
「まだ制度が安定してないから心配なんです。トップ探索者なんかはすげー金稼いでるけど、ギリギリだってヤツも多いみたいだし、仕事辞めてまでってなるとそこまで覚悟が決まってないんですよ。」
俺も俺も〜っと皆同じ意見。仲いいな君達。歳も近いし考えてる事も似てるし、もうパーティー組んでみたらいいんじゃない? 4人でならいろいろ対応出来そうだけど。って伝えたらびっくりしていた。
「自分1人で何とかしようと思って考えてませんでした。」
「俺も。迷惑かけたくないなぁって思ってた。」
「4人なら人としての相性はよさそうだし、1度試してみたら? スキルや職業の相性まではわからないけど。」
「いいかも。試してみようぜ!」
「係長も混ざりませんか? 案外いけると思うんですけど。」
いや、ムリムリムリ! 中原君、何言ってんの!? 20代に40代を混ぜるなんて、ただの拷問よ。体力的にも羞恥心的にも。
勿論、丁重にお断りさせていただきました。
「仕事の時、何かあったらいつもフォローしてくれるし、冷静に判断して指示してくれそうだったのに。」
「冷静に判断した上でお断りを。」
若い子の考えがわからない…。冗談なのか、気を使ってくれたのか。どちらにしろ心臓に悪いわ。
とりあえず試してみるようなので、私は先に帰ることにした。スキルの確認とかいろいろあるだろうからね。よく盗み聞きしている木本さんに注意するよう伝えて会議室をあとにした。
ーーーー
次の日、4人で正式にパーティーを組むことにしたとの報告を受ける。スキル的に少し不安なところもあるらしいんだが、トップ探索者を狙っているわけじゃないので追々考えるそうだ。
「あのあと、4人で飲みに行っていろいろ話したんです。そしたら、結構いけそうな感じだったので決めちゃいました。」
「良かった。上手くいくといいね。」
終業後、東堂課長が残念そうな顔で近づいて来た。あぁ~、これは駄目だったな。私の問題だけは解決してなかったよ。
「ごめんなぁ。土日出勤はムリだったよ。」
「いえ、難しいだろうなとは思ってたので大丈夫です。」
「他の課の探索者からも平日休みが欲しいって要望は出てるから、今後変わる可能性はあるんだけど、まだ決められないって。」
「週1で有給取ったらマズいですか?」
「仕事に影響がなければ取ってもいいとは思う。」
「休むとしたら金曜日がいいんだけど、仕事がなぁ。とりあえず、今週は金曜日休んで月曜日の仕事具合で決める感じでもいいですか?」
「それでいいよ。仕事はある程度振り分けて他の人に回して。」
「わかりました。」
有給の残り、週1で使って2ヶ月はもつかな。その間にいろいろ決めておかなくちゃ。