軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

889話 影響が無くなった!

8個目の岩を割り、周りを見回す。

同じくらいの大きさの岩は、見当たらない。

「魔法陣は、もう無いのかな?」

「ぺふっ」

私の言葉に応えるように鳴くソルを見る。

「ソル、魔法陣の場所を教えてくれてありがとう」

「ぺふっ。ぺっ!」

ソルが私の手を見て動きを止める。

「どうしたの?」

あっ、まだ治して無かったね。

必死だったから忘れていたけど、傷を見たらズキズキしてきた。

「ソラ、お願いします」

「ぷっぷぷ~」

ソラが私の手を治療している間に、魔物の様子を確認する。

「あっ、ふらふらだ」

魔法陣の効果が無くなったのか、視線の先にいる魔物達はふらふらと歩いている。

そして、次々に倒れてしまう。

「……」

荒い呼吸を繰り返す魔物達から視線を逸らす。

ソラを見ると魔物達を見ていたが、動く気配はない。

「あの子達は、助けられないんだね」

「ぷっぷぷ~」

哀し気に鳴くソラを撫でる。

「アイビー」

呼ばれた声に視線を向けると、ホッとした表情のお父さんがいた。

「シエル、ありがとう」

お父さんがシエルの頭を撫で、私の肩にポンと手を置いた。

「アイビーもありがとう」

お父さんの言葉に首を横に振る。

「ソルが魔法陣を解除するので、私は手伝っただけだよ。役に立った?」

「もちろん。大量の魔物だったから、かなり危なかったんだ。しかもあの魔物達は、痛みに一切引かない。おそらく、それも魔法陣で感じなくしてあったんだろうな。痛みを感じない大量の魔物が、あんなに恐ろしいとは思わなかった。切っても、切っても、一切ためらう事なく襲い掛かってくるからな」

痛みも感じなかったんだ。

「アイビーとソルが魔法陣を解除してくれなかったら、俺達が死んでいたかもしれない。だから、ありがとう」

「役に立ったなら良かった。あっ、お父さん怪我は?」

危なかったという事は、怪我をしている可能性があるのでは?

「大丈夫だ。ソラのポーションで治したから」

それは怪我をしたって事だよね。

「アイビーもだろう?」

「えっ?」

お父さんが、私の手を取って心配そうに見る。

「見てたの?」

「あぁ、最初は驚いたよ。急にハンマーで岩を叩き出すから」

「ははっ」

魔法陣の事を知らないお父さんから見たら、私の行動は驚くだろうな。

「でも、ソルも一緒の行動をしていたから、魔法陣が関係していると気付いたんだ」

さすがお父さんだね。

「でも、何度も何度もハンマーを振っているから、アイビーの手が心配になった。手袋も、雷球用の物しか買ってなかったしな」

あっ、手袋か。

ハンマーを使う時に、全くその存在の事を思い出さなかったな。

「ソラに治療してもらったから大丈夫そうだけど、痛みは?」

お父さんの言葉に小さく笑う。

「大丈夫。ソラの治療がどれだけ凄いか知っているでしょう?」

「そうだけど、心配だったから」

お父さんが私の掌を確認してホッとした表情をした。

「アイビー、ドルイド。大丈夫か?」

ジナルさんの声に視線を向けると、服を血で染めた姿だったので驚いてしまう。

「あっ、大丈夫だ。ソラのポーションで治療したから」

えっ、つまりその血はジナルさんの血?

「大怪我を負ったの?」

右半分の服が血で真っ赤に染まっている。

それだけの血が出たという事は、大怪我だよね?

私の言葉に強張った表情になるジナルさん。

そして左右に視線をさ迷わせた。

「いや、大した怪我では」

「そんなに出血して?」

「……まぁ、治ったし。大丈夫だ」

ジナルさんの言葉に、お父さんが呆れた表情をする。

「大量に出血しているだろう? 気分は?」

「あぁ、それが心配だったけど全く問題無し。さすがソラのポーションだな」

ジナルさんの様子を窺う。

腕や足の動きに問題は無い。

顔色も出血したわりに、悪くない。

本当に、大丈夫みたい。

「それならいいが。少しでも気分が悪くなったら言ってくれ」

「もちろん」

あれ?

そう言えば木の魔物とサーペントさんの姿が無い。

何処にいるんだろう?

周りを見回すが、あの大きな姿が隠れるような場所は無い。

もしかして、この近くにいないのかな?

「どうしたんだ? 何か気になる事でもあるのか?」

お父さんが私の様子に気付き、心配そうに見る。

「木の魔物とサーペントさんがいないから、何処にいるのかなって思って」

お父さんだったら知っているかな?

「木の魔物とサーペントなら森にいるよ」

「森? この近くにはいないの?」

「うん。崖から下りて森に潜んでいる魔物を倒しに行ったんだ」

ジナルさんの説明に、お父さんが頷く。

「そうなんだ」

森にもさっきのような魔物がいるのかな?

「あっ、森にも魔法陣があるのでは?」

「今、セイゼルクとヌーガが確認に行っている。魔物の様子を見れば、魔法陣の影響を受けているか、受けていないか分かるからな」

もし魔法陣の影響を受けているなら、ソルにまだ頑張ってもらわないと。

あっ、ソルに聞いてみるのはどうだろう?

岩に隠れている魔法陣に気付けるソルなら、森に魔法陣があれば気付いているかもしれない。

「ソル、森に魔法陣はある?」

私の言葉に、お父さんとジナルさんがソルを見る。

「ぺ~……ぺふっ?」

えっ、どっち?

ん~最後が、疑問形で終わっていたから分からないという事かな?

「分からないという事?」

「ぺふっ」

「そっか。ありがとうソル」

ソルが分からないなんて。

「帰って来たぞ」

ジナルさんの視線の先には、セイゼルクさんとヌーガさん。

セイゼルクさんの服にも血の染みが見えた。

でも、ソラの治療で治ったのか、動きを見ても違和感はない。

それにホッとして、彼等の下に向かった。

「どうだった?」

「魔法陣の影響は受けていたようだ。ただ俺達が森に着いたぐらいから、急にバタバタと倒れて死んでいった。おそらく、この崖にある魔法陣の影響を受けていたようだ」

セイゼルクさんの説明に、ジナルさんが崩れ落ちた岩の残骸を見る。

「かなり広範囲に影響を及ぼしていたようだな」

ジナルさんが溜め息を吐く。

「アイビー」

「はい?」

ジナルさんを見ると、真剣な表情をしている。

「魔法陣を見たか?」

「うん、少しだけど」

「後で、魔法陣に使われていた文字や模様を思い出せるだけでいいから紙に書き出して貰えないか?」

魔法陣に使われいた文字や模様?

「えっと……」

魔法陣を見たのは最初の岩が割れた時だけ。

その後は、ソルに任せてしまったせいで見ていないけど。

「少しだけなら思い出せると思う」

確か凄く複雑な模様が1つあったよね……残念だけどそれは思い出せないや。

でも文字なら、ある程度は思い出せた。

「思い出せるだけでいい。頼むな」

「うん」

「魔物に影響を及ぼす魔法陣。これが広まれば厄介だ」

ジナルさんの言葉に、お父さん達が頷く。

「魔法陣の影響から、魔物が解放する方法を見つけるのが最善策か?」

セイゼルクさんの言葉に、ジナルさんが首を横に振る。

「その方法も見つけたいが、魔法陣を探し出す方法が知りたい。魔法陣を解除すれば、魔物も解放されるから」

魔法陣を見つけ出す方法か。

ソルのように魔法陣の魔力が分かれば見つけ出せるけど、そんなマジックアイテムは無いもんね。

「ぎゃー、ぎゃー、ぎゃー、ぎゃー、ぎゃー」

えっ?

木の魔物の声だけど、あれは、

「今の声は木の魔物だな。何かあったのか?」

「あの声は、私達と一緒にいた木の魔物とは別の木の魔物だと思う」

ヌーガさんの言葉に首を横に振る。

「そうか。とりあえず行ってみよう」

ジナルさんの言葉を合図に、全員で崖を下りる。

そう言えば、ロティスさん達は何処にいるんだろう?

シファルさんとラットルアさんも、いないな。