軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

880話 イラつくのは

休憩をしていると、セイゼルクさんだけがやって来た。

それに首を傾げていると、お父さんと話をして戻ってしまう。

「どうしたの?」

ロティスさんがお父さんを見る。

「後片付けに時間がかかるようだ。予測がつかないから、今日はこの場所で過ごす事になりそうだけど……」

お父さんが、周りを見て頷く。

「問題なさそうだな」

「そうね。ここは、1日ぐらいなら問題ないと思うわ」

水もあるし、見通しも良い。

雨が降る気配も無いから、確かに問題ないね。

「戻って来るジナル達の為に、何か作ろうかな。と言っても、食材はドルイド達に頼るしかないんだけど」

ロティスさんの言葉に、お父さんと私は笑う。

「大丈夫だよ。沢山持って来たから」

ロティスさんの為に用意した食材がまだまだある。

だから、沢山作れるはず。

でも、ジナルさん達は食べるかな?

疲れすぎると、食事を面倒くさく感じてしまうから。

「何を作ろうかな?」

ロティスさんの言葉に、フィロさんが彼女に視線を向ける。

「具沢山のスープはどうだ? あれなら、疲れていても食べられるだろう」

お父さんの言葉に、ロティスさんが「そうね」と頷く。

「決まりだな。俺は、火の準備をするよ」

ガガトさんは、水辺で鍋が置けるように石を丸く積み上げていく。

そして、円状に積みあがった石の真ん中に入れる枝や葉っぱを集め始めた。

「手伝うよ」

お父さんがガガトさんの下に向かう。

2人の様子を見ながら、マジックバッグから野菜を取り出す。

「根野菜を多めにしようかな」

身体を温めるなら根野菜だよね。

あとは、お肉もあった方がいいよね。

スープだけだと、物足りない人もいるだろうから。

「今日のお肉は、食べやすい大きさにしようかな」

「そうね。でも小さい過ぎるのは駄目よね」

ん~、一口大より少し大きめぐらいかな?

「お肉は、私が切るわね」

「うん。ありがとう。一口大よりちょっと大きめで」

「分かった。任せて」

ロティスさんにお肉を渡すと、私は根野菜を切っていく。

マジックバッグに入れる時、綺麗に洗っているのですぐに使え便利だ。

「鍋は何処だ?」

フィロさんの言葉に、私は傍にあるマジックバッグを見る。

「フィロさん、このマジックバッグの中にあるよ」

「分かった」

マジックバッグから大きな鍋を取り出したフィロさんは、ガガトさんが準備した石の上に置く。

「フィロ。まだ火を起こしていないから、待ってくれ」

「あぁ、そうだった。悪い」

ガガトさんの言葉にフィロさんが、鍋を石から下ろす。

そんな彼の様子をロティスさんが、チラッと見ると小さくため息を吐いた。

「ごめんね。ちょっとフィロと話してくる」

「えっ? うん。分かった」

ロティスさんがフィロさんを連れて、少し離れた所に行く。

心配で見ていると、ロティスさんがフィロさんの頭を撫でているのが見えた。

「悪いな」

「えっ?」

ガガトさんの言葉に首を傾げる。

謝られる事は、何も無かったと思うんだけど。

「ロティスが大怪我した原因の者達を捕まえると最初に言い出したのは、フィロなんだよ。たぶんそれを気にしているんだと思う。フィロが言い出さなくても、俺かロティスが言ったと思うけどな」

「なるほど。あの……フィロさんは、大丈夫なのかな?」

どんどん、落ち込んでいくように見えるけど。

「大丈夫だと思う。フィロの扱いはロティスが一番わかっているから」

それなら良いんだけど。

あっ。

「あぁ~、戻って来るのに少し時間がかかるかもしれないな。ロティスの代わりに手伝うよ。何をしたらいい?」

座り込んでしまったフィロさんを見て、ガガトさんが肩を竦める。

そして、ロティスさんの包丁を持った。

「ふふっ。大丈夫ですよ。それほど量は多くないので」

野菜は既に切り終えたしね。

「そうか? でも、ロティスが切るはずだった肉だけは切っていくよ」

マジックバッグから出ていたお肉を、手際よく切っていくガガトさん。

「ありがとう」

「火の準備が出来たぞ」

お父さんの言葉に視線を向けると、枝が勢いよく燃えていた。

「お父さん、ありがとう」

お鍋に細かく切ったお肉と薬草を入れて軽く炒める。お肉が焼けたら根野菜を入れる。

お肉と一緒に野菜も軽く炒めたら、水を入れる。

スープなので、少し多めに。

くるくるスープをかき回しながら、小さく溜め息を吐く。

研究所の事を知ったあたりから、イラっとする事が増えた。

そのせいか、気持ちが落ち着かない。

自分の耳にそっと触れる。

今もまだ、木の魔物が最後に鳴いた声が忘れられない。

木の魔物をあんな風にした者は、見つけ出して殴りたい。

あぁそうか。

私、もの凄く怒っているんだ。

イラっとするのは、怒っているからだ。

「すまない」

「えっ?」

慌てた様子で駆けて来るセイゼルクさんに、全員に緊張が走る。

「この子が起きて、鳴きだしてしまって」

セイゼルクさんの腕の中には子供の魔物。

そういえば、木の魔物が葉っぱで包み込み守っていたんだった。

色々な事があったせいで、すっかり忘れていた。

「クル、クル、クル」

「可愛い。どうしたのこの子!」

ロティスさんが、子供の魔物に手を伸ばす。

でも、その手が途中で止まる。

「クル」

怯えたように鳴く子供の魔物。

「ごめん、怖がらせちゃったね。それでえっと?」

「それは、後で説明するよ。たぶん、お腹が空いたんだろう。でもその前に、落ち着かせたいな」

「クル。クル」

不安げに鳴く子供の魔物。

「ククククッ」

「クル」

サーペントさんが近付き鳴くと、子供の魔物は嬉しそうな鳴き声をあげた。

「大丈夫そうだね。ありがとう、サーペントさん」

「ククククッ」

私の言葉に、そっと顔を寄せて来るサーペントさん。

鼻を撫でると嬉しそうな鳴き声をあげた。

「セイゼルクさん。変わるね」

セイゼルクさんから、子供の魔物を受け取ると優しく抱きしめる。

「ありがとう。あとを頼む。すぐに戻らないと駄目だから」

「分かった、気をつけて」

「あぁ。あと1時間ぐらいで終わるはずだから」

戻っていくセイゼルクさんを見送り、ロティスさんにお肉を小さく切ってもらうようにお願いする。

「わかったわ。小さめ目ね」

ロティスさんがお肉を切り出すと、匂いで気付いたのか鼻をぴくぴく動かす子供の魔物。

その様子が可愛くて。そっと頭を撫でる。

「どうぞ」

ロティスさんが小さく切ったお肉を、子供の魔物に近付ける。

少し警戒した様子を見せた子供の魔物は、お肉の匂いに我慢できなかったのかパクッと食べた。

「くっ、これは可愛すぎる」

ロティスさんが、もの凄く嬉しそうな表情を見せる。

それをフィロさんとガガトさんが、少し呆れた様子で見た。

「おい、気をつけろよ」

フィロさんの言葉に首を傾げる。

「ポポラにその表情を見られたら、もの凄く拗ねるぞ」

えっ?

「分かってるわよ。今だけ。そうだ。今ならソラ達も触り放題だったわ」

えっ? えっ?

「よしっ。食べきったわね。まだ、食べる?」

「クル。クル」

満足そうに鳴く子供の魔物は小さく欠伸をした。

「満足したみたいね。さて、ソラ、フレム。ソル。それと、シエル。私と遊んで!」

ロティスさんが元気に、ソラ達の下に向かう。

「えぇっと?」

さっきから何が起こっているんだろう?

ロティスさんは今まで、笑顔でソラ達に駆けて行ったことは無い。

それなのに、なぜ?

「悪いな。ポポラは、ロティスが他の魔物と仲良くすると拗ねるんだよ」

「そうなんだ」

フィロさんの言葉に、ポポラを思い出す。

そんな風に見えなかったのは、ロティスさんがソラ達に近付かなかったから?

あれ?

サーペントさんを見る。

「そう、サーペントと木の魔物に近付いても、拗ねなかったけどな」

不思議そうにサーペントさんを見る、フィロさん。

そういえば、フィロさんはもう大丈夫なのかな?

「んっ? あぁ、ごめん。もう、大丈夫だから」

「それなら良かった」

「ぷっぷぷ~」

「てっりゅりゅ~」

「ぺふっ」

ソラ達を嬉しそうに抱きしめるロティスさん。

全身で、ソラ達と触れ合えることを喜んでいるのが分かる。

「あれを我慢するのは大変だろうな」