軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

837話 カシム町に到着

カシム町に着くと、ロティスさんと一緒だったためすぐに通行証を貰えた。

通行証を確認して、お父さんを見る。

「身元確認は、いいのかな?」

名前を聞かれただけなんだけど。

「ロティスの紹介なら必要ないらしいぞ」

それは、あとで問題になったりしないのだろうか?

「ロティスは、このカシム町で凄い信用されているんだ。だから彼女の紹介なら『身元確認など必要なし』だと思っているんだよ」

私の不安に気付いたのか、ジナルさんがポンと私の頭に手を載せる。

「それは、凄いですね」

身元確認が不要だなんて。

「そうだな。まぁ、ロティスはこの町の為に本当に頑張ったからな」

何をしたんだろう?

ロティスさんを見ると、門番の人達と笑顔で話をしていた。

少しすると、話が終わったのか私達の下に来た。

「簡単に入れたよ。ありがとう」

お父さんの言葉に、嬉しそうに彼女が笑う。

「私の人徳のお陰よ。ジナル、感謝しなさい!」

胸を張るロティスさんに、ジナルさんがため息を吐く。

というか、なぜジナルさん?

ここは、私とお父さんでは?

「これがなければ、素直に感謝出来るんだけどな」

ぼそっと呟かれた言葉に、お父さんと笑ってしまった。

「さて、まずは冒険者ギルドに行きましょう。捕まえた奴等の事を報告しないと駄目だからね。その後は、防護団に。奴等の尋問もあるからね。ドルイドとアイビーも、一緒に防護団に来てくれる?」

ロティスさんがお父さんと私を見る。

「あぁ、分かった」

お父さんが私を見るので頷く。

尋問か。

素直に話してくれたらいいな。

「ポポラ。もう少し頑張ってね」

ロティスさんが、馬車を引いているポポラの首の辺りを撫でる。

「さて、行こうか。ポポラ、周りの人に気を付けてね」

ポポラが軽く尻尾を振ると、冒険者ギルドに向かってゆっくりと動き出した。

「冒険者が、多いな」

しばらく大通りを歩いていると、お父さんが周りを見回す。

「それに、この大通り広いね」

今までの町や村より、大通りの横幅が広い。

そのお陰で、馬車が2台並んでも余裕があるため、ポポラの引く馬車は順調に冒険者ギルドに進んでいる。

「カシム町の商業ギルドは、王都と同じくらい取り扱い商品が多いんだ。だから、商人達の馬車が動きやすいように広くなったらしい」

ガガトさんの説明に、頷きながら周りを見る。

冒険者が多いのは、商人と馬車を守る仕事が沢山あるからかな。

視線の先には、かなり体格のいい冒険者達。

彼等の着けている装備を見て、首を傾げる。

「なんだか高そうな装備だね」

「あぁ、あれは間違いなく金を掛けているな」

私の視線の先にいる冒険者達を見て、お父さんが頷く。

やっぱり高い装備を着けているんだ。

そういえば、彼等以外の冒険者達が着けている装備も高そうだな。

「もしかしてカシム町は、力のある冒険者が多いのかな」

冒険者達が装備にお金が掛けられるのは、高額の依頼を受けられるからか、洞窟で強い魔物を倒して高額のドロップ品を手に入れられるからだ。

どちらにしても、力のある冒険者だから出来る事になる。

「アイビー、正解。下位冒険者もいるが、カシム町にいる冒険者は、中位冒険者以上が多いな。商人の求める護衛レベルが、『中位冒険者以上』が多いんだよ。荷物と自分達の命を守ってもらわないと駄目だから、力のある冒険者を求めるんだろうな」

ガガトさんの言葉に頷く。

それは、そうだろうな。

自分だけ助かっても荷物が駄目になったら、負債になるもんね。

「護衛に金を掛けない商人は、すぐに消えていくよ」

フィオさんの説明に、「なるほど」と頷く。

「それに、この町が管理している洞窟は金になる物を多くドロップする。まぁ、それだけ強い魔物がいるんだけどな」

商人と馬車の護衛だけでなく、洞窟もあるんだ。

それなら、お金を持っている冒険者が多くなるのも頷けるな。

「あっ! お金を持っている冒険者が多いから、屋台の値段がちょっと高めなんですね」

屋台で売っている物の値段が少し高い目なのは、少し高くても売れるからだ。

カシム町は下位冒険者には、ちょっと住みづらい町かもしれないな。

「屋台の値段には不服だけど、しょうがないんだよな」

フィオさんが、諦めたようにため息を吐く。

「私は、もう少し安くてもいいと思うなぁ。王都とほぼ同じ値段よ? あっ、冒険者ギルドに行くまでにお薦めの屋台があるから、買って行かない? アイビーとドルイドには、奢るわね」

「「えっ!」」

ロティスさんの言葉に、ガガトさんとフィロさんが驚きの声をあげる。

「熱でもあるのか。 あのロティスが、誰かに奢るなんて」

「……」

フィロさんに、冷たい視線を送るロティスさん。

でも、フィロさんの言葉に賛同するようにガガトさんが頷いている。

「はぁ、私だって誰かに奢る事ぐらいあるわよ。失礼ね」

「嘘だ」

「ないない」

ロティスさんの言葉を、すぐに否定するフィロさんとガガトさん。

そんな2人に、眉間に皺を寄せるロティスさん。

「ロティスが人に奢るところを久しぶりに見たな。前に見たのは……数年前か?」

そんなに珍しい事なの?

というか、どうして私とお父さんには奢ってくれるんだろう?

「そんなに珍しくないわよ! 前は……あれ?」

反論しようとしたロティスさんが、首を傾げる。

もしかして、前に奢ったのがいつか分からないのかな?

「そんなことより、あそこよ」

思い出す事を諦めたのか、ロティスさんがある屋台を指す。

お薦めの屋台は、串肉を売っているようだ。

近付くたびに、香ばしいかおりが漂ってくる。

「おいしそう」

「そうだな」

お父さんも、香りにかなり誘われているようだ。

「おや? 数日は村を離れるといていたのに、まだ行っていないのかい?」

屋台の中にいる女性が、ロティスさんを見ると軽く手を挙げた。

「いえ、もう行って来たわ。思ったより早く用事が終わったの」

「そう。お疲れ様。で、今日は何本だい?」

女性の質問に、ロティスさんの視線が私とお父さんに向く。

「何本ぐらい食べられそう?」

串に刺さっている肉を見る。

一口大より少し大きめのお肉のようだ。

「5本ぐらいかな? お父さんは?」

「そうだな30本はいけそうだ」

お父さんの言葉のロティスさんが笑う。

「分かった。2人で40本な。店主、えっと私とポポラは50……60にしよう。全部で100本頂戴」

ロティスさんの言葉に、女性が苦笑する。

「もう一気にそれだけの数を焼くのは、無理よ。少し時間を頂戴」

屋台の中をそっと覗くと、既に30本の串肉が焼かれていた。

そして、その数が1回に焼ける限界のようだ。

100本焼くとなると、少し時間がかかるだろうな。

「分かっているわ。すぐに欲しいとは言っていないでしょう? 後で取りに来るから、準備しておいてくれる?」

「わかった。焼き方はいつも通りでいいの?」

「えぇ。いつもどおりでお願い。」

ロティスさんの返事に、女性が頷く。

「分かったは。今からなら、取りに来るなら1時間後ぐらいでお願いね」

「1時間後ね、分かった。よろしく」

ロティスさんが女性に手を振ると、冒険者ギルドに向かって歩き出した。

それに付いて行きながら、不審な表情でロティスさんを見るフィロさんとガガトさんを見る。

そこまで奢るロティスさんが、ありえないんだろうか?